県内27の自治体病院(市町村立、一部事務組合立)の2008年度決算見込みが15日、県のまとめで分かった。公立病院特例債の活用などで、手持ちの現金不足を示す不良債務額は約115億円と、07年度に比べて32・6%(約55億5千万円)減った。しかし、これは公立病院特例債によるところが大きい上、依然多額の不良債務を抱えており、県では「各病院が策定した公立病院改革プランを実行し、計画的に解消することが求められている」(市町村振興課)とした。
同課が今年4月現在で概算値を集計し、15日に青森市で開かれた自治体病院事務(局)長会議で説明した。病院数は藤崎病院と平川病院の診療所化で29から27に減少した。
特例債は公立病院の不良債務解消に向けた国の支援策で、08年度に限り起債できた。県内では8病院が計56億2720万円を発行。特例債を発行した八戸市立市民病院など3病院が不良債務を解消し、不良債務を抱える病院は20から17に減った。不良債務額が減少したのは1997年度以来。
特例債を発行し、一時借入金を長期債務に振り替えたことで、手持ちの現金不足は幾分解消された。しかし特例債も借金。不良債務額に特例債残高を加えた「資金不足額」は170億6700万円で、07年度に比べ0・1%(2400万円)増加した。
増加幅は各病院の費用節減や、一般会計からの繰り入れを増やしたことで極力抑えられた形となった。費用節減は医業収益の減を上回り、経常損益は47億5800万円の赤字で、07年度に比べ25・1%(15億9400万円)改善。特別損益を含めた純損益は31億3300万円で、35・9%(17億5100万円)改善した。一般会計からの繰り入れは、07年度の約115億円から129億円に増えた。
県市町村振興課理財グループの神登喜彦マネジャーは、増加幅が抑えられたことについて「(各病院が)08年度に改革プランを策定する過程で、経営効率化に努めてきたと思う。その取り組みは、ある程度評価できる」と述べた。
一方で「依然として多額の赤字を抱える状況にあり、医師不足など医療を取り巻く情勢は厳しい。改革プランを今年度から着実に実行に移してほしい」と語った。