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【東京】タフな浅草っ子に脱帽 三社祭神輿担ぎに挑戦2009年5月17日
青年部長の拍子木を合図に「うおー」と声が上がり、きらびやかな神輿(みこし)が威勢よく動きだした。浅草神社(台東区)三社祭二日目で、各町会の神輿がそろう町内神輿連合渡御があった十六日、記者(33)も「雷門」と背中に書かれたはんてんを羽織り、初の神輿担ぎに挑戦した。 同区雷門二丁目にある東京新聞したまち支局は「ライチュー」こと雷門中部町会の一員。記者は同支局に今春着任し、伝統の祭りを体験したいと参加した。 各町会の神輿百基が浅草寺本堂裏に集結した後、浅草神社で一基ずつおはらいを受け、正午すぎに市中へ繰り出した。わが町会は七番目。神輿の周りに若者からお年寄りまで男女百人前後がひしめきあい進む。担ぐ順番はその場の流れ。荒々しい男衆が集まる前方はあきらめ、やや後方で待機していると、仲見世通りで最初のチャンスが巡ってきた。 ぽっかり空いたスペースに体を滑り込ませ、少し気後れしつつ「おっさ、おっさ」と掛け声に加わった。観光客から「頑張って」と励まされ、顔を上げればカメラがずらり。不思議な興奮と快感が背筋を走った。 担ぐのはかなり難しい。神輿の上下するリズムにうまく体を合わせられず、角材で繰り返し肩を打たれるような痛みを覚えた。ベテランの足運びはダンスのように軽やか。町会役員は「受け身じゃなく、自分から担ぎに行かなきゃだめだ。数年やれば分かるよ」と教えてくれた。 タレントの勝俣州和さんもいた。なじみのうなぎ店に誘われ、プライベートで参加したという。「神輿を担ぐのはお守りみたいなもの。また一年むちゃしてみようかって思う」と笑顔。人との出会いも大きな魅力だ。 断続的に一時間弱担いで、夕方前に支局に引き揚げた。肩には赤いあざができ、ふくらはぎはぱんぱん。氏子らは夜も、次の日も神輿を担ぐ。浅草っ子のタフさと人情に脱帽しつつ、二日目が暮れていった。 (岡村淳司)
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