UPDATE1: 消費税上げ、岡田氏「4年間ない」・鳩山氏「議論必要ない」=民主代表候補討論会

2009年 05月 15日 19:48 JST
 
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 [東京 15日 ロイター] 民主党の代表選挙に出馬表明した鳩山由紀夫幹事長と岡田克也副代表は15日午後、日本記者クラブで公開討論を行った。争点の1つと位置づけられている消費税率の引き上げに関しては、岡田氏が厳しい経済状況の中で衆院任期の4年間は消費税を上げることはないが、議論は必要との認識を示す一方、鳩山氏は議論する必要もないとの見解を示した。両候補の政策などに関する主な発言は以下の通り。

 <消費税率引き上げ>

 鳩山氏「民主党は消費税について最低保障年金に充当すると決めており、移行期間は最大40年程度と試算している。(消費税率を)上げる必要がないことを試算として出しており、議論をすれば、経済が厳しい時に消費税の議論をするのか、という話になる。ただ、4年の間に消費税を上げる議論をする必要はないということであり、その先について議論をするなと言っているわけではない」

 岡田氏「民主党は最低保障年金を税方式に変え、一元化するというコンセプトを確立している。具体的な年金制度の制度設計の議論は今からやらなければならない。その中で、最低保障年金を賄う消費税の議論も、ある意味ではセットになる。4年間、議論すらすべきでないというのは違和感を感じる。制度の並存期間があり、その時に何らかの税が必要になってくる」

 <財源問題と国債発行>

 鳩山氏「国債の発行が無尽蔵に膨れ上がっており、現政権は勝手過ぎることを行っている。無駄をとことん排除し、これ以上の国債発行を行わないような日本の政治、経済の仕組みをつくりあげていかなければならない。官僚の手の内に乗ると財源が足りないとの話になる。仕組みそのものを組み替えていく中で、財源を見出し、無駄遣いも省くことができる。こうした努力でこれ以上の国債発行を行わせないような体質の政府に変えていくことが必要だ」

 岡田氏「一般会計と特別会計の1割程度の20兆円程度(の財源)は無駄の削減で出し得ると民主党は主張しており、基本的に私もその立場。ただ、(財源を)出し得るメドがついたところで、民主党の政策を順次やっていく。財源なくして政策なしという基本的な考え方に立っており、財源のメドが立たない中で政策だけスタートするとさらに国債の発行を増やすことになりかねない。順序に気をつけて進めていかなければならない」

 <景気の現状認識と再生の処方せん>

 鳩山氏「現在は厳しい不況の時代と認識している。ただ、単に外からやってきた不況ではなく、内政の失敗によって加速している。(処方せんとしては)消費者の立場に立ち、家計、懐具合を2割アップさせる戦略を最優先させたい。これが内需拡大に資する。日本経済の全治は3年かかると考えているが、無駄使いの排除を徹底的に行っていかなければならない」

 岡田氏「(日本経済は)深刻な状況だ。根底には、米国の過剰消費に依存してやってきたことがある。(政府・与党は)小泉、安倍時代の景気回復を改革の結果と言っていたが、実態は輸出が増えただけ。その背景は円安と金利安。改革の結果で経済が成長してきたのではない。これからは米国の過剰消費に依存できず、新たなモデルをつくらなければならない。一つは内需の拡大だが、少子高齢化の中でそこだけに依存することはできない。アジア全体が成長する中で、アジア内需をどうやって日本が創造していくかも重要だ。このような構造を変えるには3年でも厳しい」

 <外交・安保>

 鳩山氏「小沢代表の発想は国連至上主義。それに対して私は国連中心主義程度。国連が認めたものなら何でもやるべきとの発想そのものを踏襲するつもりはない。国連中心主義の発想の中で、国連が認めたから何でもやるということではない。武力行使になるかどうかは歯止めをかけなければならない一線と思っている。武力行使につながる可能性があるところには派遣すべきではない。国連が認めていないものに対し、米国から言われたから何でもやらなければいけないという今の政権には、大きな懸念を感じている。」

 岡田氏「武力行使そのものは、国連決議があっても認められないと考えている。ただ、国連決議というオーソライズされたものがある時は、武力行使に至らない範囲で、自分の判断だけでやる場合に比べて少し緩めてもいい。PKO(国連平和維持活動)5原則も武力行使に至らない範囲で、もう少し使い勝手がいいものにしていくべき。もちろん国連決議があれば何でもやるということではない」

 <小沢一郎代表の処遇>

 岡田氏「小沢さんの経験や能力を活用して総選挙に挑みたい。人事はトップにとって最も重要な権力の根源。選挙の最中に具体的なポストなどを言うのは避けるべきだ」

 鳩山氏「(小沢氏には)しっかりした役を与えるが、役割以上のことをするべきではない。役回りとしてきちんとしたことを行ってもらえるような立場で頑張ってもらおうと思っている」

 <09年度補正予算審議の国会対応>

 鳩山氏「衆院で強行採決され、参議院に回ってくるが、正常なかたちでは回らない。大事なのは、国会の中で議論して戦う野党でなければならないとういこと。あまりにもひどい予算ということを国民に知ってもらうことが重要だ。解散を早めるために1、2日間で上げてしまえということをやってはならない。一方、引き延ばしを行えば国民に評価されない。自然に、この程度であれば十分と判断する時間の中で採決を行うことが望ましい。補正予算が終わったので堂々と解散しなさいということを求めていくつもりだ」

(ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者)

(sumio.ito@thomsonreuters.com; 03‐6441‐1832; ロイターメッセージング:sumio.ito.reuters.com@reuters.net)

 
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