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【コラム】香港科技大の報告書(下)

 教授の採用、報酬、評価について見てみよう。「教授の9割が米国およびカナダの大学で学位を取得し、一部が欧州、オーストラリア出身」と、狭い香港だがコネが通じる隙がない。「教授の報酬は米国やカナダと同じ水準で、浅水湾に位置していることから大学環境が大変よく、給与よりも魅力的」とのことだ。ほかにも太平洋を見下ろすことのできる60坪(約200平方メートル)のマンション提供、子供の学資金全額支給、家族の旅行費支給などが明記されていた。こういった「アメ」で「世界各国から優秀な教授を招へいし続けているが、報酬は能力に応じて差があり、昇進は厳格で競争が過酷なため、(能力のない)多くの教授は去るほかない」とされている。

 「ゴルフを楽しむ教授もいるが、ゴルフをするということを話せない雰囲気。教授は研究などで忙しく、ゴルフをする時間などないということ」と記されている部分(17ページ)も目を引く。人気投票ではなく、能力主体で総長と学長を選任する過程も興味深い。19ページでは「優秀な外国人教授を採用し、最初から100%英語だけで教育、研究し、米国式の厳格な教員昇進評価システムを採用した点などが、短期間に世界的大学に成長した要因」と結論付けている。

 この報告書が見逃している部分もある。学部生の半数以上が広東語を話す香港出身なのに、どうやって100%英語での授業が可能なのだろうか。学校側はこれについて、「香港の人口は700万人に過ぎないが、100%英語で授業する国際学校が、小学校はおよそ30校、中学・高校はおよそ30校と全60校を超える。子供のころから英語での授業を受けているため可能」と説明した。

 この報告書を韓国の教育部長官や教授、大学生にも読んでほしい。特に若い学生を人質に、世界の教育界の流れに逆行する教師集団の人々には是非読んでもらいたい。総長を務めて今年で9年目となる朱経武氏は、「われわれのモットーは“枠にとらわれるな”だ。世界が急速に発展している中で、外に目を向けないとしたら、それは自殺行為だろう。枠の中に閉じこもって死ぬわけにはいかない」

李恒洙(イ・ハンス)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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