慌ただしい世の中の動きに目を奪われがちだが、日々の重要な事柄にあらためて気付かされることがある。ケーブルテレビから時折流れる子どもが遭遇した不審者に関する文字情報もその一つ。
情報元の岡山県警本部のウェブサイトをのぞくと、そこには犯罪事案とともに、犯罪には至らない「ヒヤリハット」事例が並ぶ。「下校中に車に誘われた」「男につきまとわれた」。子どもを狙う危険の芽は相変わらず多い。
警察庁科学警察研究所や大学などの研究グループが、こうしたヒヤリハット事例の本格調査に乗り出した。犯罪の前兆といわれながら、把握できるのは警察に届けられたものだけ。「不審者」の定義や行為の判断基準もばらばらで実態はつかめていない。
このため、統一的な「物差し」を作って大規模調査を行う。子どもの被害状況や日常行動を把握して、より効果的な防止策に生かそうとの狙いだ。
本年度からモデル地域を指定して実施。将来的には全国的なデータ収集を目指すという。「待ち」から「攻め」の転換による正確な情報の共有が待たれる。
きめ細かな情報が得られれば、それを生かす取り組みの重要性も増してくる。家庭や学校はもちろん、地域の目とネットワークをさらに広げ、犯罪被害から子どもたちを守りたい。