株価連動債で株式操作の疑い、金融監督院が調査
金融監督院は15日、ある外資系銀行が取り扱っている株価連動債(ノックイン債)に関連し、株価操作の疑いが強まったとして、本格的な調査に着手したことを明らかにした。
株価連動債とは償還額や利率が株価に連動して変動する債券を指し、株価が一定水準を下回らなければ元本が保証される高リスクのデリバティブ商品だ。
問題となっている「ハンファELS10号」は、満期日時点でポスコとSKの2銘柄の株価が契約時点の株価の75%(ノックイン価格)を上回っていれば、元本と22%の確定利回りで償還しなければならない。しかし、2銘柄のうち1銘柄でも契約時点の株価の75%を下回れば、2銘柄のうち株価が安いほうの銘柄を基準に元本が減額されて償還される。たとえば、2銘柄の満期時の株価が契約時の72%、65%だったと仮定すると、投資家は利回りどころか、元本の65%しか受け取れないことになる。こうした商品構造のため、運用会社には満期時の株価をノックイン価格(75%)より人為的に引き下げようとする誘惑が生じる。
ハンファELS10号の満期日は4月22日だったが、直前の株価はノックイン価格の11万9625ウォン(約9100円)をわずかに上回る水準で小動きしていた。しかし、満期日の大引けにかけ、SKに売り注文が集中し、株価は11万9000ウォンで引けた。この商品の設定額は68億ウォン(約5億1700万円)だったため、運用会社の外資系銀行は30億ウォン(約2億2800万円)の償還を免れたことになる。
韓国取引所はこの差益が株価操作の動機になり得ると判断し、ほかの株価連動債にも株価操作があった可能性があるとみて調べている。
実際にハンファELS10号と類似したケースが存在する。本紙が確認したある証券会社の株価連動債は、対象銘柄の株価が契約時の80%以上ならば、元本と16.5%の利回りで償還することになっていた。しかし、先月末に対象銘柄の株価は80%ぴったりの9万8400ウォン(約7490円)で引けた。株価があと100ウォン(約7円)下落していれば、投資家は元本の20%以上の損失を受けるところだった。
こうしたリスクのため、株式市場専門家は株価連動債の制度的改善が必要だと主張する。証券会社代表は「個別銘柄を対象にした株価連動債は株価操作の誘惑が生じやすい。個別銘柄を対象資産とする株価連動債は出来高が多い銘柄に限るとか、満期直前5-10日間の終値を平均して満期時の株価を算定するなどの補完策が必要だ」と指摘した。
株価連動債の販売許可を担当する金融監督院の関係者は「株価連動債の取り扱い許可を受けた金融機関は、届け出だけで商品を販売できるため、個別商品ごとに監督を行うことは不可能だ」と説明している。
キム・ジェゴン記者
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