2009年4月4日1時18分
OECDは今年の日本の経済成長率をマイナス6.6%と、米国のマイナス4.0%、EUの4.1%に比べて大幅な収縮を予想している。円高も加わっての輸出の急減を重視したものだろう。しかしこの印象に引きずられるのはどうか。
住宅と金融の巨大なバブルの源である米国と、金融バブルだったEUが年後半から来年にかけて一段と落ち込むのは必至と思われる。オバマ政権による財政のてこ入れや積極的な金融政策は、破綻(はたん)の歯止めにはなっても根本策には程遠いからだ。住宅価格の更なる低下や消費の停滞につれて、ビッグスリーを支える国の負担も耐え難くなる。その過程で、年後半からはより深刻な実態となるのではないか。
それと対比すれば、日本の輸出産業は先のバブルの体験から基礎的な体力もある中で機敏に対応し、在庫調整にも配慮して生産を大幅に引き下げ、雇用も圧縮した。今回は国内的にはバブルという要素は特になかったことを考えると、この厳しい鍛錬の中で、日本の企業体質は一段と強化されると見るべきだろう。
一方、この世界同時不況から一足先に立ち上がるのは、資源国や中国、インドを含む途上国だと思われる。また、地球環境の保全に対する意識の高まりに対応する新しい需要は根強く増えるし、先進国でも生活に必要な耐久財への需要の中身が変化する可能性も大きい。
そう考えると、この鍛錬の期間は、日本としてそのような構造変化に対応する考え方や態勢を積極的に練る時ではないか。今、日本が財政力を全開にして経済対策をするにあたっては、そうした未来の可能性を取り込む戦略を経済界ともすり合わせて積極的に進める必要があろう。(瞬)