世界の半分が消えたあの日。
傍らに座る大切なヒトが、なんの前触れもなく赤い水となって、ぱしゃっ、と消えたあの日。
本当の悲しみなんてものは、或る日突然やってくる。
その前じゃどんな激しい怒りも深い憎しみも、我を失う。
ぽっかりと空いた大きな穴。やがてあふれてくる涙。
たくさん泣いて、いろんなものを流しつくして。その底に残ったものはぽかん、とした淋しさ。
残されたヒト達は、共に寄り添い始める。
二度と戻らない祭りの日々を暮れる日に重ね、夕凪の中、そっと身を寄り添う。
傍らに誰かが居ないと、寂しすぎるから。
夜は、寂しすぎるから。