「硫黄島からの手紙」の映画で日米相互理解に貢献したとして、クリント・イーストウッドの旭日中綬章受章が決まった。同作や公開中の「グラン・トリノ」などの音楽を担当した息子のカイル・イーストウッドが発表に合わせて来日し、父に代わって喜びの声を伝えた。
若き日のクリントの面影を宿すカイルは、父の影響で幼い頃からジャズに親しんで育った。俳優・監督を志したこともあったが、大学時代に音楽に重点を移し、ベーシストとしてデビュー。「ミスティック・リバー」(03年)など父の近作の音楽も手がける。
「我が家では音楽は大きな存在。全員が歌を歌い、楽器を演奏できるんだ」。家族からプロ音楽家が誕生したことを、父は大いに喜んだという。
「ふだんの父は、とても控えめで物静か。(グラン・トリノで演じた)コワルスキは文句ばかり言っているけれど、本人は至って穏やかな人です」。俳優業から引退する意向も伝えられたが、「それはわからない。いい役があればやるんじゃないかな。ただ、カメラの前に立つより、後ろで演出することに情熱を感じているようです」。
父の作品を3本選ぶなら、という問いにこう答えた。
「まず『グラン・トリノ』。父の映画の典型からは外れているけれど、普遍的なメッセージがある。個人的には『アウトロー』が好き。音楽も登場人物もすべていい。あとは、うーん、やっぱり『ダーティハリー』かな」
6月に自らのバンドを率いて来日公演も予定する。