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独自の発展を遂げた韓国のラブホテル

 最近は大きく変わったというが、ラブホテルといえば、城や宮殿のような形を思い浮かべる。中世ヨーロッパの城の形がなぜ、ラブホテルの代名詞のようになってしまったのだろうか。『裏から見た都市、ひっくり返して見る建築』という著書でラブホテルについて論じた、順天郷大建築学科のヤン・サンヒョン教授は「防護壁を有する城の形にすることで、“世間の目にさらされない場所”というイメージを与えるとともに、中に入れば王子様やお姫様になれるという幻想的なムードを演出している。結婚式場やラブホテルなど、男女の愛を語る場所が城の形をしているのはまた、韓国社会のアイロニーともいえる」と説明した。

 外部には見せたくない韓国社会の恥の一つがラブホテルだ。だが、韓国人たちがこれを隠そうと必死になっている一方で、外国人たちの間ではこれが「韓国的な文化」「韓国的な空間」として認識されている。

 こんなエピソードがある。国際的なイベントの取材のため韓国を訪れた外国の記者たちが、ホテルを確保できなかったため、ソウル市内のあるラブホテルに泊まったことがある。不満が噴出したらどうしよう、と主催者側は気を揉んだ。ところが予想に反し、記者たちは「ワンダフル!」を連発した。きれいな設備や、超高速インターネットを完備していることなどが、外国の記者たちの間では「時代の最先端を行く韓国」の象徴として認識されたのだ。実際、外国で発行されているガイドブックでも、韓国独自のリーズナブルな宿泊施設として、ラブホテルでの宿泊を勧めるケースも少なくない。

 ラブホテルの元祖は日本だが、1980年代に韓国へ伝わった後、「韓国式ラブホテル」として進化を遂げた。日本のラブホテルは、男女が性行為をするための閉鎖的な場所になっていることが多いが、韓国式のラブホテルは用途も多彩だ。当初は「不適切な性的関係のための秘密めいた場所」と認識されていたが、最近は学生街や都心にあるラブホテルが、グループの合宿やちょっとした集まりでも利用されるようになり、「秘密めいた場所」から「公共の場所」へと変化を遂げている。ラブホテルの規模が大きいこともまた、日本とは違う点だ。

 ラブホテルだけの特異な構造や外見は、「絶対に秘密を守れる場所」という客のニーズに由来するものだ。従業員たちと顔を合わせる必要がない最先端の無人チェックインシステムが整備され、またほかの宿泊客とばったり出くわさないよう、廊下は迷路のようになっている。一般のホテルによくあるロビーや、エレベーターの横のソファなどもなく、出入り口から客室までがトンネルのような構造になっている。ソウル・デザイン財団のパク・サムチョル都市ギャラリー部長は「建築の目的がはっきりとしすぎているため、ほかのどの建物よりも概念や方法論が徹底的に取り入れられている」と説明した。

 そして最近、韓国のラブホテルはさらなる変身を遂げようとしている。京畿道楊州市をはじめ一部の地域では、ラブホテルを作家たちの作業場としてリフォームする動きが出ている。性的関係を持つための場所から、文化の拠点へと生まれ変わり、外見上のイメージをも変えようとしているのだ。

キム・ミリ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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