ネタつつき42ーこの業界に蔓延する「情報は正確に」病2009-05-16 Sat 11:24
私は職業柄他業種の人ともよく話しをします。それで気付いたのだと思いますが、この業界の人達は私を含めて情報は正確にという病気に罹っている人が多いと感じます。例えば、誰が相手であろうとオブジェクト指向という言葉を使い、私が違う普通の言葉で他業種の人に説明するのを嘲笑する人などに遭った事があります。しかし、こういった人程、狭い視野で物事を見る人が多いようです。このオブジェクト指向をという言葉が本当に正確なのか検証してみましょう。先ず最初におかしい点はオブジェクト指向とは分析・設計・実装に分かれている事を考慮していない事が挙げられます。この三つは違う概念でありその時点で情報が正確ではありません。それに加えて、分析・設計・実装も幾つかバリエーションがあります。特に実装に至ってはバリエーションが多く、命令型言語・関数型言語・論理型言語・問い合わせ型言語などのパラダイムごとに異なり、同じ命令型言語でも、Smalltalk系のメッセージ指向のオブジェクト指向なのか、C++系の型指向なオブジェクト指向なのかといった違いもあります。さらに正確に言えば、実装者ごとにオブジェクト指向の概念が違います。こういった点を踏まえて言うと、オブジェクト指向といった時点で情報が正確でないことを意味します。
これは分かりやすい例ですが、分かり難い例として「初心者用コーナーに正確さを求める人々」が居ます。こういった人達が厄介なのは、情報の正確さという正義を振りかざして、違う意図を持って前提を無視して指摘するからです。しかしながら、よく考えると、情報の正確さという正義はよく考えると独善的です。何故ならば、初心者用という前提を無視しているからです。こういった人達は、専門用語を使えば正確であるといいます。でもそれは自己満足のたぐいだと私は思います。何故ならば、専門語は一種の情報圧縮形態であり、初心者にその理解を求める自体が誤りだからです。初心者は専門用語がわからないから解説を求めてきているのです。その初心者の方々に、専門用語で応戦するというのは情報を伝える事を放棄している事を意味します。また、正確性を厳密に言うのならば、文脈や使うタイミングに気をつけなければならなず、それと共にその専門用語が内包している概念を正確に伝えなければなりません。ですが、入れ子状態の専門用語を全て正確に伝えるとなれば、情報処理技術全てを解説する事になるでしょう。これでは初心者に情報を伝えるという目的を果たせません。 注意しなければならないのは、これは特別な人だけが罹る病では無いという事です。専門家は得てしてこの病気に罹りやすいのです。この記事を書いている私とてそれは例外ではありません。情報を伝える時には、誰に伝えるのかという点に注意して、真の意味で正確に情報を伝達できるように苦心しましょう。情報処理技術者だからという理由で、自分の視点だけで情報が正確でないと他者を攻撃する人が居ますが、それこそ情報が正確でありません。そもそも、情報処理技術そのものがもともと数学の様に厳密でないのです。ですから、情報の正確さを連呼する前に、誰にとって正確なのかという事から考えると良いでしょう。 そろそろ纒に入ります。情報を商売にしている我々は得てして、「情報は正確に」という一種の強迫観念に陥りやすい存在です。しかし、それは正確に情報伝達することの障害となります。ですから、常に誰に対して伝えるのかという点を意識し、強迫観念で言動をしないように注意しましょう。専門用語や概念を使うときはくれぐれも注意してください。 |
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この記事のコメントそうですね。
「情報は正確に、」と言いますが、正確とは何を意味するのでしょう? 何を持って正確とするのでしょうか? これを定義するだけでも相当な労力が要りますし、厳密な 定義は無理でしょう。(ん? 厳密とは??) 結局、自然言語に対して正確さや厳密さを求めても、無理があるのです。 だから、自然言語の説明に対して厳密さや正確さを求めるというのは愚かな方法ですね。 そしてこのことに気付かないで正確さを求める人は愚かですし、気付いていて求める人は悪質ですね。 正確さを本当に求めるのならば、数式やコードなど厳密な記号体系を使う必要が有ります。 また、正確さや厳密さを至上価値とするのかは別問題です。 正確であってもなくても問題解決とは直接関係ないですからね。 |
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