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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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田園倶楽部北海道

独自スタイルの農業で差別化

[2005.10.26]
“広大”な温室でトマト栽培

 【千歳】千歳市近郊で東京ドームの約1.5倍というアジア一の規模の温室で、トマト栽培が行われている。経営しているのは、農業生産法人で株式会社の田園倶楽部北海道(本社千歳)。トマトに与える水と肥料を極限まで減らし、糖度を高める農法や光センサーによる糖度選別機の導入、通年栽培による安定供給など、独自スタイルの農業を打ち出している。(平野明)

高糖度のトマトが栽培されている巨大温室と山波社長
 「収穫最盛期の5、6月の直売所の売り上げは1日平均100万円ほど。多い日で1000人強が訪れ、売り上げは250万円に達したこともある」と山波俊一社長。トマトの人気の秘密は、糖度の高さだ。

驚異的な糖度
 通常のトマトの糖度は3、4度だが、同社では7度以上を「フルーツトマト」として出荷。多いのは8−12度で、最高は14度と驚異的な甘さを誇っている。リピーター客が目立ち「一度このトマトを食べたら他のトマトは食べられない」との声が多い。

 トマトは土を詰めたビニール袋で栽培され、水と肥料は根元に差した点滴のようなチューブで与える。袋を使うのは、土の交換で連作障害を防ぎ、地面との隔離で、トマトが吸収する水と肥料をコントロールするため。「トマトの原産地は南米のアンデス。水と肥料の量を最小限に抑え、トマト本来の生命力を引き出し、糖度を高める」と山波社長は説明する。

 光センサーの糖度選別機は2002年6月に導入。当時、国内でもトマト用は5台だけしかなかった。おいしさのバロメーターを糖度とし、価格も糖度別に設定するなど差別化を図った。

通年出荷が強み
 温室の広さは約7.1ヘクタールで東西432メートル、南北164メートル。35万本のトマトを栽培し、生産量は年間1500トンに上る。半分を直売所で売り、残りは市場を通さず、道内、東京、大阪へ出荷し、果物店や百貨店などで売られる。

 通年での安定供給は季節限定出荷と比べ、取引先との交渉で強みを発揮し、卸売りの関係者から評価を得ている。

 従業員の労働形態はサラリーマンに近い。約80人を雇用し、管理職などを除いて勤務時間は午前8時から午後5時まで、日曜は収穫作業を休み、大半の従業員が休日となる。「作業のすべてを限られた人員でこなす農業とは明らかに違う」と、山波社長は語る。

 3月期の売上高は約4億7000万円。「今後は温室栽培にとどまらず、トマト栽培の契約農家を増やし、直売所も増やす。北海道農業を活性化したい」と山波社長は意欲を見せている。

<田園倶楽部北海道>造林会社の相互造林(本社宮崎県日向市、中島寛人社長)のグループ会社。温室は電子制御メーカーのオムロンの系列会社が設け、1999年5月から出荷を始めたが、オムロンが撤退、事業化の調査を担当した相互造林が引き継ぎ、2002年2月に田園倶楽部北海道を設立した。中島氏がCEO(最高経営責任者)。電話は0123-27-5566。
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