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“国会騒然”世襲制限に怯える172人「全リスト」

自民最多127人

 国会議員の「世襲」は是か非か−。自民党内で勃発している世襲議員の立候補制限をめぐる論争は、党内の主導権争いにつながる「世襲政局」に発展しそうな気配だ。次期総選挙のマニフェスト(政権公約)への盛り込みに意欲を燃やす菅義偉選対副委員長に対し、世襲議員の多い党内からは憲法の「職業選択の自由」を盾に猛反発しているのだ。意見集約の難航は必至で、「党分裂の火種」(中堅)との懸念も出ている。

 「問われているのは自民党の体質だ。まず世襲を廃止する。党内で議論し、実行に移すことが必要だ」

 麻生太郎首相側近の菅氏は今年2月、講演でこうブチ上げ、世襲制限論争に火を付けた。次期総選挙に向けて、世襲制限を打ち出すことで「改革姿勢」を示すのが狙い。同じ選挙区から親族の立候補を制限する案を軸に検討している。

 これに対し党内の世襲議員は一斉に反発した。

 祖父が元首相、父が元外相の鳩山邦夫総務相は「職業選択の自由に反するから法的規制はできない」と反論し、国会議員4代目の小坂憲次衆院議院運営委員長も「私は世襲の権化みたいなもの。世襲に害があるなら我々も害があるということだ」と不満を爆発。子息への世襲を考えている幹事長経験者も「下手に手を付けたら大変なことになる」と警告した。

 自民党は先月末、次期総選挙に向けたマニフェストの作成委員会設置に加え、下部組織としてプロジェクトチーム(PT)発足を決めた。具体的内容を詰めるPTの座長には菅氏の名前が浮上しているが、「政権公約」に世襲制限が盛り込まれることへの警戒感から、座長を互選で決める方向で反対派の巻き返しが始まっている。

 それでも菅氏は主張を曲げず、「(私は)反発があればあるほど、闘志を燃やすタイプだ」と挑発。「自民党の覚悟を示す必要がある。自分たちの一番嫌なことをやらなければいけない」と、ボルテージは上がるばかり。

【党内主導権争いの火ダネに】

 当初、賛同者は少数だったが、ここにきて古賀誠選対委員長や伊吹文明元財務相ら派閥領袖級も菅氏を“援護射撃”。特に、古賀氏は有権者の関心をひきつけた前回の郵政選挙を念頭に、「党内対立が始まれば民主党との戦いよりも面白くなる。国民の関心が移ることはひとつの戦法だ」とも述べた。

 実際、世襲議員はどれほどいるのか。

 夕刊フジの調べでは、衆院議員480人(欠員2)のうち、国会議員や地方議員の経験がある祖父・祖母や父母(義理・養子先含む)を持つ議員は172人、全体の35%を占める。政党別では最も多いのが自民127人。民主31人、公明4人、共産3人、国民新3人、改革クラブ1人−の順で、無所属は3人だった。

 親族から地盤、看板(知名度)、カバン(軍資金)を引き継ぐ世襲議員は、他の候補者の政界進出へのハードルを高くし、新陳代謝の機会を奪っているとの指摘もある。先代の資金管理団体の扱いにしても、相続税を課税されないまま継承される“既得権益”も批判を浴びている。

 「私の親バカぶりをご容赦してほしい」

 先に引退を表明した小泉純一郎元首相が次男の進次郎氏を後継に指名したのは象徴的だ。「自民党をブッ壊す」と既得権益の打破を訴え、国民にも痛みを伴う構造改革を断行してきた小泉氏だが、「結局、古い自民党体質のまま」(民主党中堅)との印象を与えてしまった。

【民主も攻勢「自民の最大の弱点だ」】

 一方、民主党も小沢一郎代表が2代目、鳩山由紀夫幹事長が4代目の世襲議員だが、世襲制限を政権公約に盛り込むことを打ち出した。現職議員の3親等以内の親族が連続して同一選挙区から立候補することを党の内規で禁止するなど、自民党の先手を打ったのだ。岡田克也副代表は「世襲が自民党の最大の弱点だ」と攻勢を強めている。

 吉田茂元首相を祖父にもつ麻生首相は世襲制限について「いかにいい候補を選ぶかで、世襲だからいいとか悪いとか言うのはおかしい」と述べているが、今後、党内バトルが激化するのは間違いなさそうだ。

ZAKZAK 2009/05/08

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