西大阪延伸線の採算性について研究しました。

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更新日2006.03.28

西大阪延伸線の国土交通省に出された鉄道事業認可申請書中の事業の成否という資料に平成21年から平成60年までの予想運賃収入および加算運賃運賃改定についての資料があります。

計算してみました。

運賃水準・加算運賃 開業後5年間は140円その後14年間は90円とした。
運賃改定 平成16年以降5年毎に12%の改定を見込んだ。

阪西延(13)第2号平成13年9月27日鉄道事業認可申請書:添付図書及び図面:
T当該区間の収支:1事業収支見積書及びその積算基礎:
(2)積算基礎:1)収支算定要綱:区間:西九条〜近鉄難波間(3.8Km)収入、
U整備の有無の差による収支:1事業収支見積書及び積算基礎:
(2)積算基礎:1)収支算定要綱:区間:阪神全線:収入欄に書かれている資料から抜粋

このことより平成16年の5年後平成21年開業年の運賃は156.8円(140円:現行4キロ未満運賃×1.12)となるようです。
加算運賃について平成25年迄140円、平成26年から平成39年までは90円、以降は無料になるということのようです。
このことから計算してみました。

事業認可申請書、2事業の成否A阪神電気鉄道株式会社(第2種鉄道事業者)
※当該区間収支(西九条〜近鉄難波)

年   度(平成) 21 22 23 24 25
運輸収入(百万円) 5386 5386 5386 5386 5386
加算運賃(円) 140 140 140 140 140
運   賃(円) 156.8 156.8 156.8 156.8 156.8
運 賃 計(円) 296.8 296.8 296.8 296.8 296.8
算出利用者数(人) 18146900 18146900 18146900 18146900 18146900

年   度(平成)

26 27 28 29 30
運輸収入(百万円) 5061 5061 5061 5061 5061
加算運賃(円) 90 90 90 90 90
運   賃(円)

175.6

175.6

175.6

175.6

175.6

運 賃 計(円)

265.6

265.6

265.6

265.6

265.6

算出利用者数(人) 19054970 19054970 19054970 19054970 19054970
年   度(平成) 31 32 33 34 35
運輸収入(百万円) 5400 5400 5400 5400 5400
加算運賃(円) 90 90 90 90 90
運   賃(円)

196.7

196.7

196.7

196.7

196.7

運 賃 計(円)

286.7

286.7

286.7

286.7

286.7

算出利用者数(人) 18835019 18835019 18835019 18835019 18835019
年   度(平成) 36 37 38 39 40
運輸収入(百万円) 5780 5780 5780 5780 4292
加算運賃(円) 90 90 90 90 0
運   賃(円)

220.3

220.3

220.3

220.3

220.3

運 賃 計(円)

310.3

310.3

310.3

310.3

220.3

算出利用者数(人) 18627135 18627135 18627135 18627135 19482524
年   度(平成) 41 42 43 44 45
運輸収入(百万円) 4807 4807 4807 4807 4807
加算運賃(円) 0 0 0 0 0
運   賃(円)

246.7

246.7

246.7

246.7

246.7

運 賃 計(円)

246.7

246.7

246.7

246.7

246.7

算出利用者数(人) 19485205 19485205 19485205 19485205 19485205
年   度(平成) 46 47 48 49 50
運輸収入(百万円) 5384 5384 5384 5384 5384
加算運賃(円) 0 0 0 0 0
運   賃(円)

276.3

276.3

276.3

276.3

276.3

運 賃 計(円)

276.3

276.3

276.3

276.3

276.3

算出利用者数(人) 19486066 19486066 19486066 19486066 19486066
年   度(平成) 51 52 53 54 55
運輸収入(百万円) 6030 6030 6030 6030 6030
加算運賃(円) 0 0 0 0 0
運   賃(円)

309.5

309.5

309.5

309.5

309.5

運 賃 計(円)

309.5

309.5

309.5

309.5

309.5

算出利用者数(人) 19483037 19483037 19483037 19483037 19483037
年   度(平成) 56 57 58 59 60
運輸収入(百万円) 6754 6754 6754 6754 6754
加算運賃(円) 0 0 0 0 0
運   賃(円)

346.6

346.6

346.6

346.6

346.6

運 賃 計(円)

346.6

346.6

346.6

346.6

346.6

算出利用者数(人) 19486440 19486440 19486440 19486440 19486440

                                              <表1>

例@

平成21年度の5386百万円を西大阪線内の運賃156.8円と加算運賃140円の合計額296.8円で割ると18146900人の利用客が必要である。

例A

平成30年度の5061百万円を西大阪線内の運賃175.6円と加算運賃90円の合計額265.6円で割ると19054970人の利用客が必要である

例B

平成45年度の4807百万円を西大阪線内の運賃246.7円と加算運賃0円の合計額246.7円で割ると19485205人の利用客が必要である。

例C

平成60年度の6754百万円を西大阪線内の運賃346.6円と加算運賃0円の合計額346.6円で割ると19486440人の利用客が必要である。

この表は事業認可申請書に記載されている運賃収入を同じく申請書に記載されている運賃、加算運賃を計算し、私が算出した予想利用者数で、実際の予想利用者数とは違います。
実際の予想利用者数資料も事業認可申請書中にありますが、少し理解しにくいので、上記の表を作りました。

鉄道のことなどまったく無知な私が西大阪線延伸区間の収支の資料に記載されている運賃収入が53.86億円(平成21年)計上されていて、運賃が140円(阪神4キロ未満現行140円です、平成16年から5年ごとに12%の運賃改定を見込むとのこと)から156.8円に値上げされ(実際このような金額ではなく例えば3キロ未満を150円にしたり6キロ未満を200円にしたりというような距離による調整はなされるはず)また加算運賃も考え合わせた運賃から利用者数を算出したもの。

下の表<表4>から、阪神電鉄全線輸送人員が214,528,000人(平成8年)であるので、西大阪線の予想利用者数はその約1/10の18,146,900人(平成21年)と言う数値は決して多い数値ではないだろう。
その人数云々より平成21年に比べ平成60年に利用者数が増加していると予測していることが大変重要なのです。

阪神電鉄の運賃改定の資料がありました。

値 上 げ 月 日

初乗運賃(円)

備   考

昭和59年 1984

1月25日

90

昭和62年 1987  5月16日

100

平成 1年 1989  4月 1日

100

消費税3%実施
平成 3年 1991 11月20日

120

平成 7年 1995  9月 1日

140

平成 9年 1997  4月 1日

140

消費税5%実施
参考文献:2004ハンドブック阪神

                                           <表2>

大阪市営地下鉄の運賃改定の資料がありました。

値 上 げ 月 日

1区運賃(円)

備   考

昭和48年

1973

4月 1日

50

昭和50年

1975

10月 1日

70

昭和51年

1976

4月 1日

80

昭和53年

1978

10月 1日

100

昭和56年

1981

6月17日

120

昭和59年

1984

7月 4日

140

平成 1年

1989

1月11日

160

平成 4年

1992

2月 5日

160

消費税導入2区以上10円値上げ

平成 5年

1993

7月 3日

180

平成 9年

1997

7月 1日

200

参考図書:大阪の地下鉄

                                               <表3>
値上げは需要と供給の関係があるのでは?
人口が減少するのに5年ごとの12%改定は可能なのでしょうか?
他の鉄道(交通)機関が値上げされれば西大阪延伸線も値上げできるだろう、でも他の鉄道機関も利用客確保の為値上げは難しいのではないでしょうか?
値上げできなければ予想運賃収入確保は難しくなります。5年ごとの12%改定は本当に可能なのでしょうか?
上記のように運賃改定は阪神も大阪市営地下鉄も平成9年から行われていない。阪神においては実質(消費税率以外の)改定は平成7年から行われていない

お解かりですか?平成21年の予想運輸収入は5386百万円、この金額を稼ぐのに18146900人の利用客が必要である。
そして、平成60年の予想運輸収入は6754百万円、この金額を稼ぐのに19486440人の利用客が必要である。
いや、線路使用料2429百万円稼ぐ為には1900万人前後の利用客数を40年間維持し続けなければならない。
 
可能なのでしょうか?
 
利用客は増加するのでしょうか?過去にこのような前向きすぎる開発をしたから大阪市はひどい目にあっているのではないですか?
この予想運輸収入の中から阪神電鉄は西大阪高速鉄道に線路使用料として平成21年度から40年間平成60年度まで毎年2429百万円支払わなければならない。収入の半分を家賃として支払う・・・・・
1900万人の利用客を確保できなければ阪神は自腹を切って線路使用料を支払わなければならない。

西大阪線事業認可申請書第X編西大阪延伸線(西九条・難波間)運転計画2.阪神電気鉄道株式会社
4.最近5ヵ年輸送実績表11頁(鉄軌道旅客選別輸送人員)の表から抜粋

利用者数(千人)

阪神本線輸送人員

対前年比

阪神電鉄全線輸送人員

対前年比

平成 8年度

183179

100.4

214528

104.0

平成 9年度

170745

93.2

200386

93.4

平成10年度

165860

97.1

194748

97.2

平成11年度

160849

96.7

188914

97.0

平成12年度

155598

96.7

183129

96.9

                                                 <表4>
阪神本線も阪神全線も輸送人員は減少し続けている。正直な資料と思います。

大阪市公営・準公営企業会計決算書抜粋
地下鉄ニュートラム利用者増減表
1日平均乗車人員(人)

昭和40年

昭和45年

昭和50年

昭和55年

昭和60年

平成2年

平成7年

平成8年

1965年

1970年

1975年

1980年

1985年

1990年

1995年

1996年

地下鉄

1,021,572

1,907,594

2,073,545

2,183,030

2,378,433

2,752,727

2,669,982

2,646,421

増減率

186.73%

108.70%

105.28%

108.95%

115.74%

96.99%

99.12%

ニュートラム

38,220

43,471

60,046

67,785

68069

増減率

113.74%

138.13%

112.89%

100.42%

合計

1,021,572

1,907,594

2,073,545

2,221,250

2,421,904

2,812,773

2,737,767

2,714,490

増減率

186.73%

108.70%

107.12%

109.03%

116.14%

97.33%

99.15%

1日平均乗車人員(人)

平成9年

平成10年

平成11年

平成12年

平成13年

平成14年

平成15年

平成16年
(予算)

1997年

1998年

1999年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

地下鉄

2,622,491

2,552,878

2,459,392

2,402,766

2,362,465

2,309,100

2,280,989

2,249,000

増減率 99.10% 97.35% 96.34% 97.70% 98.32% 97.74% 98.78% 98.60%
ニュートラム 69,828 67,783 66,511 65,980 67,886 65,774 65,180 65,000
増減率 102.58% 97.07% 98.12% 99.20% 102.89% 96.89% 99.10% 99.72%
合計 2,692,319 2,620,661 2,525,903 2,468,746 2,430,351 2,374,874 2,346,169 2,314,000
増減率 99.18% 97.34% 96.38% 97.74% 98.44% 97.72% 98.79% 98.63%

                                                       <表5>
大阪市営地下鉄も減少し続けている。

何よりも注意したいこと、それは西大阪延伸線の需要予測の基準となる年度。

それは平成7年1995年の人口などを基準にしていること。確かに国政調査の年でもあるのですが阪神大震災の年でもあり重要なる事業の基準とするのは誤差が多いように思う。

鉄道利用者数・・・・・
上記阪神の利用者を見ても3139万人減少している(平成8年:214,528−平成12年183,129<千人>)大阪市営交通にしても24万人減少している(平成8年:2,714,490−平成12年:2,468,746<人>)桁間違ってないかな??
阪神電鉄利用者数は年間輸送人員、大阪市営交通は1日平均乗車人員、また単位も<千人><人><百万円>などとされているので混乱。
(阪神の資料と公平にする為大阪市営交通利用者も平成8年と平成12年資料の比較)

鉄道利用者の減少は全国的なこと、そして少子高齢化による利用者の減少は確実であり平成21年の西大阪延伸線利用者はもっと少なくはないか?
人口増加期でも鉄道利用者は減少し続けてきたのに・・・・・・・

上記表から阪神は年間3.02%減少(上記近年5年間平均)市営交通(地下鉄ニュートラム)は1.97%の減少(近年8年間平均)少子高齢化を迎えるにあたりこの減少率はどうなるのだろう。さらに大きく減少すると考えれないだろうか?

いや減少すると考えて開発をすべきではないだろうか?

阪神電鉄もこの事業認可申請書の実績には正確な数値を記載しているが需要予想が甘い。
私たちは町の形状を変えないで鉄道の整備を望んでいます。・・・いました。と言ったほうが良いかもしれません。
このような収支予想なのに延伸を望むのは阪神にとっても足かせになるのではなかろうか?
住宅とは違うかもしれないが収入5386百万円(平成21年度<平成40年度はなんと4292百万円と予想>)の半分の2429百万円と言う家賃を40年間支払い続けなければならない。

このような収支予想ならこれはもう鉄道の整備など望んでいられないのではないでしょうか?

人口の減少期間近です。各企業はそれなりの対策を立てられているはず。国、府、市、行政はもっと危機感を持って少子高齢化対策をすべきなのです。
「2007年問題」や「団塊の世代」などのキーワードで検索できます。

部署によって温度差がある・・・・ある部署は真剣に少子高齢化のことを考えているのにある部署(西大阪延伸線などを考えている部署等)は過去と同じように町の整備をしようとする・・・・それはその部署の仕事ですから・・・・でも振り返ってください。
今までは作れば何とかなっていた、でもこれからは・・・・大阪ドーム・・・・あの形は確かに個性的です、でもあの形のために維持管理費が高いという話を聞きました。これからは今までに築いたもの(建物やシステム)を更新していかねばならない。将来に負債を残さず資産を残す・・・西大阪線も最初の発案時のきっかけは戦災復興事業であったはず、焼け野原の時期に延伸していればある意味九条の良い資産になっていたかも知れません。でも今ではある意味手遅れなのです。・・・・。負の遺跡(高架構造物、掘割壁、防水壁など)になるのです。

これらの資料を見ていかに西大阪線の収支予想が甘いか?思いませんか?
西大阪高速鉄道の希望の運賃改定「平成16年以降5年毎に12%の改定を見込んだ。」と希望の運輸収入の為の予想利用者数<表1>の算出利用者数

阪神電鉄と大阪市営地下鉄の運賃改定の時期について、少し疑問に思い消費税を調べると

日 本 の 消 費 税 の 歴 史

1978年

大平内閣時に、一般消費税導入案が浮上するも、総選挙に大敗し撤回。

1986年

第3次中曽根内閣時に、売上税法構想が世論の批判を浴びる。

1988年

竹下内閣時に、消費税法が成立、12月30日公布

1989年4月1日

消費税法施行 税率3%

1994年2月頃

細川内閣で税率を7%とする国民福祉税構想が世論の批判を浴びる。→白紙撤回

1997年4月1日

橋本内閣時、税率引き上げ(3%→5%)

資料:ウィキペディア

大変努力されていることと思います。が、裏を返せば消費税改定時にすら初乗り運賃は改定されていない。
西大阪高速鉄道の希望の運賃改定ができなければ希望の運輸収入も確保できない。希望の予想利用者数も大変不安がある。
この状況から阪神電鉄は西大阪高速鉄道に線路使用料として平成21年度から40年間平成60年度まで毎年2429百万円支払わなければならない。

鉄道事業認可申請書:阪神電気鉄道株式会社

申請理由全文

 本路線は、当社西大阪線西九条駅と近畿日本鉄道株式会社(以下「近鉄」という。)
難波線近鉄難波駅間(約3.8km)を結ぶ路線であり、大阪の都心部と臨海部を結ぶ
東西都市軸の機能を強化するとともに、大規模開発の進む都心南部や臨海部への広域
的なアクセス機能の強化にも資する路線であります。更に、当社の三宮駅、近鉄の近
鉄奈良駅の間を最長とする相互直通運転の実施により、鉄道ネットワークの広域的な
連続性の向上が図られることから、関西経済の発展に貢献する路線でもあります。な
お、平成11年度から平成12年度にかけて国土交通省により実施されました「都市鉄道
調査」の報告書においても、本路線に対し同様の評価がなされております。
 本路線については、昭和34年2月に当社が軌道法に基づく特許を取得し、うち西九
条・九条間については昭和40年10月に工事施行認可を得、昭和42年8月に工事に着手
したものの、諸事情により同年9月に工事を中断して以来、その後の建設物価の高騰
や沿線旅客需要の低迷などから、同社単独による建設・運営と言う形態では事業性が
確保できず、工事再開の目処が立たないまま、現在に至っております。

 しかしながら、この区間の整備は、単に当社西大阪線の利用者の利便性向上を図る
にとどまらず、本路線が「目標年次までに整備することが適当である区間」と位置付
けられた平成元年5月の運輸政策審議会答申第10号にも明記されているとおり、都市
交通ネットワークの観点からも不可欠の路線であることから、当社、大阪府、大阪市
等はその建設の実現へ向けてのさまざまな可能性の検討を行ってまいりました。その
結果、本路線は広域的な交通基盤整備プロジェクトであり、官民一体となって推進す
べき地域プロジェクトであるとして、関係者の適切な助成と積極的な協力関係のもと、
新線整備の資本コストを鉄道事業者、地方公共団体及び民間各社で分担し、その他多
様な資金を導入することが可能な第三セクター方式による整備が適当てあるとの結論
を得るに至りました。
 このような状況の下、平成13年度から国の「地下高速鉄道整備事業費助成制度」が
拡充され、第三セクターが建設主体となった場合にも公営事業者並みの補助が得られ
ることとなり、事業性の確保が可能と判断するに至りました。これを受けて、大阪府
及び大阪市の特殊比率が合わせて50%となる第三セクターである西大阪高速鉄道株式
会社が、同制度の適用を受けたうえで、平成20(2008)年度の完成を目途に第三種鉄
道事業者として本路線を整備し、当社は同社の鉄道線路を使用して第二種鉄道事業を
運営することといたしました。
 以上のような事情から、本路線を一日も早く整備いたしたく、今般、第三種鉄道事
業の許可を申請するものであります。
 なお、当社が有する本路線の第一種鉄道事業認可については、本申請に合わせて廃
止届けを提出いたします。


 

鉄道事業認可申請書:西大阪高速鉄道株式会社

申請理由全文

 本路線は、阪神電気鉄道株式会社(以下「阪神電鉄」という。)西大阪線西九条駅
と近畿日本鉄道株式会社(以下「近鉄」という。)難波線近鉄難波駅間(約3.8km)
を結ぶ路線であり、大阪の都心部と臨海部を結ぶ東西都市軸の機能を強化するととも
に、大規模開発の進む都心南部や臨海部への広域的なアクセス機能の強化にも資する
路線であります。更に、阪神電鉄の三宮駅、近鉄の近鉄奈良駅の間を最長とする相互
直通運転の実施により、鉄道ネットワークの広域的な連続性の向上が図られることか
ら、関西経済の発展に貢献する路線でもあります。なお、平成11年度から平成12年度
にかけて国土交通省により実施されました「都市鉄道調査」の報告書においても、本
路線に対し同様の評価がなされております。
 本路線については、昭和34年2月に阪神電鉄が軌道法に基づく特許を取得し、うち
西九条・九条間については昭和40年10月に工事施行認可を得、昭和42年8月に工事に
着手したものの、諸事情により同年9月に工事を中断して以来、その後の建設物価の
高騰や沿線旅客需要の低迷などから、同社単独による建設・運営と言う形態では事業
性が確保できず、工事再開の目処が立たないまま、現在に至っております。

 しかしながら、この区間の整備は、単に阪神電鉄の西大阪線の利用者の利便性向上
を図るにとどまらず、本路線が「目標年次までに整備することが適当である区間」と
位置付けられた平成元年5月の運輸政策審議会答申第10号にも明記されているとお
り、都市交通ネットワークの観点からも不可欠の路線であることから、阪神電鉄、大
阪府、大阪市等はその建設の実現へ向けてのさまざまな可能性の検討を行ってまいり
ました。その結果、本路線は広域的な交通基盤整備プロジェクトであり、官民一体と
なって推進すべき地域プロジェクトであるとして、関係者の適切な助成と積極的な協
力関係のもと、新線整備の資本コストを鉄道事業者、地方公共団体及び民間各社で分
担し、その他多様な資金を導入することが可能な第三セクター方式による整備が適当
てあるとの結論を得るに至りました。
 このような状況の下、平成13年度から国の「地下高速鉄道整備事業費助成制度」が
拡充され、第三セクターが建設主体となった場合にも公営事業者並みの補助が得られ
ることとなり、事業性の確保が可能と判断するに至りました。これを受けて、大阪府
及び大阪市の特殊比率が合わせて50%となる第三セクターである当社が、同制度の適
用を受けたうえで、平成20(2008)年度の完成を目途に第三種鉄道事業者として本路
線を整備し、阪神電鉄が当社の鉄道線路を使用して第二種鉄道事業を運営することと
いたしました。
 以上のような事情から、本路線を一日も早く整備いたしたく、今般、第三種鉄道事
業の許可を申請するものであります。

なぜ昭和42年8月に着工し同年9月に工事を中断したのでしょう???僅か1ヶ月で・・・・
そんなに魅力の無い延伸事業だったのでしょうか???この時期は人口も増え、日本にとってはばら色の時代であったのに・・・
簡単に・・・・

単独では事業政が成り立たない???3セクなら事業性はどのように成り立つのでしょう??
なんだか破綻した時の責任逃れがなされているように思うのですが・・・・・

阪神電気鉄道80年史に以下の文章がありました。(抜粋)

延長工事の中断(P332)
九条への延長に着手して間もなく、地元の商店街による建設反対に遭遇した。商店街側は、
延長線の建設によって街が分断することを恐れた。当社としては、地元の理解が得られる
ように交渉を行うこととしたが、工事そのものは着工後わずか1か月にして中断を余儀な
くされた。工事の中断が長期にわたるにつれて、いくつかの局面で情勢は変わってきた。
第1は、輸送量と輸送力の変化である。輸送量は本線、西大阪線ともに45年度をピーク
として、以後若干の減少を含む停滞基調に転じ、一方輸送力は、車両の大型化が完成した
ことによって、ピークに強い体質がつくられた。難波延長線建設の一方のおもな理由であ
った別線方式による線増の必要性は、かなり弱まったといわざるをえない。

第2は、競合する市営地下鉄の開通である。地下鉄千日前線は、40年に着工され、44
年には野田阪神・桜川間を開通させ、翌45年には、桜川・難波間を開通させて、新深江
方面へ伸びていった。かくして、難波延長線建設の他方のおもな理由であった大阪の都心
軸南端と阪神間諸都市を結ぶという役割は、野田駅での乗換えを伴うものの、かなりの程
度この千日前線によって実現されることになったのである。
第3は、計画線地域の都市構造が稠密化し、用地の確保が困難さを増したことおよび建設
コストが大幅に上昇したことである。これらの点から当社としては、積極的に短期間のう
ちに難波延長線を建設しなければならない動機を失つた。
もつとも、延長線の開通によっ
て新たな需要の開拓も期待されたが、一私企業の手に負えなくなりつつある建設費負担の
間題と合わせて、この問題の解決は将来に残されている。

次のページ(地盤沈下のページ)で書いていますが、地盤沈下も昭和42年の中断原因のひとつであったことと思います。
中断原因は需要低迷、建設コストの高騰、そして地盤沈下・・・・
中断原因が地元の反対だとばかりだと思っていましたが・・・・・隠していたのでしょうか??需要低迷と地盤沈下??

方向別・列車種別ごとの列車本数および運行車両数

列 車 種 別

両数

列 車 本 数

昼 間 車 両 数

夜 間 車 両 数

車両数
合計
連結開放
及び発着駅
昼間 夜間 合計 M車 T車 合計 M車 T車 合計







6 4 10両 12 1 13 72 48 120 6 4 10 130 尼崎駅にて6両から連結 すべて尼崎駅以西発
5 5 12 1 13 60 60 120 5 5 10 130
5 3 8両 1 4 5 5 3 8 20 12 32 40
4 4 1 4 5 4 4 8 16 16 32 40
4 2 6両 64 13 77 256 128 384 52 26 78 462 143本尼崎駅発
11本尼崎駅以西発
3 3 64 13 77 192 192 384 39 39 78 462
合計 154 36 190 589 435 1024 138 102 240 1264





6 4

10両

12 1 13 72 48 120 6 4 10 130 尼崎駅にて6両に開放 すべて尼崎駅以西行き
5 5 12 1 13 60 60 120 5 5 10 130
5 3

8両

1 4 5 5 3 8 20 12 32 40
4 4 1 4 5 4 4 8 16 16 32 40
4 2

6両

64 13 77 256 128 384 52 26 78 462 143本尼崎駅終点
11本尼崎駅以西行き
3 3 64 13 77 192 192 384 39 39 78 462
合計 154 36 190 589 435 1024 138 102 240 1264
時間区分は昼間:7:00〜22:00  夜間:22:00〜7:00

表の説明:列車本数は環境影響評価書P81:表5.1.1方向別・列車種別ごとの列車本数
運行本数は片道190本、車両数は片道1264両
西大阪線延伸線に係る環境影響についての検討結果報告書P8に普通車6両は尼崎まで143本
急行系6・8・10(尼崎で6両に連結解放)47本運転と書かれている。
上記表から6両車は154本8・10両車は36本である。つまり36本の列車については連結解放作業が
必要であるが6両車も11本尼崎以西に乗り入れる。
10・8両車はすべて急行糸と推測される。

本路線を走行する阪神の車両重量は27〜35d、近鉄の車両重量は29〜38d(西大阪延伸線に係る環境影響についての検討結果報告書/大阪市環境影響評価専門委員会
・・・軽いのがT=トレーラー車両(牽引車両)、重いのがM=モーター車両(駆動車両)

国広情第27号平成15年5月19日国土交通大臣林寛子様名で行政文章開示決定された西大阪延伸線にかかる資料のうち、阪西延(13)第2号平成13年9月27日・あて先:国土交通大臣○○○名、
    申請者:阪神電気鉄道株式会社代表取締役社長△△△名の鉄道事業認可申請書。
(2)積算基礎 1)収支算定要領 区間:阪神全線の資料の費用欄、人件費単価(鉄道事業専属の単価7,682千円/年)および「連結開放要員17名」

36本の電車(上下72本)の連結開放要員が17名でその単価が7,682千円/年・・・・
えーーと・・・17×7,682=130,594千円・・・・1おく3ぜん5じゅう9まん4せんえん・・・・・
連結開放しなければ要らない金額です。
1日36本の(上下72本)電車の連結開放に1億円以上の費用が・・・・・
そもそも・・・

近鉄電車は長さは20.72m阪神電車は18.98m

(パンフレット・Nからはじまる新たな未来へ:西大阪延伸線/西大阪高速鉄道株式会社・阪神電気鉄道株式会社)

田園郊外住宅地を走る近鉄電車、阪神工業地区を走る阪神電車・・・・6両なら10.44mもちがいます〔(20.72−18.98)*6=10.44〕阪神本線はこの近鉄電車の乗り入れのために駅舎を10.44m延長しなければならない・・・・。
阪神本線は駅舎の延長工事をしています。

阪神本線に不要な8・10両列車を尼崎駅で連結開放作業をする人件費1億円余り、その車両の留置場所、施設、尼崎駅まで不要な8・10両列車の運行費用、そして地元へは不要車両の騒音振動、福駅の地上踏み切り箇所では渋滞など・・・・

結局神戸から奈良まで真の直通列車は11列車、尼崎駅で連結開放列車は36列車尼崎駅で折り返し列車は143列車・・・・
輸送力の大きい近鉄列車の難波折り返し施設(阪神電鉄所有施設)をなくしてしまうから近鉄の折り返し列車が尼崎駅まで運行される。
このような運行計画、私鉄の相互乗り入れ計画なら・・・・・・・どうでしょうか????
阪神電車尼崎駅はまるで近鉄の折り返し操車場に思えるのですが・・・・
西大阪線はその操車場への連絡線に思えるのですが・・・・
その操車場整備のために3セクとして税金が投下されるのはおかしい、と思うのですが・・・・

時々言われます「もうここまで工事が進んでいるんだから・・・・・」
でも私たちは、当初から反対しています。都市計画審議会では昭和42年の中断のことを踏まえ、今度こそ反対にあわないように、中断しないように事前に地元説得をし、納得してもらってから着工してください、見切り発進しないようにしてください。と言うようなお言葉を頂いています。私たちは十分な説明を受けていません。
事業の説明、私たちが納得できるお話かと思って説明会に出向いても、工事の制約の説明(通行制約や作業員のヘルメット、制服の説明)をしようとしたので混乱し、そのまま強硬工事がなされています。
詳しく書くと・・・、当初は高架の高さや、通行できる箇所の構造(通行可能信号の幅や高さなど)や民家との距離、その民家への騒音や振動の大きさ、万が一問題が起こった時の対応窓口など決まっていなかったのです。「次回の説明会にこれらの質問に対する回答をします」とそのときの責任者は発言されました。ところが以後の説明会ではこれら地元からの質問に対する回答がなされないまま上記のような工事制約に対する説明会がなされたので地元は憤慨しているのです。
記憶に残るのが当時の北村部長に万が一の対応窓口がどこなのかと尋ねたところ「それは線路の所有者、西大阪??あ?いや違う??電車の運行の阪神?あ??え??」ってなことであいまいにされたままです。今考えると・・・電車が運行され、騒音や振動がひどくなった時(騒音振動対策部品の劣化/いつか忘れましたが、防音壁が落下したと言う記事がありましたよね?防音壁の固定ボルトの劣化が原因だったそうで・・・・)経年劣化は必ずあります。そのときの対応窓口は???設備に対しては西大阪高速鉄道、列車に対しては阪神電鉄とは思うが・・・近鉄電車も運行されるわけで・・・地元としたどの電車が騒音がひどいとか、音がするのが線路が悪いからだとか車輪が悪いからだとか、これは近鉄車両、阪神車両と分析できるものなのでしょうか?
苦情処理する部署を必ず設けるべきなのですが、その説明も無いまま・・・


ここで中断になったら・・・・誰が責任とるのだろうか???都市計画審議会では地元への十分な説明、説得を条件に着工するようにと審議されている。この審議の言葉を無視しての強行工事は都市計画審議会の存在の意味をもなくしてはいないだろうか?

お友達のサイトに都市計画審議会のことや電車の騒音、防音壁のことなど書かれています。是非ご覧ください。



仮説昭和42年の中断原因は地盤沈下