茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故(99年9月)で被ばくし持病が悪化したなどとして、同県日立市の夫妻がJCOなどに約5800万円の賠償を求めた訴訟で東京高裁は14日、訴えを退けた1審・水戸地裁判決(08年2月)を支持し、原告側の控訴を棄却した。大橋寛明裁判長は1審と同様に事故との因果関係を否定した。夫妻は上告する方針。
原告は大泉昭一さん(80)と恵子さん(69)で、事故現場から約130メートル離れた場所で経営する工場で仕事中に被ばく。昭一さんは「持病の皮膚病が悪化した」、恵子さんは「心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した」と主張した。高裁判決は、昭一さんの病気悪化を「事故以外に原因がないとは言えない」とし、恵子さんのPTSDも認めなかった。
判決後、昭一さんは「現実に死者が出た事故で、被ばくの影響は明らか。何のためにここまで(闘って)来たのか」と怒りをあらわにした。【伊藤一郎】
毎日新聞 2009年5月14日 21時40分(最終更新 5月14日 23時11分)