2009年5月17日8時16分
党代表選で小沢路線の継承を訴えながら、「愛のある政治」を説き続け、鳩山カラーを発揮した。16日に示した代表選公約のタイトルも「友愛の日本を創(つく)る」。この浮世離れしたキャッチフレーズこそが、「宇宙人」と呼ばれる鳩山由紀夫氏(62)のつかみどころのなさを浮き彫りにしている。
「友愛とは、すべての人が互いに人の役に立ち、必要とされることで、社会につながっているきずな。居場所を見つけられる世の中だ」
鳩山氏は16日の政見スピーチで、「友愛」の理念をこう説明した。そんな主張を「頼りないと申す方も多くいる」ことは自覚している。だが就任後の記者会見でも「友愛社会を建設するのは並大抵のことではない。官僚主導の政治と決別する宣言だから」と、今後も貫く姿勢を強調した。
「友愛」を基本理念に打ち出したのは、96年のさきがけ時代のリベラル合同構想から。「友愛」の提唱者である祖父・鳩山一郎元首相の言葉を引いて「両立しがたい自由と平等を結ぶかけ橋」と論文で説明し、同年の旧民主党結党につなげた。
中曽根元首相は、この理念を「ソフトクリーム」に例えた。甘くてすぐに溶けて消えてしまう、という意味だ。この日の両院議員総会でこの点を指摘されると、「かつて中曽根さんに言われた。ソフトクリームからアイスキャンディーになった。芯が出てきたな、と」と反論。だが、果たして芯は出てきたのか。
人柄の良さは折り紙付き。「政治は愛」「政治を科学する」などと他の政治家からはめったに聞かれない言葉を口にするため、永田町では「宇宙人」と呼ばれるが、大衆受けはいい。車いすの高齢者や子どもには目線を合わせて話し込む。3年半前の幹事長就任以来、全国遊説を精力的にこなし、街頭で一人ひとりに配った名刺は3万枚に上る。