<新型インフル>「やったあ」生徒歓声、マスクはずし拍手
5月15日21時16分配信 毎日新聞
停留措置を解除され、迎えに来た妻と抱き合って再会を喜ぶ米国人男性=成田国際空港第1旅客ターミナルビルで2009年5月15日午後5時半撮影 |
ホテルで生徒たちは、毎日午前6時半に起床。同じフロアで食事を離れて取り、洗濯物も他人と一緒にできないため、下着などは配布された洗剤を使って室内で洗った。
大阪府教委によると、生徒はこの日夕、ホテルの食堂に集合。成田空港検疫所の藤井充所長が「停留を解除します」と話すと、「やったあ」と歓声が上がった。「みんなでマスクを取ろう」と言われ、全員がマスクを外すと拍手が起きた。生徒たちは「部屋で孤独だったが、食事の時にみんなに会えるのが楽しかった。みんなと一緒だから頑張れた」と話し、1階ロビーでは「外の空気がおいしい」と話していた。
留め置かれていた47人はホテルをバスで出発し、大阪府寝屋川市の一行は空路、大阪へ。成田空港で生徒らは携帯電話で家族や友人に「今から帰るよ」と連絡していた。
一方、保護者らが待つ高校には午後9時ごろ、大阪空港から生徒を乗せたマイクロバス3台が到着。バスが校舎前に横付けされると、保護者約40人が校舎から飛び出し、学校関係者らとバスに駆け寄った。
大きなバッグを持った生徒らはもみくちゃにされ、「先生、久しぶり」と叫びながら、教諭らと握手を交わした。保護者が「お帰り」と声をかけ、生徒らは拍手の中、保護者と体を寄せ合い、再会を喜んでいた。
停留措置を解除された他の乗客らもマイクロバス2台に分乗し、成田空港に到着。出迎えの家族と喜びの再会を果たした。
米ノースカロライナ州在住の米国人男性(53)は、到着ロビーで出迎えた妻(49)から「ウエルカムホーム」と声をかけられ、固く抱き合って喜びを分かち合った。妻は滞在中頻繁にホテルを訪れ、バラの花束や食料を差し入れたといい、「彼の姿を見てほっとした。平気だと思っていたけど、気付かないうちに家族もストレスがあったのかもしれない」と涙ぐんだ。男性は「毎日のように妻とテレビ電話で話したり、メールをやりとりしたことが一番の支えになった。今はおすしが食べたいね」とほっとした表情だった。
【倉田陶子、駒木智一、荻野公一、斎川瞳】
◇「ペットと遊びたい」
大阪に戻った府立高校の生徒らは、日常生活に戻る喜びや停留中の不安などを大阪府教委を通じた報道機関のアンケートに寄せた。
「したいこと」の質問には「ペットと遊びたい」「自分のベッドで寝たい」「カラオケに行きたい」など、普段の暮らしへの思いがあふれた。生徒や教諭の一部が新型インフルエンザに感染したカナダについても、「よかった」「カナダの思い出を早く話したい」という声があった。
「勉強が遅れている」という不安の声もあったが、在校生たちからの手紙に「涙が出るほどうれしかった」など、感謝の言葉も。一方で、ネット上で中傷の言葉を見つけて「つらい気持ちになった」と記した生徒もいた。
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最終更新:5月15日23時58分
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