西松・内部調査、違法献金の原資11億円…名目は特別賞与
5月15日23時4分配信 読売新聞
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記者会見で謝罪する石橋直社長(中央)ら=岩波友紀撮影 |
政治団体への会費を支払う社員への補填(ほてん)分として、同社が総額11億円もの特別賞与を支出していたことが新たに判明。報告書は、政治資金規正法違反罪などで起訴された前社長の国沢幹雄被告(70)だけでなく、役員や社員らにも責任があると指摘したが、小沢一郎・民主党代表をはじめとする政治家側とのやりとりについては、一切、明らかにされなかった。
この日午後、公表された報告書はA4判で約50ページ。東京証券取引所と国土交通省で2回に分けて行われた記者会見で、石橋社長が要約を読み上げた。また、6人の取締役のうち、石橋社長ら5人が取締役を退く人事も公表された。
「政治団体を設立し、特別賞与を交付して社員名義で寄付させたのは、巧妙に仕組まれた脱法行為」「他に類を見ず、極めて悪質」−−。報告書は、西松建設によるダミーの政治団体を使った政治献金の違法性を、厳しい言葉で指摘した。
報告書によると、同社は政治団体名義で企業献金を続けるため、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を設立。成績優秀者の社員へ特別賞与名目で金銭を支給し、これを元に、政治団体に会費を支払わせていた。与野党の国会議員らへの資金提供は計約4億7800万円だったが、特別賞与には、社員が支払う税金や社会保険料も含んでいたため、その総額は約11億円に膨らんでいたという。
政治団体の存在について、石橋社長は記者会見で、「おぼろげにわかっていながら、容認していた」と明かした。報告書はこうした工作が国沢被告の主導だったとする一方で、「役員、幹部が茶坊主となって、違法行為を阻止するどころか、消極的とはいえ推進していた」と批判。特別賞与を支給されていた社員に関しても、「誰一人反対の意思表示をしなかった。違法行為は全員の責任」と反省を促した。
しかし、報告書の中には、秘書が規正法違反罪で起訴された小沢代表以外、政治家の名前は登場しなかった。記者会見で、何人の政治家にいくら献金したかに質問が及ぶと、石橋社長は「把握していない」と述べるだけ。献金を受けていた政治家側とどのようなやりとりをしたかについても、「はっきりしたことは分からない」と言葉を濁した。二階俊博・経済産業相の関連政治団体の事務所家賃を補填していたとされる問題については、「調査はしたが、(東京地検の)捜査中なのでコメントは差し控える」とした。
報告書は、外部の弁護士を含む調査委員会が延べ100人以上の会社関係者から聞き取りをしてまとめた。海外で捻出(ねんしゅつ)した裏金は総額約8億9300万円、国税当局に支出を明らかにしなかった使途秘匿金は2008年度までの5年間で約26億円にのぼることも判明した。
最終更新:5月15日23時4分
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