いじはちの熱血最強
アニメ&特撮の感想と悪堕ちSSのブログ 通称『ねっさい』
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たとえばこんな堕とし方はどーよ?
4月最初の悪堕ちSSでございます。
あの人に姉がいた! そして黒騎士を継ぐ新キャラ
果たしてお花見シーズンは終わってしまったのか!?
(あまり期待しちゃ駄目ヨン♪)
オリジナル
空気が暖かくなってきた春。 春といえば花見、花見といえば団子である。
というわけでプロフェッサーシルバルフは友人のドレッドハンターアイと部下のコモモとフェンリルを連れてお花見にやってきた。
もちろんドレッドノーツはまだ全滅しておらず生き残りがまだ二人いるので、ドレッドノーツに気付かれないよう人間の姿に擬態して。
ちなみにイビルルージュとエビルオリジンはお留守番。 理由は性格の問題。
「なあ、私達こんな事してていいのか? 普通の活動(悪事)なんて何一つしてないか?」
アイはコモモの作ったお弁当に箸を伸ばしながらシルバルフに問う。
「そう?そういう話をしていないだけで正月の話からこの間に何かやってると思うわよ?」
「意味不明だ」
「ん〜いけずぅ〜!」
「アイ様シルバルフ様、今はゆっくりとしましょうよ 急いでもドレッドノーツ共を堕とせませんよ」
「ほうでふよ〜(そうですよ) ふが、ほももはまおいひいれふ(あ、コモモ様これ美味しいです)」
眉間にしわを寄せるアイととぼけるシルバルフに、コモモと口に食物を詰め込んでるフェンリルは優しく諭す。
どこかおかしいながらもほのぼのした光景である。 ちなみにこれは偵察とかの下心はない。
そんな中、シルバルフのポケットからメロディーなのかわからない着信メロディーが鳴り響いた。
シルバルフはその音に気付いてサッとポケットから携帯を取り出した。
「はいはい… え?『インスタント洗脳機』を送って欲しい?」
シルバルフは顔をしかめて言う。 基本的にボケ担当の明るい人がこんな表情をするのは珍しい。
「わかったわかった、すぐ送ってくるから あれは一回しか効かないからね?いいよね?」
シルバルフは携帯電話の赤いボタンを押すとしけた表情ですっくと立つ。
「あ、みんなすぐ終わるから待ってて」
「話は知らんがまあわかった」
「おまたせ ごめんごめん」
「早いよ!!」
シルバルフは先ほどとは違う笑顔をみんなに向ける。
彼女の笑顔を見て三人はぽかんとした顔にならざるを得なかった。
どうやら彼女は『あっと言う間』に要件を済ませたようである。
数分後…
「で、一体誰からだったんだ?」
アイはシルバルフに問う。
「ああ、姉さん 地球から遠く離れた地球似の惑星で世界制服活動してるの」
「へえ、そうなんですか 姉妹揃って悪の活動とは…」
「ほいふか(というか)、ほねえはんぐあいはんでふね(お姉さんがいたんですね)」
明かされた真実に部下の二人は感心する。 ちなみにフェンリルはまた何か食っていた。
「姉さんってば、全然成果話さないのよ 一体何やってるのかしら?」
シルバルフは桜散る大地に寝転んで空を見上げた。 彼女の目の前には白と水色、そして桜色のものしか見えなかった。
というわけで、地球から遠く離れた地球によく似た惑星アス。
そのアスのとある山に置いてあるスペースシップ。 そのスペースシップは普通の人間の目では視認できなくするため光学迷彩で姿を隠している。
その船の中でシルバルフの姉、ゴルディはインスタント洗脳機の到着をぴょんぴょん跳ねて歓迎していた。
「これこれ、これを待ってました! これさえあれば…ふふ〜ん」
ゴルディという名は硬派だが、性格は天然がちょっと入ってる巨乳の姉ちゃんである。
もちろん、シルバルフと同じく狼の耳と尻尾が生えている。 ただし、シルバルフの毛は銀だが、彼女の毛は金色だ。
「ありがたやいもーとよ、アレを作るのにお金を大分使ったから節約しなければいけないのだ!」
ゴルディは引き出しから腕時計の形をした歪な形の何かを取り出して踊る。 どうやらこの腕時計っぽいのを作るために資金を使ったらしい。
「あー、ゴルディさん… 例の子を捕まえました」
ドアを開けて鎧の男が声をかける。 いかにも強敵そうな外観とは裏腹にその声は常識人である。
彼の名前はディヴァッシュ。 とある悪の組織寄りのさすらいの戦士なのだが、いつの間にかゴルディの居候兼部下になった礼儀正しい常識人。
そんなディバッシュの声を耳にしてゴルディは部屋を出る。
「わかった、無傷だったら上出来よ」
「なるべく傷をつけない様捕獲しました 言っておきますけど、見返りは求めてませんからね」
そんな会話をしながら二人は『例の子』が捕らえられている実験室へ足を運ぶのだった。
宇宙線内の実験室(兼研究室) 中は結構整っており、無駄が一切ない。
その実験室の奥でロボット達に監視されながら捕らえられている一人の少女。 彼女こそがディバッシュの言う『例の子』である。
可愛らしい衣装で身に包んだ少女は両手首に特殊な手錠をかけられていて、
武器である魔法のステッキ(のようなもの)を隠されており、自力で窮地を脱する事はできないようになっている。
彼女の名前は美月天音(みつきあまね) 悪の組織と戦っている戦士バンジークの『自称』助っ人である。
彼女の目的はステッキの入ってる魔法で大好きなバンジーク(の中の人)の手助けをする事だ。(実際は彼女が勝手にやってる)
そんな天音、ディバッシュの罠にはまってご覧の有様である。
「とほほ… 伴さんがさらわれたって聞いたから駆けつけたら私がさらわれるなんて…」
バンジークも呆れる天真爛漫な性格の彼女もさすがにしゅんとせざるを得なかった。
そんな彼女の前に、天音をミエミエの罠にはめたディバッシュとゴルディが現れた。
「ちゃんといい子にしていたようだな… さすがにステッキを取られては行動もできないか…」
ディバッシュは天音を見つめて呟く。 マスクをつけているので表情は全く見えない。
「今日お前を捕まえたのは他でもない、それは…」
「あなたを我がシモベに変えるためよ♪ あなたが味方になれば心強いし世界征服も…」
「ゴルディさん、声があってませんよ… つうか下心ミエミエ、鼻の下伸びてるし……」
ディバッシュは妙にうきうきしているゴルディに突っ込みを入れるように指摘する。 しかし彼女は後の事を考えてあさっての方向である。
天音はそんなゴルディを無視してディバッシュに話しかける。 仕方ないと思ったのか、ディバッシュは天音に耳を傾けた。
「なんですか?あの人」
「ああ、あの人ね俺の現上司 お前を見てから一目ぼれしてお前を自分のモノにしようとしてるのさ…」
「そんな事バラすなんて苦労してるんですね、バンジークのライバルディバッシュさん」
「なんだかなぁ… 人生わからんよ……」
二人はひそひそと話しながら浮かれる狼女を気の毒に見つめたのであった。
「とはいえ、こんな状態でお茶を濁すわけにもいかないから美月天音を取り押さえろ」
上司である阿呆な狼女を無視してディバッシュは戦闘員に命令する。
戦闘員は命令どおりに天音を地面に押さえつけた。
「何すんのよ!虐待するわよ!!」
「まあ待て、まずは…」
ディバッシュはゴルディのポケットから掏った変な形の腕時計を天音の右手首にはめた。
腕時計から奇妙な音が一瞬だけ鳴り響く。 その音は天音の耳にも届いていた。
「な、何これ… 趣味悪い…」
「説明しておくと、それははめた者以外では外す事はできない 例えそれが付けているお前であっても、俺しか外せはしない」
「ウソ!? 正義の味方の魔法少女に似合わないよ〜!というか禍々しくてセンス悪いし… 外してよ〜!!」
「うるせぇだまりゃ! そもそもアンタ、戦場に魔法少女なんてカレーにヨウカン入れるくらいにありえないのだ!」
「何その偏見!? というか関係ないし!」
ディバッシュは意外と短期でたまに怒るのである。 まあ、今は関係ない。
腕に変なものははめられ、まだ戦闘員に押さえつけられている天音はとほほとした顔で涙を流した。
「しかし、それで終わるほど今回の目的は達成されてない!」
ディバッシュは説明口調でそう言うと、これまたゴルディのポケットから掏ったインスタント洗脳装置を起動させようとする。
しかし、起動する直前にディバッシュはゴルディに蹴飛ばされてしまった。
「美味しい所を持ってくな! つうか、勝手に話を進めるな!!」
「無茶苦茶でしょ……」
痛む頭を抑えてディバッシュは立ち上がる。 まあ、あれで失神してたらダークヒーロー失格である。
「とりあえず… 動かすなよ……目を開けさせろよ…」
気を取り直したゴルディとディバッシュはゴーグルをかける。 ちなみにディバッシュはマスク越しにかけているのである。
そしてゴルディは手の中にあるインスタント洗脳装置(カラオケのマイクみたいな形をしています)のスイッチに親指を置く。
顔を押さえつけられ、目を無理やり開けられた天音は完全に何もできそうにない。 しかし、無駄でも抵抗はしていた。
「おほん、それでは… 美月天音よ!右手首に付けてある腕時計のスイッチを押せ!!」
ゴルディは天音にそう命令すると同時に洗脳装置のスイッチを押す。
するとどこぞのSF映画のように100万ワット行かないくらいの眩しい光が辺りを包んだ。
しかし、光は一瞬だけで、後は消えていくだけであった。 だが、それで良かったのである。
「はい…命令に従います……」
目が虚ろになっている天音はコクリと頷き、命令どおりの行動を行おうとする。
(そんな…どうしてゴルディの命令に!? 体が勝手に動いてる…)
実はこれがインスタント洗脳装置の効果だった。
洗脳したい相手の名前と命令を言い、スイッチを押すと装置から発光する光によって相手はその命令に従うのだ。
個人差によって精神だけ正気な場合もあるが、基本的に体は命令に忠実。
しかし、この装置は対象の名前が必要な上に出せる命令は一度きり、さらに時間制限があるので、これで自分のしもべにするのは不可能に近い。
そこでディバッシュが天音の右手首にはめた腕時計の出番である。 あの腕時計は彼女の暗黒エネルギーの虜にする変身装置なのだ。
ゴルディの計画はこうだった。 まず天音を捕らえて腕時計をはめさせ、インスタント洗脳装置で腕時計のスイッチを押させる。
それさえすれば後は簡単で、天音は腕時計に含まれた暗黒エネルギーによって支配され、悪の戦士として生まれ変わる。
という単純かつ資金のかかる作戦だが、バンジークに気付かれたらやっかいなのでこの作戦に決定したのだ。
そんなわけで結果は見事に大成功。
腕時計に内蔵されていた暗黒エネルギーが解放される。
そのエネルギーはスライム状の液体に変化して天音の体にコスチュームごと絡み付いていく。
天音はそれが絡みつくたびになんとも言えない声を上げた。 官能的と言えばいいだろうか、そう思うとしたらそんな声かもしれない。
スライム状のエネルギーは天音の魔法少女コスチュームと同化しその色を、そして形を変化させる。
人の心に安らぎを与えてきたその衣は、邪悪な色と形に変貌していき、それを纏っている天音の心すらも変貌させる。
より黒く、より邪悪に… 心も衣も価値観も、そして魂までもが染まっていく。より黒く、より邪悪に…
愛するものも嫌いなものも変えられていく。 正義は消え、その分悪が広がっていく。
その変化を見るものの目に見せるように、瞳はワインのような紅に染まり、ツインテールの髪は暗いパープルに染まった。
そして、背中に漆黒の天使の羽がコスチュームから現れた。 その姿、まさに堕天使。
悪に染まった天音は体に流れる悪のエネルギーに酔いしれ、不敵な笑みを浮かべた。
「これが悪の力… 素敵…これに勝るものなんて何一つない気がする…」
「よし!」
作戦の成功にゴルディはガッツポーズを浮かべる。 それほどこの作戦は色々と賭けていたのである。
そんなゴルディを目にして天音は彼女に跪いた。 まるで尊敬すべき者を素直に敬うように…。
「私はゴルディ様のお力により高貴な者へと転生いたしました 私よりも強大な悪のエネルギーを持つゴルディ様に付いていきます!」
「ありがと、今日この時からあなたに『堕天使アマネ』という名前をあげるわ あなたは私の最高のしもべ。それを覚えておきなさい…」
「ハイ、ゴルディ様に永遠の忠誠を誓います… いつどんな時もゴルディ様の剣にも、盾にもなる所存です」
それはまるで儀式のようだった。 見かけは忠誠の誓いであるが、本質的にはお互いの絆を契りあう儀式。
立場が立場なのでそれを眺めるしかできないディバッシュは、その自然的な流れに少々驚いていた。
(すごい… 普段は能天気はゴルディさんでもこういうのには長けてるんだ……)
以前首領に聞いたことがある。 首領よりも強い悪のエネルギーを持つ者がいると。
ディバッシュはその言葉から色々な憶測を浮かべる。 自分はゴルディを我が組織に引き入れるためにこういう事になったのでは等など…
そんな憶測を浮かべながらゴルディを見ると…
「きゃ〜ん♪かわいい〜 これからアマネちゃんと同居できるなんてホントに幸せ〜」
ゴルディはアマネをぎゅっと抱きしめる。 主の突然の行動にアマネは目を白黒させていく。
「よろしくねアマネちゃん♪」
「ゴルディ様くるし…」
そんな光景を目の当たりにしたディバッシュは全ての憶測を帳消しにする。
もしかして…強いエネルギーを弄んでないか?この人…
そんな憶測がディバッシュの頭に浮かんだ。
三人がそうしている間、魔法のステッキは呆れたと言わんばかりにこの宇宙船からトンズラを決めた。
どうやら純粋でなくなった少女には興味ないようで、彼女は正義を行わないだろうと思ったステッキは実家へ帰る事を決意したのである。
何かを得て何かを失う。 それは一人の魔法少女も例外ではなかった。
彼女は強引ながら与えられた悪のエネルギーのかわりに魔法を失った。
といっても悪のエネルギーでなんとかすればいいから大したことはないんだが…
てなわけで、自称正義の助っ人から悪の魔法少女へと生まれ変わったアマネはその姿をバンジークに見せつけて彼を二秒間だけ驚かせ、
これでもかと言わんばかりに攻撃し、彼のヘルメットを火だるまにしたのであった。
それから数時間後、所変わって地球。
シルバルフの携帯電話から着信音が鳴り響く。
「はい…」
「あ、シルバルフ? この前はありがとー♪」
「それで、例のヤツはどうしたの?」
「うんうん、役に立ったわ インスタント洗脳機のお陰でお目当ての子をゲットしたよぉ♪
あの子、お金持ちだったから焼肉おごってくれるって! じゃあ、今から焼肉行くからじゃあね〜♪話はまた今度」
プツン ワーンワーンツーツー
「洗脳機でお目当ての子をゲットして焼肉おごってもらった? あっちもあっちですごいわね…」
シルバルフは『血は争えない』という言葉をふと頭に浮かべて苦笑した。
おしまい
以上で終わり。
ところでバンジークさんってどんなキャラなんでしょうね?
あの人に姉がいた! そして黒騎士を継ぐ新キャラ
果たしてお花見シーズンは終わってしまったのか!?
(あまり期待しちゃ駄目ヨン♪)
オリジナル
空気が暖かくなってきた春。 春といえば花見、花見といえば団子である。
というわけでプロフェッサーシルバルフは友人のドレッドハンターアイと部下のコモモとフェンリルを連れてお花見にやってきた。
もちろんドレッドノーツはまだ全滅しておらず生き残りがまだ二人いるので、ドレッドノーツに気付かれないよう人間の姿に擬態して。
ちなみにイビルルージュとエビルオリジンはお留守番。 理由は性格の問題。
「なあ、私達こんな事してていいのか? 普通の活動(悪事)なんて何一つしてないか?」
アイはコモモの作ったお弁当に箸を伸ばしながらシルバルフに問う。
「そう?そういう話をしていないだけで正月の話からこの間に何かやってると思うわよ?」
「意味不明だ」
「ん〜いけずぅ〜!」
「アイ様シルバルフ様、今はゆっくりとしましょうよ 急いでもドレッドノーツ共を堕とせませんよ」
「ほうでふよ〜(そうですよ) ふが、ほももはまおいひいれふ(あ、コモモ様これ美味しいです)」
眉間にしわを寄せるアイととぼけるシルバルフに、コモモと口に食物を詰め込んでるフェンリルは優しく諭す。
どこかおかしいながらもほのぼのした光景である。 ちなみにこれは偵察とかの下心はない。
そんな中、シルバルフのポケットからメロディーなのかわからない着信メロディーが鳴り響いた。
シルバルフはその音に気付いてサッとポケットから携帯を取り出した。
「はいはい… え?『インスタント洗脳機』を送って欲しい?」
シルバルフは顔をしかめて言う。 基本的にボケ担当の明るい人がこんな表情をするのは珍しい。
「わかったわかった、すぐ送ってくるから あれは一回しか効かないからね?いいよね?」
シルバルフは携帯電話の赤いボタンを押すとしけた表情ですっくと立つ。
「あ、みんなすぐ終わるから待ってて」
「話は知らんがまあわかった」
「おまたせ ごめんごめん」
「早いよ!!」
シルバルフは先ほどとは違う笑顔をみんなに向ける。
彼女の笑顔を見て三人はぽかんとした顔にならざるを得なかった。
どうやら彼女は『あっと言う間』に要件を済ませたようである。
数分後…
「で、一体誰からだったんだ?」
アイはシルバルフに問う。
「ああ、姉さん 地球から遠く離れた地球似の惑星で世界制服活動してるの」
「へえ、そうなんですか 姉妹揃って悪の活動とは…」
「ほいふか(というか)、ほねえはんぐあいはんでふね(お姉さんがいたんですね)」
明かされた真実に部下の二人は感心する。 ちなみにフェンリルはまた何か食っていた。
「姉さんってば、全然成果話さないのよ 一体何やってるのかしら?」
シルバルフは桜散る大地に寝転んで空を見上げた。 彼女の目の前には白と水色、そして桜色のものしか見えなかった。
というわけで、地球から遠く離れた地球によく似た惑星アス。
そのアスのとある山に置いてあるスペースシップ。 そのスペースシップは普通の人間の目では視認できなくするため光学迷彩で姿を隠している。
その船の中でシルバルフの姉、ゴルディはインスタント洗脳機の到着をぴょんぴょん跳ねて歓迎していた。
「これこれ、これを待ってました! これさえあれば…ふふ〜ん」
ゴルディという名は硬派だが、性格は天然がちょっと入ってる巨乳の姉ちゃんである。
もちろん、シルバルフと同じく狼の耳と尻尾が生えている。 ただし、シルバルフの毛は銀だが、彼女の毛は金色だ。
「ありがたやいもーとよ、アレを作るのにお金を大分使ったから節約しなければいけないのだ!」
ゴルディは引き出しから腕時計の形をした歪な形の何かを取り出して踊る。 どうやらこの腕時計っぽいのを作るために資金を使ったらしい。
「あー、ゴルディさん… 例の子を捕まえました」
ドアを開けて鎧の男が声をかける。 いかにも強敵そうな外観とは裏腹にその声は常識人である。
彼の名前はディヴァッシュ。 とある悪の組織寄りのさすらいの戦士なのだが、いつの間にかゴルディの居候兼部下になった礼儀正しい常識人。
そんなディバッシュの声を耳にしてゴルディは部屋を出る。
「わかった、無傷だったら上出来よ」
「なるべく傷をつけない様捕獲しました 言っておきますけど、見返りは求めてませんからね」
そんな会話をしながら二人は『例の子』が捕らえられている実験室へ足を運ぶのだった。
宇宙線内の実験室(兼研究室) 中は結構整っており、無駄が一切ない。
その実験室の奥でロボット達に監視されながら捕らえられている一人の少女。 彼女こそがディバッシュの言う『例の子』である。
可愛らしい衣装で身に包んだ少女は両手首に特殊な手錠をかけられていて、
武器である魔法のステッキ(のようなもの)を隠されており、自力で窮地を脱する事はできないようになっている。
彼女の名前は美月天音(みつきあまね) 悪の組織と戦っている戦士バンジークの『自称』助っ人である。
彼女の目的はステッキの入ってる魔法で大好きなバンジーク(の中の人)の手助けをする事だ。(実際は彼女が勝手にやってる)
そんな天音、ディバッシュの罠にはまってご覧の有様である。
「とほほ… 伴さんがさらわれたって聞いたから駆けつけたら私がさらわれるなんて…」
バンジークも呆れる天真爛漫な性格の彼女もさすがにしゅんとせざるを得なかった。
そんな彼女の前に、天音をミエミエの罠にはめたディバッシュとゴルディが現れた。
「ちゃんといい子にしていたようだな… さすがにステッキを取られては行動もできないか…」
ディバッシュは天音を見つめて呟く。 マスクをつけているので表情は全く見えない。
「今日お前を捕まえたのは他でもない、それは…」
「あなたを我がシモベに変えるためよ♪ あなたが味方になれば心強いし世界征服も…」
「ゴルディさん、声があってませんよ… つうか下心ミエミエ、鼻の下伸びてるし……」
ディバッシュは妙にうきうきしているゴルディに突っ込みを入れるように指摘する。 しかし彼女は後の事を考えてあさっての方向である。
天音はそんなゴルディを無視してディバッシュに話しかける。 仕方ないと思ったのか、ディバッシュは天音に耳を傾けた。
「なんですか?あの人」
「ああ、あの人ね俺の現上司 お前を見てから一目ぼれしてお前を自分のモノにしようとしてるのさ…」
「そんな事バラすなんて苦労してるんですね、バンジークのライバルディバッシュさん」
「なんだかなぁ… 人生わからんよ……」
二人はひそひそと話しながら浮かれる狼女を気の毒に見つめたのであった。
「とはいえ、こんな状態でお茶を濁すわけにもいかないから美月天音を取り押さえろ」
上司である阿呆な狼女を無視してディバッシュは戦闘員に命令する。
戦闘員は命令どおりに天音を地面に押さえつけた。
「何すんのよ!虐待するわよ!!」
「まあ待て、まずは…」
ディバッシュはゴルディのポケットから掏った変な形の腕時計を天音の右手首にはめた。
腕時計から奇妙な音が一瞬だけ鳴り響く。 その音は天音の耳にも届いていた。
「な、何これ… 趣味悪い…」
「説明しておくと、それははめた者以外では外す事はできない 例えそれが付けているお前であっても、俺しか外せはしない」
「ウソ!? 正義の味方の魔法少女に似合わないよ〜!というか禍々しくてセンス悪いし… 外してよ〜!!」
「うるせぇだまりゃ! そもそもアンタ、戦場に魔法少女なんてカレーにヨウカン入れるくらいにありえないのだ!」
「何その偏見!? というか関係ないし!」
ディバッシュは意外と短期でたまに怒るのである。 まあ、今は関係ない。
腕に変なものははめられ、まだ戦闘員に押さえつけられている天音はとほほとした顔で涙を流した。
「しかし、それで終わるほど今回の目的は達成されてない!」
ディバッシュは説明口調でそう言うと、これまたゴルディのポケットから掏ったインスタント洗脳装置を起動させようとする。
しかし、起動する直前にディバッシュはゴルディに蹴飛ばされてしまった。
「美味しい所を持ってくな! つうか、勝手に話を進めるな!!」
「無茶苦茶でしょ……」
痛む頭を抑えてディバッシュは立ち上がる。 まあ、あれで失神してたらダークヒーロー失格である。
「とりあえず… 動かすなよ……目を開けさせろよ…」
気を取り直したゴルディとディバッシュはゴーグルをかける。 ちなみにディバッシュはマスク越しにかけているのである。
そしてゴルディは手の中にあるインスタント洗脳装置(カラオケのマイクみたいな形をしています)のスイッチに親指を置く。
顔を押さえつけられ、目を無理やり開けられた天音は完全に何もできそうにない。 しかし、無駄でも抵抗はしていた。
「おほん、それでは… 美月天音よ!右手首に付けてある腕時計のスイッチを押せ!!」
ゴルディは天音にそう命令すると同時に洗脳装置のスイッチを押す。
するとどこぞのSF映画のように100万ワット行かないくらいの眩しい光が辺りを包んだ。
しかし、光は一瞬だけで、後は消えていくだけであった。 だが、それで良かったのである。
「はい…命令に従います……」
目が虚ろになっている天音はコクリと頷き、命令どおりの行動を行おうとする。
(そんな…どうしてゴルディの命令に!? 体が勝手に動いてる…)
実はこれがインスタント洗脳装置の効果だった。
洗脳したい相手の名前と命令を言い、スイッチを押すと装置から発光する光によって相手はその命令に従うのだ。
個人差によって精神だけ正気な場合もあるが、基本的に体は命令に忠実。
しかし、この装置は対象の名前が必要な上に出せる命令は一度きり、さらに時間制限があるので、これで自分のしもべにするのは不可能に近い。
そこでディバッシュが天音の右手首にはめた腕時計の出番である。 あの腕時計は彼女の暗黒エネルギーの虜にする変身装置なのだ。
ゴルディの計画はこうだった。 まず天音を捕らえて腕時計をはめさせ、インスタント洗脳装置で腕時計のスイッチを押させる。
それさえすれば後は簡単で、天音は腕時計に含まれた暗黒エネルギーによって支配され、悪の戦士として生まれ変わる。
という単純かつ資金のかかる作戦だが、バンジークに気付かれたらやっかいなのでこの作戦に決定したのだ。
そんなわけで結果は見事に大成功。
腕時計に内蔵されていた暗黒エネルギーが解放される。
そのエネルギーはスライム状の液体に変化して天音の体にコスチュームごと絡み付いていく。
天音はそれが絡みつくたびになんとも言えない声を上げた。 官能的と言えばいいだろうか、そう思うとしたらそんな声かもしれない。
スライム状のエネルギーは天音の魔法少女コスチュームと同化しその色を、そして形を変化させる。
人の心に安らぎを与えてきたその衣は、邪悪な色と形に変貌していき、それを纏っている天音の心すらも変貌させる。
より黒く、より邪悪に… 心も衣も価値観も、そして魂までもが染まっていく。より黒く、より邪悪に…
愛するものも嫌いなものも変えられていく。 正義は消え、その分悪が広がっていく。
その変化を見るものの目に見せるように、瞳はワインのような紅に染まり、ツインテールの髪は暗いパープルに染まった。
そして、背中に漆黒の天使の羽がコスチュームから現れた。 その姿、まさに堕天使。
悪に染まった天音は体に流れる悪のエネルギーに酔いしれ、不敵な笑みを浮かべた。
「これが悪の力… 素敵…これに勝るものなんて何一つない気がする…」
「よし!」
作戦の成功にゴルディはガッツポーズを浮かべる。 それほどこの作戦は色々と賭けていたのである。
そんなゴルディを目にして天音は彼女に跪いた。 まるで尊敬すべき者を素直に敬うように…。
「私はゴルディ様のお力により高貴な者へと転生いたしました 私よりも強大な悪のエネルギーを持つゴルディ様に付いていきます!」
「ありがと、今日この時からあなたに『堕天使アマネ』という名前をあげるわ あなたは私の最高のしもべ。それを覚えておきなさい…」
「ハイ、ゴルディ様に永遠の忠誠を誓います… いつどんな時もゴルディ様の剣にも、盾にもなる所存です」
それはまるで儀式のようだった。 見かけは忠誠の誓いであるが、本質的にはお互いの絆を契りあう儀式。
立場が立場なのでそれを眺めるしかできないディバッシュは、その自然的な流れに少々驚いていた。
(すごい… 普段は能天気はゴルディさんでもこういうのには長けてるんだ……)
以前首領に聞いたことがある。 首領よりも強い悪のエネルギーを持つ者がいると。
ディバッシュはその言葉から色々な憶測を浮かべる。 自分はゴルディを我が組織に引き入れるためにこういう事になったのでは等など…
そんな憶測を浮かべながらゴルディを見ると…
「きゃ〜ん♪かわいい〜 これからアマネちゃんと同居できるなんてホントに幸せ〜」
ゴルディはアマネをぎゅっと抱きしめる。 主の突然の行動にアマネは目を白黒させていく。
「よろしくねアマネちゃん♪」
「ゴルディ様くるし…」
そんな光景を目の当たりにしたディバッシュは全ての憶測を帳消しにする。
もしかして…強いエネルギーを弄んでないか?この人…
そんな憶測がディバッシュの頭に浮かんだ。
三人がそうしている間、魔法のステッキは呆れたと言わんばかりにこの宇宙船からトンズラを決めた。
どうやら純粋でなくなった少女には興味ないようで、彼女は正義を行わないだろうと思ったステッキは実家へ帰る事を決意したのである。
何かを得て何かを失う。 それは一人の魔法少女も例外ではなかった。
彼女は強引ながら与えられた悪のエネルギーのかわりに魔法を失った。
といっても悪のエネルギーでなんとかすればいいから大したことはないんだが…
てなわけで、自称正義の助っ人から悪の魔法少女へと生まれ変わったアマネはその姿をバンジークに見せつけて彼を二秒間だけ驚かせ、
これでもかと言わんばかりに攻撃し、彼のヘルメットを火だるまにしたのであった。
それから数時間後、所変わって地球。
シルバルフの携帯電話から着信音が鳴り響く。
「はい…」
「あ、シルバルフ? この前はありがとー♪」
「それで、例のヤツはどうしたの?」
「うんうん、役に立ったわ インスタント洗脳機のお陰でお目当ての子をゲットしたよぉ♪
あの子、お金持ちだったから焼肉おごってくれるって! じゃあ、今から焼肉行くからじゃあね〜♪話はまた今度」
プツン ワーンワーンツーツー
「洗脳機でお目当ての子をゲットして焼肉おごってもらった? あっちもあっちですごいわね…」
シルバルフは『血は争えない』という言葉をふと頭に浮かべて苦笑した。
おしまい
以上で終わり。
ところでバンジークさんってどんなキャラなんでしょうね?
コメント
[C756]
- 2009-04-18 22:30
- 編集
[C758]
シルバウルフの続編きましたね。
洗脳装置・・・インスタントすぎて笑いましたw
でも悪の力に溺れるのはやっぱり良いですね。
快楽とは違うものがあります。
洗脳装置・・・インスタントすぎて笑いましたw
でも悪の力に溺れるのはやっぱり良いですね。
快楽とは違うものがあります。
- 2009-04-18 23:27
- 編集
[C759]
ゴルディお姉さん、なかなか個性の強い人ですね〜w
自分の欲望に忠実、
でも堕とすものはしっかり堕とす…素敵です(´ω`*)
楽しませていただきましたw
自分の欲望に忠実、
でも堕とすものはしっかり堕とす…素敵です(´ω`*)
楽しませていただきましたw
- 2009-04-19 08:57
- 編集
[C761] コメントありがとうございます
>>神代☆焔様
残念、黒騎士を継ぐ人というのはディバッシュです。
バンジークは『鮮血に染まる〜』のバァンをイメージしております。
誤字は後ほど修正いたします。
>>ν賢狼ホロν様
今更思うのですが、あれってギ○スだよね…
溺れるのもまたいいものですね。
それとシルバウルフじゃなくてシルバルフです。
>>Mizuha様
楽しんでいただきありがとうございます。
己のためなら手段を選ばぬ人ですよねゴルディさん。
節約はしてるようですけど。
>>流れ星使い様
仮に再会するとしてどうやってシルバルフさんの所に行くんでしょう
あ、宇宙船改造すればいいんだ!
残念、黒騎士を継ぐ人というのはディバッシュです。
バンジークは『鮮血に染まる〜』のバァンをイメージしております。
誤字は後ほど修正いたします。
>>ν賢狼ホロν様
今更思うのですが、あれってギ○スだよね…
溺れるのもまたいいものですね。
それとシルバウルフじゃなくてシルバルフです。
>>Mizuha様
楽しんでいただきありがとうございます。
己のためなら手段を選ばぬ人ですよねゴルディさん。
節約はしてるようですけど。
>>流れ星使い様
仮に再会するとしてどうやってシルバルフさんの所に行くんでしょう
あ、宇宙船改造すればいいんだ!
- 2009-04-19 20:23
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ギャグ集団の中に真面目なキャラを置くと、真面目さ故に笑えたりしますからね(^∇゜)
さて、宇宙線は宇宙船の間違いでは?
そーゆー名前でも面白いんですけどね(笑)