いやぁー、長かったよ。
関係各所の権利関係をクリアして、『リンダキューブアゲイン』の配信が出来るよう、1年も掛かるなんて、その時は思わなかった。
思い起こせば、「リンダキューブアゲインを配信します」とSCEさんから話が有ったのが、去年の9/26でした。
でも、契約書を読み直すと、PSPに配信できるような形になっていなかったんですよね。
PSPに配信しても、大した利益にもならないだろうけど、「このゲームをPSPで遊べるとしたら、ユーザーは喜んでくれるだろうな」。
そう言う思いで、権利関係をクリアして行こうと決意しました。
ですが、最初の段階で頓挫しました。
まず、権利元のNECホームエレクトロニクスさんが、既に存在しておりません。
更に、当時桝田さんを管理していたI&Sと言う会社も名前が変わり、部署も無くなっていました。
最初の一歩が踏み出せない、真っ暗闇のスタートでした。
利益の為なら、ここで権利関係をクリアにする前に、SCEさんに「配信は無理です」と言って、断っていたでしょう。
でも、桝田さんから「『俺の屍を越えてゆけ』の配信が好調で、『リンダ』も配信されるんだって?」との連絡があり、「この時代にリンダはどう評価されるんだろうね?評価を見てみたい」との話をされました。
『リンダキューブ』は、早すぎたポケモンと言う評価も聞きます。
「これは、ユーザーの為にも桝田さんの為にもなんとしてでも、配信出来るようにしなければ」。
そう言う思いで、再度立ち上がりました。
NECホームエレクトロニクスさんの権利関係は、現在、NECビッグローブさんが持っていることを確認し、また、I&Sの当時の担当者の方が幸運にも、I&S BBDOさんに在籍していらっしゃいました。
まずは、この2社の間で権利関係を詰めて貰う形でスタートしました。
が、I&S BBDOさんが、この権利については、NECさんと色々交渉するのを避けたい様子でした。
これでは、前に進みません。
途方に暮れ始めるこの時点で、既に1ヶ月が経過してしまいました。
進展したのは、I&S BBDOさんが『リンダキューブ』の権利を弊社に移転するから、NECさんと交渉して欲しいとの話が有ってからです。
I&S BBDOさん、NECビッグローブさん、アルファ・システムの3社の間で、リンダキューブ契約上の地位の譲渡の覚え書き、作成調印が進みます。
しかし、これに2ヶ月を要してしまいました。
NECビッグローブさんに覚書が届いて、締結したのがクリスマスでした。
リンダらしいと言えば、リンダらしいや。
年が明け、今度は、ロイヤリティの交渉です。
元々の契約が、「PS版が1本売れたらいくら払う」と言う契約になっています。
このままの契約では、定価が1/10になったアーカイブスで、アルファ・システムが配信本数に比例して赤字を出してしまいます。
I&S BBDOさんの権利も引き継ぎましたが、支払い義務も引き継いでるのですから、定価変更に伴うロイヤリティの変更交渉が始まりました。
これから、長い道のりが始まります。
1回のやり取りに1ヶ月くらい掛かるのです。
ターンアラウンドタイムが、平均1ヶ月位なのです。
忘れた頃にメールが来る様なイメージです。
本当に配信できるんだろうか?
そう思ってしまう気持ちを何度も押さえながら、地道な交渉で合意点にこぎ着け、今回配信出来るようになった訳です。
配信と言う事だけに関して言えば、桝田さんもアルファ・システムも一切リスクは無いので、赤字にはなりませんが、使った労力や交通費と言うのを考えると、果たして何本ダウンロードされたら良いのか?
いや、そんな事より、何人の方が喜んで頂けるか。
そして、桝田さんが去年気にしていた今の時代にどう評価されるか、それが分かる時が来たと言う訳です。
やり遂げましたよ、桝田さん。
ゲームショーの時は、上京するから酒でも飲みましょう。