平城遷都1300年祭に合わせ、「全国消防音楽隊フェスティバル」が来年10月、奈良市で開かれる。県内での開催は初めて。具体化に向けて動き出した同市消防局は「奈良を盛り上げ、消防活動のPRにもつなげたい」と意気込む。先月誕生した市内初の女性消防団員のカラーガード隊も参加する予定で、注目を集めそうだ。【大森治幸】
フェスは、京都市消防局が94年に初めて開催。以来、95年に広島市、01年に神戸市など不定期で開かれ、今回で6回目を迎える。奈良市消防局は開催日を来年10月10、11日と決定。パレードやマーチングを計画している。会場や規模は今後、平城遷都1300年記念事業協会と協議する。
県内で音楽隊を持つのは同市消防局だけで、隊員は32人。消防活動の合間に、週2回2時間の練習を重ね、出初め式や小学校での訪問演奏など年間約20回の舞台をこなす。
総務課の中村秀明・職員グループ長が「練習中に火災が発生して、現場に向かうことは日常的にありますよ」と話すように、消防士ならではの苦労も。隊形を変えながら華やかに演奏する「フロアドリル」などの大技には挑戦したことがなく、「全国フェスティバルに向けてこれから練習です」と意欲を燃やす。
フェスには消防団からも参加する。これまで男性だけで組織されてきた市消防団に、先月から広報活動を担当する公募の女性団員39人が加わった。このうち有志約10人がカラーガード隊を結成。メンバーの奈良市六条西6、主婦、池本幸愛さん(28)は「体を動かすのが好きで、家でもほうきを回して練習している」と笑顔で話す。
中村さんは「消火活動も音楽もチームワークが大事。日ごろのチームワークを生かした演奏を楽しんでもらい、市民の方に消防士の存在を身近に感じてほしい」と張り切っている。
毎日新聞 2009年5月17日 地方版