VVVの本田圭佑「おれは“特別な存在”になる」 (2/2)
本田語録で読み解く成長と変化
■身に付けたゴールへの嗅覚(きゅうかく)
第9節のエクセルシオール戦で今季初ゴールを記録した本田は、その後もゴールを量産し、チームの11連勝にも貢献した。リーグ中断前の第21節時点で、9ゴール7アシストの大活躍。順調に結果を残し続ける本田自身も、「数字には満足している」と語る。それは、目標として掲げた“ゴールへの姿勢”が結果に結びついた証しだった。
一方で、現在17ゴールで得点ランキング首位を独走するチームメートのFWカラブロの存在も大きい。本田はチームメートの実力を認めた上で、「絶対に負けたくない」という飽くなき向上心で成長を続けている。
「(自信というより)決意の方が強いですかね。日本でやるという選択肢ももちろんあったわけだけど、結局こっちに残ってプレーすると決めた。この1年を無駄にすることはできない。自分の中では(2部でプレーすることを)もう正解にし、成功しないといけないという決意でした。ここに残ると決めた時点でね。そうしないと分かってもらえないから。少しずつおれがここで力をつけて伝えることしかできないと思っている。だからこそ成功させたい。時間はかかるけど、でもそれがおれの将来につながるという決意をその時期に決めた」
――第9節のエクセルシオール戦後、「少しずつ階段を上がっていける自信はある」と語り、オランダでの成功を目指す決意をあらためて口に
「(チームの約束としては)基本的にはおれが蹴ることになっているんですけど、我が強いやつらばかりなんで、外した順番にキッカーが変わっていく。だからおれが悪いんですよ。おれが決めれば誰も文句を言わなくなるし。1本目、2本目のFKを外してしまうからこうなる。FKを決めればおれは乗るんで、早く1点が欲しいです。年間3、4点はFKから欲しい」
――第12節のテルスター戦でFKを2本外し、その後キッカーを譲ってもらえず。波に乗るためにも得意のFKからのゴールを渇望
「みんながミスする中で、おれが1人で打開したり、冷静なプレーで起点となるパスを出したり。それが最低ライン。その中でもうひとつ、(パスを)出した後に深い位置まで入っていって決定的な仕事ができるか。みんなが緊張している中でもおれが落ち着かせて、仲間にリラックスしたプレーを見せる。言葉をかけずとも、おれはチームにプラスになることはできているんじゃないかなと思っています」
――第13節のフェーンダム戦、チームメートのミスが目立つ中、本田は冷静なプレーでチームを落ち着かせる
「おれはゴール前だったら絶対パスは出さない。悪いけど、カラブロがフリーであろうがなんだろうが、前が空いていたらシュートを打つ。そういうところは少しずつ意識改革ができている。おれもあいつらに“欲”という意味では負けているつもりはないし、もっとわがままにやってもいいのかなと思っている」
――第18節のフォルトゥナ戦で2得点を挙げ、チームを勝利に導く。カラブロ、エル・ガアウイリと強烈なエゴをむき出しにするFWに対しても、ゴール意識では負けていない
「おれ自身はミドルシュートは武器だと思っていた。その中でおれが改革したのは“意識”の問題だけだったので、技術的にミドルシュートがなかったわけじゃない。今までもミドルを打ったときは入っている。ただ、その打つ数が少なかった。打てるところでも打たなかったり。おれの問題点はここだけだったから」
――第19節のMVV戦、ロスタイムに左足ボレーで同点弾。今季、バイタルエリアからミドルシュートを打つ姿勢が目立ち、ゴールが増えたことについて
「“特別な存在”にならないといけない。みんなと一緒につまずいていたら外国人選手としての仕事をこなしていないわけですから」
――第20節のゴーアヘッド・イーグル戦で0−1と敗戦。本田自身もボールタッチが少なく、活躍できず
「今季は最初から数字にこだわってきて、数字に関してはこの半年、非常に満足している。しかしサッカーは数字だけじゃない。そういった面では満足していない面も多い。今日の試合もすごくいいボール回しができていた時間帯もあったけど、相手の勢いに負けている時間帯もあった。“チャンピオンチーム”としてはそれがプライド的に許せない自分がいる。相手に勝ち目がなかったって思わせるのが“チャンピオン”だと思っているし、そういう勝ち方をしたい」
――第21節のエクセルシオール戦で1ゴール。シーズン前半戦を振り返って
<了>
(取材:中田徹/構成:スポーツナビ)
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