恐喝で得た「収入」があるにもかかわらず、生活保護を不正に受け取っていたとして県警組織犯罪対策課などは14日、佐野市植下町、山口組系暴力団組員、広兼光則被告(45)=恐喝罪で公判中=と妻の加代子容疑者(40)を詐欺容疑で逮捕した。
逮捕容疑は05年10月~08年1月、生活保護の受給資格を超える収入があることを同市に届け出ず、28回にわたり生活保護費計約450万円をだまし取ったとしている。
捜査幹部によると、2人は03年11月から「病気で収入がない」として、生活保護を受けていた。しかし同被告は04年10月、新潟中越地震の復興事業に介入し、養鯉(ようり)池の修復工事を請け負った建設会社の社長から現金約225万円を脅し取るなどし、受給資格を超える「収入」を得ていた。
県警はこうした生活保護の不正受給が暴力団の資金源になっていることに神経をとがらせており、県や関係機関との連絡協議会を先月28日に設立。申請者が暴力団組員であることが疑われる場合、情報交換を密にするなど、不正受給を防ぐための対策を強化していた。【松崎真理、吉村周平】
毎日新聞 2009年5月15日 地方版