第5章 最近話題の「コンデンサ」ってなに?
コンデンサは電力の「貯蔵庫」
最近の電源ユニットの新製品で大きく注目されているのが、搭載されている部品の一種である「コンデンサ」と呼ばれるものだ。この部品に関する情報も、変換効率のように、品質のよい電源ユニットを選ぶ際の目安となる。 コンデンサとは、「蓄電器」(ちくでんき)や「キャパシタ」とも呼ばれる。役割は、電気を一時的に貯めておく役割や、電源の細かな出力の乱れを整える役割を持つ。細かな構造が異なるので乱暴な言い方となるが、容量の小さい充電池のような働きをする部品と考えるとわかりやすいだろう。
さて、電源ユニットは、第1章の最初で紹介したように、細かな電源トラブルからパーツを保護する役割を持っている。この役割において大きな役割を果たすのがコンデンサだ。
例えば、パソコンが動作中に、なんらかのトラブルでAC電源の出力が低下した場合などは、電源ユニットはコンデンサの中に貯めた電気を使って不足分の電力を補い、DC変換後の出力低下を防ぐのである。こうしたコンデンサの役割を聞くだけでも、コンデンサの役割がどれだけ重要か、おわかりいただけるのではないだろうか。
さて、コンデンサは動作原理や製造方法によっていくつかの種類があるが、パソコンで多く使われる「電解コンデンサ」と呼ばれる種類のコンデンサは、最新の電源ユニットやマザーボードなどで注目の部品となっている。その理由は、電源ユニットやマザーボードの耐久性をほぼ決めてしまう(=他の部品に比べて、寿命が短い)部品だからである。
電解コンデンサが他の部品と比べて寿命が短いのは、その構造にある。基本的には、缶状のケースの中に、電極と「電解液」と呼ばれる特殊な液を浸した紙などが入っている(ここも電池と似ているところだ)。この電解液は原理的に、使用に伴ってじょじょに劣化してしまうのだ。
なお、マザーボードでは、電解液の代わりに特殊なプラスチックシートなどを内蔵した「固体電解コンデンサ」と呼ばれるものが採用されることがある。これは、電解液を廃することで長寿命を実現しており、熱にも強い。マザーボードを選ぶ際には、見逃せないポイントだ。
信頼性と耐久性の目安となる「日本メーカー製コンデンサ」に注目
さて、このように重要なコンデンサ。電源ユニットを購入する際にも、可能な限り寿命が長く、品質のよいものが搭載さていれることを確認しておきたい。
実は新しい電源ユニットであれば、これをある程度確認できる。ポイントは、「日本メーカー製コンデンサ」だ。
コンデンサは日本をはじめ、台湾や中国など、多くの国で作られている。しかし、実はこの限界液の製造法や缶の密閉方法には、様々な特許や細かなノウハウが必要とされ、実際の品質はそうしたノウハウを蓄積した、日本メーカー製が最良の評価を得ている。
そこで最新の電源ユニットは、安価な製品でも、とくに重要な箇所には日本メーカーの製品を使っている。さらにPRO82+/MODU82+などの高級な製品では、使われているすべての電解コンデンサに日本メーカー製品を搭載している。「日本メーカー製コンデンサ搭載」というようなキャッチコピーはパッケージに書かれているため、購入時にはこれを確認するのがよい。
さて、最近の電源ユニットはWebサイトの製品紹介ページなどで内部構造の写真を掲載しているメーカーも多い。こうした写真で注目したいのが、搭載されているコンデンサの数だ。安価な製品では、出力容量に必要な最低限の数のコンデンサを使っているが、高級な電源ユニットは、コンデンサの数も本来必要される数より多くを搭載する。
これは、温度が高かったり、出力容量ぎりぎりの負荷を掛けるといった悪条件でも、安定した性能を維持するためだ。つまり、内部のコンデンサの量で、ある程度電源ユニットの質がわかる、という訳である。
このように、コンデンサの品質や量に気を配った電源ユニットは「丈夫で壊れにくく、温度の高い場所で使っても耐える」という高耐久性設計となっている。
PRO82+とMODU82+では、すべての電解コンデンサが日本メーカー製で、耐熱温度も試用した個体では105℃品が使用されており、信頼性重視のパーツ選定になっている。当然こうした信頼性の設計は製品価格にも跳ね返るが、これはパソコンを安心して使える保険のようなコストとなる。可能な限り品質の高いコンデンサを搭載した製品を選びたい。
お詫びと訂正
記事初出時、すべてのコンデンサが日本メーカー製と記載しておりましたが、すべての電解コンデンサが日本メーカー製の誤りでした。また、すべての電解コンデンサが105℃品であるという誤解を招く表現がありました。お詫びして訂正します。
(2008/10/07)