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まっとうな米国にチェンジ

2009年4月3日0時22分

 オバマ米大統領誕生までの米国民の熱狂ぶりは記憶に新しい。その勢いのまま、大統領が優れたリーダーシップを発揮して、米国民を「変化」させることができるか、世界中が見守っている。先月行われた記者会見で、大統領は大きな「変化」に言及したと伝えられている。それは「借りて使う時代から、貯蓄して投資する時代に変わる」という表現だ。

 米国は世界最大の経済規模を誇り、「最後の買い手」として世界経済を牽引(けんいん)してきた。米国経済が成長を続けてきた原動力は、借金をいとわない消費者の消費意欲である。

 米国の消費者は自らの所得に借金を重ねて、自動車をはじめもろもろの買い物をしてきた。その背景には、1933年以来続いてきた住宅価格の値上がり神話があった。神話が未来永劫(えいごう)続くのは当然と、住宅を担保にして消費者は容易に借金ができた。まさに「借りて使う時代」だった。

 ところが、住宅バブルがはじけて、借金ができなくなった。過去50年間、一本調子で増え続けてきた米国の消費は、昨年後半に年率換算で10%近い大幅な減少となった。こうした事態に直面して、大統領が「貯蓄して投資する時代」と説いているわけだ。借金漬けの生活から、身の丈の範囲で生活する、百八十度のチェンジである。

 世界一の経済大国が健全な経済活動に戻ることは喜ばしい限りである。しかしながら、米国の消費者が借金して、世界中から買い物をするからこそ、成長してきた多くの輸出国は、腹の底では戸惑っている。米国に代わり、「最後の買い手」の役割を果たす国が見当たらないからだ。まっとうな米国への移行が、肝心の市場を蒸発させてしまう。(岳)

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