いじはちの熱血最強
アニメ&特撮の感想と悪堕ちSSのブログ 通称『ねっさい』
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吹雪の先に…(後)
B級ホラー風異形化SS後編でございます。
はてさて、彼女達にどんな魔の手が伸びるのでしょうか?
ちなみにいじはちはグロのあるホラー映画が苦手です(というかグロが苦手)
オリジナル 異形化モノ
がんばる男の子を見るとついつい助けたくなる体質の華はキッチンに行って必要な物を探していた。
「うへへっ 私だって頑張る人を見ても何もしないほど傲慢じゃないわよ!ってね♪」
ニシシといった感じの笑い声を浮かべて華はキッチンの引き出しを次々開けて中身を確認する。
お目当てのものは中々見当たらないが、それでもなお別の引き出しを開けていた。
そんな彼女の後ろに魔法少女みたいなコスチュームを纏った少女が気配を消して忍び寄る。
なんとなく華は後を振り向いた瞬間、彼女は黒い魔法少女を目撃した。
「ひっ!」
華が驚きの声を上げると同時に少女は額に杖の太い部分を突きつける。
そして杖が華の皮膚に触れた事を確認し、少女はニヤリと笑った。
額に何かが送り込まれた感覚を覚えた直後に、華の体に変化が起きた。
衣服が全部消え去り、豊満な胸が露わになる。 へその左右には蝙蝠の翼を摸したタトゥーが浮かび上がっている。
その胸はみるみるうちに膨らんでいき、優の腕くらいの大きさまで膨れ上がっていく。
股の割れ目の上にあるクリトリスが変形して大きなペニスに変貌していく。
常識の範囲を超えた巨大な乳房と大きなペニスが付いたその姿はまさに異形であった。
それ以外は人間のものではあるが、へその左右にはタトゥーがあった。
「な、なにこれぇ… これじゃ動けないよぉ…」
「うふふっ…これからのあなたは私達の食料になるの おっきなおっぱいとおちんぽでお腹を満たしてね」
「あ、あなたいきなり何を…」
その言葉が続く前に、魔法少女の淫らな『食事』が始まった。
一方の緑は、吹雪が止むまでゆっくりとしようと眠っていたものの、疲れがぱっと取れたので洋館内を散歩していた。
ふと窓を覗くが吹雪は相変わらず止む予兆もなく激しくふぶいていた。
「困りました… 今日は冬野菜と熊肉のシチューにしようと思ってたのに…」
寂しい目で窓の向こうの空を見つめている緑の後に黒い衣装の魔法少女が忍び寄る。
そのまま彼女の体に杖を付きたてようと、杖を伸ばす。
その時、一瞬の気配を感じたのか緑ははっと後ろを振り返り、一気に避けた。
「あなた…何者ですか!?」
「あれぇ?楽勝だと思ってたのにー!」
魔法少女はくやしがった表情で両腕をブンブンする。 その顔は無邪気としか言いようがない。
だからこそ恐ろしいものもある。 純粋な狂気、今の彼女を動かすものはおそらくそれだろう。
(一体あの子は何をしようとしていたの? 聞いてみたいけど今は…)
緑は隙をついて別の方向に逃げ出した。
「あ!? 逃がさない!!」
魔法少女も緑が逃げた方向に駆け出した。
しかし物事には限界がある。
その限界とは壁だったり疲労だったりといろいろと存在するのだ。
緑は完全に追い詰められた。 彼女の後ろには壁、左右にも壁で逃げられる状態ではなかった。
「自分で作ったシチューを食べたかった」
彼女はそう言い残して杖を突きたてられた。
そして魔法をかけられた彼女はお尻に大きな虫の尾を、額に触角を、そして4つの脚を生やされ、そしてアラクネと呼ばれる存在に変えられた。
額や目の下には真っ赤な眼が現れていて、衣服と手と肉体は蜘蛛に良く似ている。 それもそうだろう、アラクネだから。
「安心しなよ 精液というシチューをたらふく食べさせてあげるから」
魔法少女はそう言って緑の元を去った。 といっても彼女にアラクネを切り捨てる気は全くないが。
そして数分後。緑がアラクネに変えられた場所…
「緑さん…あんたなんて格好を……」
優はありえない姿になった緑を発見した。 緑はすすり泣いていた。
「私の後ろに変な女の子が現れて…逃げたけど結局こんな姿に……」
「むごい… 緑さん、その女の子ってどんなだった?特徴覚えてる?」
とりあえずまずは事情聴取。 ちょっと良心が痛むが仕方ない。
「たしか…右手に杖を持ってたました それで、頭はかわいい横結びでした」
「横結び? そうだ、アイツの事を忘れてた…」
優は幼馴染の事を思い出し、自分を呪うように拳を壁にぶつけた。
「落ち込まないでください… その子じゃないかもしれないし」
「あ、はい とりあえずアイツをとっちめてやりたいけど、今は三人が心配だから全部回ってきます!」
優はさっと立ち上がって残りの3人を確認するために走り出した。
「とりあえず緑さんはここにいてください!」
そういい残して緑の元を去っていった。 今の彼女の姿を見せてパニックが起きないとは言えないかもしれないと思ったのだろう。
華は既に犠牲になっていた。 乳房を膨張され、股に女性にはないペ○スを生やされ、淫らな液を吐き出されて快感に溺れていたのだ。
「参った…俺がもっとしっかりしてれば……」
そう言いながら優はまず水無瀬の友人奏(かなで)の所に向かった。
たしか自分が寝たところとは違う個室で寝転んでいたはず。
彼女は優に「個室にいる」と言ってたのでおそらくそうだろう。そこから出てなければいいが…
「あれ?優どうしたの?」
無事だった。何も起きていなかった。 それだけでありがたかった。
優は勢いで奏に抱きついた。
「うおーっ!二人目は大丈夫だったー!!」
「な、なにお…言ってんの?」
事情を知らない奏は目を白黒しながら優に質問した。
我に返った優は奏から離れて深呼吸し、今起きている事を話し始めた。
「いいか…この洋館にミナに……」
きゃあああああああああああああああああああああ!!
優の説明を遮るかのように叫び声が響いた。
その叫び声にまたも優はハッとした。 そして彼は後悔の針を突き刺される…
「し、しまった!! 間に合わなかった!!」
優は急いで個室を飛び出して叫び声のした方向に向かった。
「あ、こらぁ!」
奏も駆け足で優に付いて行った。
「こ、こぉん…ひどいよおねえちゃん…」
先ほどの声の主である豊は階段で滑って遊んでいた所を水無瀬によって襲われてしまう。
背中に杖を突きつけられた途端、彼女は肉体を変えられてしまった。
乳房は膨張し、頭から白い狐の耳を生え、腕や脚には黒い獣毛が生え、骨格は顔を除いて狐のそれに変えられ、尻からは九つの尻尾が生えてしまった。
「犬や猫じゃ没個性だから九尾の狐にしてあげたよ♪ 今からあなたは私のペット。おっぱい大きいから喜んでね」
水無瀬はにっこりした顔で豊の頭をなでなでする。 撫でた髪の色は真っ白に染まっていた。
「こぉん、くやしい……でも撫でられると嬉しいの…おねえちゃんになでなでされると嬉しくてお胸がキュウキュウするの…」
自分の体を人ならざるモノに変えた張本人なのに、その人に撫でられると体が喜ぶのだ。
そして心までも悦に入り、堕落の象徴と言わんばかりに豊の顔にオレンジのような赤のような色をした太い流線が現れる。その形はどこかの大神のようであった。
「オイお前!何をやってる!?」
その瞬間、水無瀬の近くに優が駆けつけた。 その叫びは救えなかった無念も絡んでいた。
「あ、優君だー コレ、すごいんだよ♪魔法をかけたい相手にこの杖を突きつけて念じるとその通りになるんだ♪」
「ミナ…お前が三人をあんな姿に……」
優は拳を深く握り締め、歯を食い縛る。 怒りを向けるべきは自分なのに、水無瀬の無邪気な喋り方に刺激される。
「この力で優君と一緒にこの洋館で暮らすんだ♪ その前にこの洋館にいる人たち全員を魔法で変えてお手伝いさんやペットにしようって決めたの」
「それがあの姿かよ… ふざけるな!」
「怖い怖い…怒らなくていいのにぃ…… どうせこの洋館から出られないし、人間のままだとそのまま餓死しちゃうよ?だから魔法をかけてあげたの」
「出られないなんて最初から決めつけて、みんなを異形に変える事を正当化するんじゃない!」
「だってぇ、ホントだよ?この杖が教えてくれたんだもん それは置いといて…奏ちゃん久しぶりかな?」
優から目をずらして水無瀬は友人の名前を呼んだ。 水無瀬の目線を追うように優は振り返った。
「ミナ?…どうしてそんなこと……」
「そういえばこの洋館には奏もいたっけ? じゃあ、優君の前に奏からだね♪」
「え…」
「逃げろ奏ぇ! 水無瀬の持ってる杖に触られるな!」
水無瀬の方を振り向き、彼女が舌なめずりする顔を見た優は必死に叫ぶ。
それに気付いたように奏は一目散に逃げ出した。 それと同時に水無瀬は一気に走り出した。
(俺もそっちに行く だから…)
優は奏を追って走り出す。 最後の希望が堕ちない事を願って彼は走る。
奏が休息を取っていた個室前、二人を見失った優は困り果てた。
「くそう…どこに……」
辺りを見回していた彼は奏の個室である物を見つけた。奏が持っていたと思われる竹刀である。
「これでアイツをなんとかできるかなユウ… いや、やるんだ!やれ!!ユウ!!」
優はいきごんで右手に竹刀を握り締めた。 あの杖が彼女をおかしくしている。彼はなんとなくそう思う。
そして彼は走り出した。 止まるよりは勘で動いた方がマシだと思ったからだ。
そして、水無瀬が杖を手に入れた部屋。 そこで優は水無瀬を見つけた。
「あれ?優君どうしてここにいるの?」
水無瀬は明るく問うが優は真剣な表情を崩さずに彼女を睨む。
そして右手で握っていた竹刀を両手で構える。 こう見えても彼は剣道のセンスはあった。剣道はやってないが…。
「ミナ、頼みごとがある…」
優は少し悲しい目をして呟く。 水無瀬に聞こえるくらいには呟いたつもりだ。
「なあに?優君」
「このまま…」
優は深呼吸して目を閉ざす。 心を落ち着かせて…
「このままじっとしろ!」
一気に右に走り出して跳躍!足を上げて壁を蹴っ飛ばして一気に攻め込む。
そして、水無瀬の右手目掛けて竹刀を叩き込んだ。
激しい一撃を喰らった水無瀬の右手はショックで手を放してしまった。
杖はストンとあっけなく倒れた。
「あれ?私…一体……」
水無瀬は以前の意識を取り戻すかのように戸惑う。
自分の今の格好を見て絶句するのに五秒はかからなかった。
「説明は後だ! 中にいる人たちと奏を連れて脱出するぞ!」
「え?何? 説明を…」
杖を見る前の記憶を失った水無瀬にとって、優の言葉はさっぱりだった。
「優君…ミナ…… 二人だけでも逃げて…」
その時、部屋の外から声がした。 奏の声が…
優は水無瀬を引っ張って声のする場所へ向かった。
声のした場所には、惨い事にドロドロとした蒼色のスライムへとなり果てていた。
辛うじてなのか姿形は人のままであった。 しかし異形に変えられた事に変わりはなく……
優は救えなかった絶望に拳を握り締め、何も知らない水無瀬はショックで泣き出した。
「お願い、二人だけでも逃げて… このままじゃ私もナカまでおかしくなっちゃう…」
「バカぁ! お前やあの人達を置いて逃げるなんて言うな!」
「奏ちゃんどうしてそんな…」
「行って! 私は自力でなんとかするし、私がなんとかするから… 二人が無事で元の場所にいてくれたほうが嬉しいから」
「わかりたく…ねえが……今はわからざるを得ないよな…」
優は涙を流して水無瀬をおんぶする。 そして玄関に向かって走り出した。
その後姿を見た奏はせめてもの笑顔で二人を送った。
「優君、駄目!奏ちゃんを…どうして!?」
「わかれよ!ミナ!! 奏だって一緒に出たかった、みんなも出たかった、けど…今は……」
「優君…」
「恨んでくれても、呪ってくれても構わない……全部、俺が悪いんだ… 俺がしっかりすれば…」
「優君…ゴメンね……」
優の悲しい声を聞いて、水無瀬はぐっと謝る。 もっとも苦しかったのは彼だった事を知って、それを理解して…
この後、優に何が起きたかを聞いてみようと決意した。
水無瀬を負ぶった優は玄関を通り抜け、吹雪吹く夜の場所を走り出す。
おそらく間違った事だと思うけど、今は辛いけど、まずはここを出なければならない気持ちで精一杯だった
その時、『それ』がおきた。
水無瀬の体に異変が起きる。 耳が、頭が、指先が、お尻が、背中が、そして体全体が熱くなっていく。
「あっ、あぐぅ! あっ、ああああっ!」
「ミナ!? どうした!?」
「だめぇ…体が急に熱くなって……」
「ミナ?一体どういう…」
「ねえ、優君 結婚しよう…」
「何だよやぶから棒に… 急に叫んだり、急に熱くなった…」
「魔界で、みんなと暮らそ…」
水無瀬は鋭く尖った牙で優の無防備な首筋を噛み付いた。
咬まれた者に高き快楽と眠りと麻痺を与えるその牙で……
そして、彼は帰ってきた。いや、戻された。 この悪夢が詰まっている洋館に…
その中は綺麗になっており、どこも美しかった。 明かりは以前よりあるが、それでも明るさは薄い。だけど、それが彼にとっては心地よくなっていた。
もう彼は人間ではなかった。 彼はサキュバスとなった幼馴染に性転換させられ、精を貪るサキュバスにされてしまったのである。
幼馴染とは違う形の角、女性っぽい髪形、背中に生えたこうもりの翼、尖った耳、鋭い牙、大きな乳房とその姿正に淫魔。
サキュバスにされた彼、もとい彼女は真実を知った。 この洋館は魔界で存在している生きた建物だった。
この洋館には昔、『悪魔の遺産』と呼ばれていた魔法を研究し、独自の物を作り出していたサキュバスが住んでいた。
杖の製作途中起きた魔法事故でサキュバスを失ったこの洋館は新しい住人を求め、この世界に現れた。
そして風を操れる洋館は自分の魔法で吹雪を起こし、彼女達と彼を呼び寄せたのだ。
あの吹雪は洋館の招待状だったのである。 それぞれ違う場所にいた4人と二人一組がここにいた事も全て納得がいった。
そしてあの杖は住人のサキュバスが作った遺産。 人が掴めば魔法の力を与えられ、欲望を膨張されて理性が減る物だった。
そして…
(だけど…そんなことどうでもいい……)
サキュバスにされたユウは、この洋館でミナセやあの犠牲者と一緒に過ごしていた。
爆乳ふたなりにされ、ユウとミナセの食事係となった高陽華。 アラクネとなった後洋館内の家事をこなす城野緑。
二人のペットとなった九尾狐の藍那豊。 夜のお楽しみのお手伝い係であるスライムの鹿取奏の四人(四匹)と共に暮らしている。
食事という名の性交で華の精液と母乳をミナセと共に貪りつくし、家事をしてくれた緑を全員で性的にお礼し、ペットの豊を性交で可愛がる。
一日の終わりにはユウとミナセは激しいレズプレイが待っている。 そして他の4人も二人とは別の部屋で体を交わらすのだ。
六人はあの後魔界の住人となった。 その魔界の一日は人の世界よりも長い。
魔界の時も人外の快楽も、今となっては新鮮な者だった。
そして今、ユウはミナセと交わりあった後であった。
ミナセはユウの豊満な体に抱きついてユウの乳房に頭を乗せている。
それが可愛くてユウはミナセの角を優しく撫でた。
(今はこんな生活があるんだもの 私達は選ばれた…ふふ…)
ユウはニヤリと笑ってミナセを抱きしめた。
(ハッピーエンド以外の何物でもないわ いや、『エンド』なんてないわね…ふふ……)
ユウは心の中で何かに感謝した。
以前の彼だったらどんな心境だったのだろうか。 今は語らずにいよう……
夜空に浮かぶは紅い月、その月に照らされて美しき洋館は妖しく輝いた。
魔界の一日は過ぎて、また新しい魔界の一日が過ぎていく……
THE END
以上で終了です。
ちなみにこれ書いてた頃はマイケル・ベイの13日の金曜日が公開されてました。
自分自身のホラー映画のイメージが今作に入っております。 だいたいあってますか?
はてさて、彼女達にどんな魔の手が伸びるのでしょうか?
ちなみにいじはちはグロのあるホラー映画が苦手です(というかグロが苦手)
オリジナル 異形化モノ
がんばる男の子を見るとついつい助けたくなる体質の華はキッチンに行って必要な物を探していた。
「うへへっ 私だって頑張る人を見ても何もしないほど傲慢じゃないわよ!ってね♪」
ニシシといった感じの笑い声を浮かべて華はキッチンの引き出しを次々開けて中身を確認する。
お目当てのものは中々見当たらないが、それでもなお別の引き出しを開けていた。
そんな彼女の後ろに魔法少女みたいなコスチュームを纏った少女が気配を消して忍び寄る。
なんとなく華は後を振り向いた瞬間、彼女は黒い魔法少女を目撃した。
「ひっ!」
華が驚きの声を上げると同時に少女は額に杖の太い部分を突きつける。
そして杖が華の皮膚に触れた事を確認し、少女はニヤリと笑った。
額に何かが送り込まれた感覚を覚えた直後に、華の体に変化が起きた。
衣服が全部消え去り、豊満な胸が露わになる。 へその左右には蝙蝠の翼を摸したタトゥーが浮かび上がっている。
その胸はみるみるうちに膨らんでいき、優の腕くらいの大きさまで膨れ上がっていく。
股の割れ目の上にあるクリトリスが変形して大きなペニスに変貌していく。
常識の範囲を超えた巨大な乳房と大きなペニスが付いたその姿はまさに異形であった。
それ以外は人間のものではあるが、へその左右にはタトゥーがあった。
「な、なにこれぇ… これじゃ動けないよぉ…」
「うふふっ…これからのあなたは私達の食料になるの おっきなおっぱいとおちんぽでお腹を満たしてね」
「あ、あなたいきなり何を…」
その言葉が続く前に、魔法少女の淫らな『食事』が始まった。
一方の緑は、吹雪が止むまでゆっくりとしようと眠っていたものの、疲れがぱっと取れたので洋館内を散歩していた。
ふと窓を覗くが吹雪は相変わらず止む予兆もなく激しくふぶいていた。
「困りました… 今日は冬野菜と熊肉のシチューにしようと思ってたのに…」
寂しい目で窓の向こうの空を見つめている緑の後に黒い衣装の魔法少女が忍び寄る。
そのまま彼女の体に杖を付きたてようと、杖を伸ばす。
その時、一瞬の気配を感じたのか緑ははっと後ろを振り返り、一気に避けた。
「あなた…何者ですか!?」
「あれぇ?楽勝だと思ってたのにー!」
魔法少女はくやしがった表情で両腕をブンブンする。 その顔は無邪気としか言いようがない。
だからこそ恐ろしいものもある。 純粋な狂気、今の彼女を動かすものはおそらくそれだろう。
(一体あの子は何をしようとしていたの? 聞いてみたいけど今は…)
緑は隙をついて別の方向に逃げ出した。
「あ!? 逃がさない!!」
魔法少女も緑が逃げた方向に駆け出した。
しかし物事には限界がある。
その限界とは壁だったり疲労だったりといろいろと存在するのだ。
緑は完全に追い詰められた。 彼女の後ろには壁、左右にも壁で逃げられる状態ではなかった。
「自分で作ったシチューを食べたかった」
彼女はそう言い残して杖を突きたてられた。
そして魔法をかけられた彼女はお尻に大きな虫の尾を、額に触角を、そして4つの脚を生やされ、そしてアラクネと呼ばれる存在に変えられた。
額や目の下には真っ赤な眼が現れていて、衣服と手と肉体は蜘蛛に良く似ている。 それもそうだろう、アラクネだから。
「安心しなよ 精液というシチューをたらふく食べさせてあげるから」
魔法少女はそう言って緑の元を去った。 といっても彼女にアラクネを切り捨てる気は全くないが。
そして数分後。緑がアラクネに変えられた場所…
「緑さん…あんたなんて格好を……」
優はありえない姿になった緑を発見した。 緑はすすり泣いていた。
「私の後ろに変な女の子が現れて…逃げたけど結局こんな姿に……」
「むごい… 緑さん、その女の子ってどんなだった?特徴覚えてる?」
とりあえずまずは事情聴取。 ちょっと良心が痛むが仕方ない。
「たしか…右手に杖を持ってたました それで、頭はかわいい横結びでした」
「横結び? そうだ、アイツの事を忘れてた…」
優は幼馴染の事を思い出し、自分を呪うように拳を壁にぶつけた。
「落ち込まないでください… その子じゃないかもしれないし」
「あ、はい とりあえずアイツをとっちめてやりたいけど、今は三人が心配だから全部回ってきます!」
優はさっと立ち上がって残りの3人を確認するために走り出した。
「とりあえず緑さんはここにいてください!」
そういい残して緑の元を去っていった。 今の彼女の姿を見せてパニックが起きないとは言えないかもしれないと思ったのだろう。
華は既に犠牲になっていた。 乳房を膨張され、股に女性にはないペ○スを生やされ、淫らな液を吐き出されて快感に溺れていたのだ。
「参った…俺がもっとしっかりしてれば……」
そう言いながら優はまず水無瀬の友人奏(かなで)の所に向かった。
たしか自分が寝たところとは違う個室で寝転んでいたはず。
彼女は優に「個室にいる」と言ってたのでおそらくそうだろう。そこから出てなければいいが…
「あれ?優どうしたの?」
無事だった。何も起きていなかった。 それだけでありがたかった。
優は勢いで奏に抱きついた。
「うおーっ!二人目は大丈夫だったー!!」
「な、なにお…言ってんの?」
事情を知らない奏は目を白黒しながら優に質問した。
我に返った優は奏から離れて深呼吸し、今起きている事を話し始めた。
「いいか…この洋館にミナに……」
きゃあああああああああああああああああああああ!!
優の説明を遮るかのように叫び声が響いた。
その叫び声にまたも優はハッとした。 そして彼は後悔の針を突き刺される…
「し、しまった!! 間に合わなかった!!」
優は急いで個室を飛び出して叫び声のした方向に向かった。
「あ、こらぁ!」
奏も駆け足で優に付いて行った。
「こ、こぉん…ひどいよおねえちゃん…」
先ほどの声の主である豊は階段で滑って遊んでいた所を水無瀬によって襲われてしまう。
背中に杖を突きつけられた途端、彼女は肉体を変えられてしまった。
乳房は膨張し、頭から白い狐の耳を生え、腕や脚には黒い獣毛が生え、骨格は顔を除いて狐のそれに変えられ、尻からは九つの尻尾が生えてしまった。
「犬や猫じゃ没個性だから九尾の狐にしてあげたよ♪ 今からあなたは私のペット。おっぱい大きいから喜んでね」
水無瀬はにっこりした顔で豊の頭をなでなでする。 撫でた髪の色は真っ白に染まっていた。
「こぉん、くやしい……でも撫でられると嬉しいの…おねえちゃんになでなでされると嬉しくてお胸がキュウキュウするの…」
自分の体を人ならざるモノに変えた張本人なのに、その人に撫でられると体が喜ぶのだ。
そして心までも悦に入り、堕落の象徴と言わんばかりに豊の顔にオレンジのような赤のような色をした太い流線が現れる。その形はどこかの大神のようであった。
「オイお前!何をやってる!?」
その瞬間、水無瀬の近くに優が駆けつけた。 その叫びは救えなかった無念も絡んでいた。
「あ、優君だー コレ、すごいんだよ♪魔法をかけたい相手にこの杖を突きつけて念じるとその通りになるんだ♪」
「ミナ…お前が三人をあんな姿に……」
優は拳を深く握り締め、歯を食い縛る。 怒りを向けるべきは自分なのに、水無瀬の無邪気な喋り方に刺激される。
「この力で優君と一緒にこの洋館で暮らすんだ♪ その前にこの洋館にいる人たち全員を魔法で変えてお手伝いさんやペットにしようって決めたの」
「それがあの姿かよ… ふざけるな!」
「怖い怖い…怒らなくていいのにぃ…… どうせこの洋館から出られないし、人間のままだとそのまま餓死しちゃうよ?だから魔法をかけてあげたの」
「出られないなんて最初から決めつけて、みんなを異形に変える事を正当化するんじゃない!」
「だってぇ、ホントだよ?この杖が教えてくれたんだもん それは置いといて…奏ちゃん久しぶりかな?」
優から目をずらして水無瀬は友人の名前を呼んだ。 水無瀬の目線を追うように優は振り返った。
「ミナ?…どうしてそんなこと……」
「そういえばこの洋館には奏もいたっけ? じゃあ、優君の前に奏からだね♪」
「え…」
「逃げろ奏ぇ! 水無瀬の持ってる杖に触られるな!」
水無瀬の方を振り向き、彼女が舌なめずりする顔を見た優は必死に叫ぶ。
それに気付いたように奏は一目散に逃げ出した。 それと同時に水無瀬は一気に走り出した。
(俺もそっちに行く だから…)
優は奏を追って走り出す。 最後の希望が堕ちない事を願って彼は走る。
奏が休息を取っていた個室前、二人を見失った優は困り果てた。
「くそう…どこに……」
辺りを見回していた彼は奏の個室である物を見つけた。奏が持っていたと思われる竹刀である。
「これでアイツをなんとかできるかなユウ… いや、やるんだ!やれ!!ユウ!!」
優はいきごんで右手に竹刀を握り締めた。 あの杖が彼女をおかしくしている。彼はなんとなくそう思う。
そして彼は走り出した。 止まるよりは勘で動いた方がマシだと思ったからだ。
そして、水無瀬が杖を手に入れた部屋。 そこで優は水無瀬を見つけた。
「あれ?優君どうしてここにいるの?」
水無瀬は明るく問うが優は真剣な表情を崩さずに彼女を睨む。
そして右手で握っていた竹刀を両手で構える。 こう見えても彼は剣道のセンスはあった。剣道はやってないが…。
「ミナ、頼みごとがある…」
優は少し悲しい目をして呟く。 水無瀬に聞こえるくらいには呟いたつもりだ。
「なあに?優君」
「このまま…」
優は深呼吸して目を閉ざす。 心を落ち着かせて…
「このままじっとしろ!」
一気に右に走り出して跳躍!足を上げて壁を蹴っ飛ばして一気に攻め込む。
そして、水無瀬の右手目掛けて竹刀を叩き込んだ。
激しい一撃を喰らった水無瀬の右手はショックで手を放してしまった。
杖はストンとあっけなく倒れた。
「あれ?私…一体……」
水無瀬は以前の意識を取り戻すかのように戸惑う。
自分の今の格好を見て絶句するのに五秒はかからなかった。
「説明は後だ! 中にいる人たちと奏を連れて脱出するぞ!」
「え?何? 説明を…」
杖を見る前の記憶を失った水無瀬にとって、優の言葉はさっぱりだった。
「優君…ミナ…… 二人だけでも逃げて…」
その時、部屋の外から声がした。 奏の声が…
優は水無瀬を引っ張って声のする場所へ向かった。
声のした場所には、惨い事にドロドロとした蒼色のスライムへとなり果てていた。
辛うじてなのか姿形は人のままであった。 しかし異形に変えられた事に変わりはなく……
優は救えなかった絶望に拳を握り締め、何も知らない水無瀬はショックで泣き出した。
「お願い、二人だけでも逃げて… このままじゃ私もナカまでおかしくなっちゃう…」
「バカぁ! お前やあの人達を置いて逃げるなんて言うな!」
「奏ちゃんどうしてそんな…」
「行って! 私は自力でなんとかするし、私がなんとかするから… 二人が無事で元の場所にいてくれたほうが嬉しいから」
「わかりたく…ねえが……今はわからざるを得ないよな…」
優は涙を流して水無瀬をおんぶする。 そして玄関に向かって走り出した。
その後姿を見た奏はせめてもの笑顔で二人を送った。
「優君、駄目!奏ちゃんを…どうして!?」
「わかれよ!ミナ!! 奏だって一緒に出たかった、みんなも出たかった、けど…今は……」
「優君…」
「恨んでくれても、呪ってくれても構わない……全部、俺が悪いんだ… 俺がしっかりすれば…」
「優君…ゴメンね……」
優の悲しい声を聞いて、水無瀬はぐっと謝る。 もっとも苦しかったのは彼だった事を知って、それを理解して…
この後、優に何が起きたかを聞いてみようと決意した。
水無瀬を負ぶった優は玄関を通り抜け、吹雪吹く夜の場所を走り出す。
おそらく間違った事だと思うけど、今は辛いけど、まずはここを出なければならない気持ちで精一杯だった
その時、『それ』がおきた。
水無瀬の体に異変が起きる。 耳が、頭が、指先が、お尻が、背中が、そして体全体が熱くなっていく。
「あっ、あぐぅ! あっ、ああああっ!」
「ミナ!? どうした!?」
「だめぇ…体が急に熱くなって……」
「ミナ?一体どういう…」
「ねえ、優君 結婚しよう…」
「何だよやぶから棒に… 急に叫んだり、急に熱くなった…」
「魔界で、みんなと暮らそ…」
水無瀬は鋭く尖った牙で優の無防備な首筋を噛み付いた。
咬まれた者に高き快楽と眠りと麻痺を与えるその牙で……
そして、彼は帰ってきた。いや、戻された。 この悪夢が詰まっている洋館に…
その中は綺麗になっており、どこも美しかった。 明かりは以前よりあるが、それでも明るさは薄い。だけど、それが彼にとっては心地よくなっていた。
もう彼は人間ではなかった。 彼はサキュバスとなった幼馴染に性転換させられ、精を貪るサキュバスにされてしまったのである。
幼馴染とは違う形の角、女性っぽい髪形、背中に生えたこうもりの翼、尖った耳、鋭い牙、大きな乳房とその姿正に淫魔。
サキュバスにされた彼、もとい彼女は真実を知った。 この洋館は魔界で存在している生きた建物だった。
この洋館には昔、『悪魔の遺産』と呼ばれていた魔法を研究し、独自の物を作り出していたサキュバスが住んでいた。
杖の製作途中起きた魔法事故でサキュバスを失ったこの洋館は新しい住人を求め、この世界に現れた。
そして風を操れる洋館は自分の魔法で吹雪を起こし、彼女達と彼を呼び寄せたのだ。
あの吹雪は洋館の招待状だったのである。 それぞれ違う場所にいた4人と二人一組がここにいた事も全て納得がいった。
そしてあの杖は住人のサキュバスが作った遺産。 人が掴めば魔法の力を与えられ、欲望を膨張されて理性が減る物だった。
そして…
(だけど…そんなことどうでもいい……)
サキュバスにされたユウは、この洋館でミナセやあの犠牲者と一緒に過ごしていた。
爆乳ふたなりにされ、ユウとミナセの食事係となった高陽華。 アラクネとなった後洋館内の家事をこなす城野緑。
二人のペットとなった九尾狐の藍那豊。 夜のお楽しみのお手伝い係であるスライムの鹿取奏の四人(四匹)と共に暮らしている。
食事という名の性交で華の精液と母乳をミナセと共に貪りつくし、家事をしてくれた緑を全員で性的にお礼し、ペットの豊を性交で可愛がる。
一日の終わりにはユウとミナセは激しいレズプレイが待っている。 そして他の4人も二人とは別の部屋で体を交わらすのだ。
六人はあの後魔界の住人となった。 その魔界の一日は人の世界よりも長い。
魔界の時も人外の快楽も、今となっては新鮮な者だった。
そして今、ユウはミナセと交わりあった後であった。
ミナセはユウの豊満な体に抱きついてユウの乳房に頭を乗せている。
それが可愛くてユウはミナセの角を優しく撫でた。
(今はこんな生活があるんだもの 私達は選ばれた…ふふ…)
ユウはニヤリと笑ってミナセを抱きしめた。
(ハッピーエンド以外の何物でもないわ いや、『エンド』なんてないわね…ふふ……)
ユウは心の中で何かに感謝した。
以前の彼だったらどんな心境だったのだろうか。 今は語らずにいよう……
夜空に浮かぶは紅い月、その月に照らされて美しき洋館は妖しく輝いた。
魔界の一日は過ぎて、また新しい魔界の一日が過ぎていく……
THE END
以上で終了です。
ちなみにこれ書いてた頃はマイケル・ベイの13日の金曜日が公開されてました。
自分自身のホラー映画のイメージが今作に入っております。 だいたいあってますか?
コメント
[C814]
- 2009-05-04 23:35
- 編集
[C821]
こういうのもありですね。
洋館って聞くとちょっと期待してしまう私ですが、
新鮮味のある作品だったので楽しませていただきました。
これは良いBADENDです。
洋館って聞くとちょっと期待してしまう私ですが、
新鮮味のある作品だったので楽しませていただきました。
これは良いBADENDです。
- 2009-05-06 01:09
- 編集
[C824]
良いお話ですね〜。
途中で一度正気に戻るも時既に遅く、
再び堕ちてしまうと言う展開は好きですw
唯一の男の子である優君が、
しっかりTS&サキュバス化させられたのもGJでした♪
途中で一度正気に戻るも時既に遅く、
再び堕ちてしまうと言う展開は好きですw
唯一の男の子である優君が、
しっかりTS&サキュバス化させられたのもGJでした♪
- 2009-05-06 09:16
- 編集
[C828] コメントありがとうございます
>>ν賢狼ホロν様
いつもと作風を変えた作品なので
自分でも新鮮に感じられました
バッドエンドはホラーものの王道です。
>>Mizuha様
あの再堕ちシーンはネットで13金のラストを知って思いついたネタです。
無事に恐怖から脱出したけど、実は恐怖はそこにいたというイメージを思い浮かべました。
でも13金は実際に見てませんよ。 グロ嫌いなので
いつもと作風を変えた作品なので
自分でも新鮮に感じられました
バッドエンドはホラーものの王道です。
>>Mizuha様
あの再堕ちシーンはネットで13金のラストを知って思いついたネタです。
無事に恐怖から脱出したけど、実は恐怖はそこにいたというイメージを思い浮かべました。
でも13金は実際に見てませんよ。 グロ嫌いなので
- 2009-05-06 22:34
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優しくしっとりと美しい怪奇ものって、案外少ないですよね。