岡崎二郎ファンサイト:K大付屬漫畫圖書館
SFあらすじサイト:瀬良ヱ野図書館
2009-05-15 金曜日(晴)@横浜
■[読書]STORIES OF DARK FANTASY & HORROR
- 作者: ローズマリー・ティンパリー他, 仁賀克雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
英語ができるわけでないので、訳文についてはひとまず置いといて(飲み込みにくかったり、味が足りないところはあったけど)、「新」なんてついてるから、00年代以降のミスマガからのセレクションを期待したら、30年前の復刊と言われても納得してしまうような内容。ほとんど既訳だしなぁ。確かに、昔のアンソロジーや雑誌を掘り起こすのは面倒なんだけど。
と言いつつ、全く未読なんですが。
収録作品
- 「マーサの夕食」……ローズマリー・ティンパリー
- 「闇が遊びにやってきた」……ゼナ・ヘンダースン
- 「思考の匂い」……ロバート・シェクリイ
- 「不眠の一夜」……チャールズ・ボーモント
- 「銅の鋺」……ジョージ・フィ−ルディング・エリオット
- 「こまどり」……ゴア・ヴィダール
- 「ジェリー・マロイの供述」……アンソニイ・バウチャー
- 「虎の尾」……アラン・ナース
- 「切り裂きジャックはわたしの父」……フィリップ・ホセ・ファーマー
- 「ひとけのない道路」……リチャード・ウィルスン
- 「奇妙なテナント」……ウィリアム・テン
- 「悪魔を侮るな」……マンリー・ウェイド・ウェルマン
- 「暗闇のかくれんぼ」……A・M・バレイジ
- 「万能人形」……リチャード・マシスン
- 「スクリーンの陰に」……ロバート・ブロック
- 「射手座」……レイ・ラッセル
- 「レイチェルとサイモン」……ローズマリー・ティンパリー
お気に入りは、
・「こまどり」
傷つき、もう生きながらえないこまどりを見つけた少年たち。
二人は楽にしてやろうと石を投げつけるが……
どうせなら、ついでに「壜づめの女房」も入れればよかったのに(笑)
・「ジェリー・マロイの供述」
芸人コンビ、ジェリーとジーン。
ジーンの美しい妻、ステラはいつも遅くまで一緒にいる二人に嫉妬する。
彼女はコンビを解消させようとするが……
途中でオチは気づいちゃうけど、上手いです。
・「虎の尾」
万引き女性が持っていたバッグ。
そのバッグには、アルミ製のものならどんなものでも入った。
向こう側に違う世界とつながっていることに気づいた学者は、それをこちら側に引っ張り出そうと考えるが……
ある意味破滅SFだと思うけど、ラストの絵は笑える。
・「切り裂きジャックはわたしの父」
自分の父は切り裂きジャックだと独白する男。
その真実は?
最初、文章がよくわからなかったんだけど、ネタ的にひじょうに好み。
「グレイストーク卿、真実を語る」とは関係ないのかしら?
・「暗闇のかくれんぼ」
以前、かくれんぼの最中の事故で女の子が死んだ屋敷。
数年後、そこでスミーと呼ばれる、かくれんぼに似たゲームをしていると……
ひじょうにオーソドックスで、展開も読めるだけにゾッとする。
怖い話系の「四隅の怪」に感触が似てるかな。
・「万能人形」
大暴れする息子に手を焼く芸術家夫婦。
作品を壊され、殺意が沸くほど。
成長する自動人形を見つけ、息子の遊び仲間として与えると……
ブラックなラストに笑える。
・「スクリーンの陰に」
何十年もエキストラをしている老人。
彼には若い頃、同じようにスターを目指していた恋人がいたが、撮影中の事故で亡くなっていた。
あるとき、サイレント映画の群衆に彼女がいて……
どうと言うこともないストーリーなんだけど、ハートウォーミング(だよね?)なラストはけっこう好きかなぁ。
■[漫画]『ゲッサン』
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/05/12
- メディア: 雑誌
創刊号なんで、とりあえず購入。
これを出すなら、最初からヤンサンを月刊化すればよかったのに……というのは置いといて、『あずまんが大王』が小学館から新装版で出るというお知らせにちょっと吃驚。『よつばと!』はまだやってるよな……
そんなわけで、『あずまんが大王』の新作が載ってます。う〜ん、切れ味(と言うかなんと言うか)が鈍ってるような……
収録作は時代劇成分多めか?
『アオイホノオ』の「いつもと同じような話です」は思い出すだけで吹く。
それなのに、巻頭カラーは……
試験に出るので覚えておくように。
2009-05-14 木曜日(晴)@横浜
■[読書]BABYLON BABIES
- 作者: モーリス・G・ダンテック, 平岡敦
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 新書
『バビロン・ベイビーズ』モーリス・G・ダンテック〈太田出版〉
『バビロンAD』は全くスルーしてたんだけど、帯を見て吃驚。
発売合わせてるし、そもそも題名がそうだよな(笑)
近未来、ベテラン傭兵のトオロプはロシアの情報将校から、ある女性の移送を依頼される。ロシアからカナダまで運ぶだけで、大金が得られる。しかし、彼女を巡って、シベリア・マフィア、カルト教団、武装暴走族、ハッカーコミュニティが奪い合いを繰り広げる。はたして、彼女は何をもたらすのか?
分厚い創作同人? 過剰なまでに色々と詰め込んであるんだけど、それがサービスではなく、素人が自分の好きなものを削げずにいたような感じ。
書かれたのが99年で、舞台が2014年。読んでいるのが2009年というこの微妙なズレがまずいのか、近未来SFとも、サイバーパンクとも、どちらとしても説得力がなく、自分は今何を読んでいるのか? という変な読書感のまま、最後まで乗れずに終わってしまった。メリハリも、まとまりもない混沌を狙っていたのなら、成功しているような気もするけど。あえて言うなら「よげんの書」か?(笑)
作中に出てくる作者(分身)と著書の扱いを見ていると、『イルミナティ』シリーズみたいな効果を意識しているような気もするけど、むしろ読んでて(ノ∀`)という感じ(笑)
あと、分裂症の認識がなんか変。罹るより発症の方がよくない? 多重人格がごっちゃになってるような……。
共通したキャラクターが出てくる著作が以前にあるようだけど、そちらはSFではない模様。
■[迷惑メール]ちょっといい事教えてやるよ。
まあ、普通の迷惑メールなんですが。
件名:ちょっといい事教えてやるよ。
先輩の言ってた通りでしたよ!!
あのサイトのシステムのバグなんですかね?
サクラの名前には必ず「.」が付くみたいですね!!
ここアホなシステム使ってますよね〜プププ
http:●●
m9(^Д^)プギャー!って感じッス
おかげでリアル女を狙い撃ちで即ヤリでしたよ!
その女、ホテルのエレベーターでスカートの中に手を入れたらもうベチョベチョ
になってて焦りましたよ(爆)
さっきおマんコして帰ってきたところっす。(*´д`)フヒィ〜
明日、明後日と連チャンで他の女とも逢う約束しちゃってるんでちょっと休みま
すわ。
風俗の100分の1くらいの出費程度でこんな楽しめるとは思いませんでした。
つか、明日の女はちょい年増なんでセクースの後で謝礼くれるらしいです!
バグが直される前にヤリまくり、儲けまくりますよ!
また進展あったら経過報告しますね!
> 圭吾ヒマしてっか?
> お前、前の女とはもう逢ってねぇんだろ?
> ちょっといい事教えてやるよ。
> http:●●登録してみ。
> 俺も知り合いから教えてもらったんだけどさ。マジウケるから。
> 名前に「.」のついてるヤツには注意な。それ、たぶんサクラだから。
> たぶんそこのサイトのバグなんだろうけどな?
> それさえ知ってりゃ、フツーに本物の女とすぐヤレるぞ。
返信メールを装う後半のディティールは無駄に凝ってるね(笑)
ただ、件名に「Re」付けていないのが画竜点睛を欠くってやつ。
それにしても、面白いのは来ないなぁ……
2009-05-13 水曜日(曇/晴)@横浜
■[迷惑メール]あなたはいいメッセージを
件名:あなたはいいメッセージを
腕時計:
ROLEX OMEGA CHANEL BVLGARI CARTIER IWC FRANCK MUILER BREITLING PANERAI LOUIS VUITTO
OTHER WATCH
財布:
LOUIS VUITTON HERMES CHANEL GUCCI PRADA CHLOE C.DIOR COACH BVLGARI D.G BOTTEGA WENETA MIUMIU
生活の用品:
夏季靴 靴 ベルト バスタオル ライター ネクタイ ペンダント 眼鏡 鏡子
必要に応じて、訪問してくださいwww.bossjp.com電子メール:お問い合わせくださいbossjp@yeah.net bossjp_jp@yahoo.co.jp場合は、商品コード、ご返答は初めて、ありがとう注記する必要があります!注意してください!
この文体には見覚えがある!!
アメコミサイトを翻訳ソフトに掛けた時の文体だ!
まぁ、声を大にして言えることじゃありませんが。
ホントに余計な手間を掛けている気もするけど、生活用品に「鏡子さん」が入っているところに、キラリと光るセンスを感じます(笑)
2009-05-12 火曜日(曇)@横浜
■[岡崎二郎]まるまる動物記
「合戦のはなし」
かえるの目の話。
止まっているものが見えない彼らの目。それならば……という発想の転換(?)は素晴らしい。
眼球の動きを止める実験は、被験者になってみたいなぁ。
テンポも出来上がってきたのか、今回はかなり面白かったです。
■[ニュース]事件:180個すべて空くじに激怒/組幹部ら逮捕/脅した容疑で福岡県警
http://mainichi.jp/seibu/news/20090512sog00m040007000c.html
そりゃ、怒るよ(笑)
律儀にカプセル代払ってるのもイイ話だし、「何回かに1回は当たりを入れてある」という店主の生臭い内情もイイですね(笑)
で、アタリはなんだったんだろ?
2009-05-11 月曜日(晴/曇)@横浜
■[読書]フラナリー・オコナー全短篇(下)
- 作者: フラナリーオコナー, Flannery O’Connor, 横山貞子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/04/08
- メディア: 文庫
『フラナリー・オコナー全短篇(下)』〈ちくま文庫お28-3〉
収録作品
- 「すべて上昇するものは一点に集まる」 Everything That Roses Must Converge
- 「グリーンリーフ」 Greenleaf
- 「森の景色」 A View of the Wood
- 「長引く悪寒」 A Enduring Chill
- 「家庭のやすらぎ」 The Comforts of Home
- 「障害者優先」 The Lame Shall Enter First
- 「啓示」 Revelation
- 「パーカーの背中」 Parker's Back
- 「よみがえりの日」 Judgement Day
- 「パートリッジ祭」 The Partridge Festival
- 「なにゆえ国々は騒ぎ立つ」 Why Do the Heathen Rage ?
独りよがりの善意、正義を積み上げていった結果、ラストで一気に崩壊するという展開は上巻同様なんだけど、下巻の方がより小説っぽいかな。
素養がないんで、キリスト教的読み方はやはりできないんだけど、ミステリ的に読んでも、きちんと積み上げられていくため、隙がなく、崩壊に至るプロセスが詰め将棋のようで緊張感は凄い。そういう風に読むと、オコナーに怒られると思うけど(笑)
個人的お気に入りは、「すべて上昇するものは一点に集まる」「グリーンリーフ」「森の景色」「家庭のやすらぎ」「障害者優先」。特に、「障害者優先」はラストがひどすぎて吹いた。
■[迷惑メール]遠峯玲子です。アド教えるね。
件名:遠峯玲子です。アド教えるね。
うっそ!!!!ホントに食べたことあるの!!?
httph●●
ここでHさんの掲示板に書いてあるのを読んだんだけど、凄い人なんだね!!
食べたんだ!?直接食べたんだ!?全部食べたの!?
Hさんの掲示板に、そっちの顔写真も載ってたし、
更に『その男の連絡先』ってこのアドレスが載ってたから
ついつい感動して今こうしてメールしてるんだけど。
食べたんだ!?そういうの好きなんだ?
じゃあ私のも食べてみる?どうかな??
私、一度でいいから食べさせてみたいんだよね。
どういう味したの?
あ、自己紹介しておくね。
私は遠峯玲子、21歳、大学生です。
中学高校と女子校だったので色んな経験がしたいです。
私のを食べるんだったら、三日ぐらい前からこっちのほうでも
用意しなきゃならないから、
明後日あたりどうかな?さっきのサイト、私も『ミネレイ』って名前で
受信箱持ってるから、そこに連絡欲しいです。待ってるね!!
『変ゼミ』? ……いやいや、エロワードはひと言も書いていないので、いかがわしい内容を想像したのなら、それはあなたの性癖(笑)
ライターはなかなかの技巧派かと(笑)
それにしても、本当に引っかかる人がけっこういるのね。
迷惑メールはクリックしないで愛でるものですよ
■[予定]6月の主な海外SF・FT・ミステリ・その他新刊予定追記
ハヤカワ・オンラインが更新されたので追記。
HPB
『風の絵師 2 運命の絵画対決』イ・ジョンミョン
『なぜ女は昇進を拒むのか』スーザン・ピンカー
『灰色の嵐』ロバート・B・パーカー
『夜想曲集』カズオ・イシグロ
『ペルディード・ストリート・ステーション』チャイナ・ミエヴィル
ハヤカワ新書juice『インターネットが死ぬ日』ジョナサン・ジットレイン
チャイナ・ミエヴィルの『ペルディード・ストリート・ステーション』が楽しみ。
……なんだけど、短篇集が出るもんだと勝手に思い込んでいたので、なんか複雑な気分(笑)出るのは嬉しいんだけど。
それにしても、3000円超は高いな〜
2009-05-10 日曜日(晴)@横浜
■[珍スポット]週末の写真
新所沢の住宅地にあった、鉄道系っぽい物体。
何これ?
土曜日は目黒で読書系の飲みがあったので、以前から撮りたかった日の丸自動車。
やっぱり目立つ形してるなぁ。
正面から撮りたかったんだけど、もしかして、えらく離れないと撮れない?
あと、途中に天文台みたいなものがあったけど、あれはどこ?
うちの近所(でもないけど)にある、吉野家ブルー。
そばを扱っている店舗だとか。
ほかにも、吉野家ホワイト、ブラウンがいる模様。
■[迷惑メール]あなたの親友、山田です!
件名:あなたの親友、山田です!
どうも。ゴッド山田です。
あれ、教えてもらったアドレス間違えてた?
ひょっとしたらフィルタリングの関係でメールが
ちゃんと届いてないんじゃないか?
・・・とか、色々と心配になってしまい
夜もおちおち眠れなくなってしまいましたので
念のためもう一度だけ再送してみることにしてみました。
今後は届いているでしょうか?
こちらが移転したサイトです↓
http●●
なんか自分の作ったホームページをただただ君に見て欲しくて
ものすごい頑張ってる健気な自分にちょっと興奮。
思わす鏡の中の自分とキスしちゃったりしてしまったよ。
こんなこと言えるのは親友の君だけだから…。
では、用件のみですが、
これからもよろしくお願いします。
惜しい! 実に惜しい!
傑作になる可能性を秘めているのに、膨らませずに終わらしちゃってるのが勿体ないよなぁ。
件名とか、鏡の下りは、悪くないセンスなのに。
2009-05-09 土曜日(晴)@東京
■[読書]フラナリー・オコナー全短篇(上)
- 作者: フラナリーオコナー, Flannery O’Connor, 横山貞子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/03/10
- メディア: 文庫
『フラナリー・オコナー全短篇(上)』フラナリー・オコナー〈ちくま文庫お28-2〉
あまり読むつもりはなかったんだけど、周りがみんな読んでいて、寂しくなったので追っかけ。
収録作品
- 「善人はなかなかいない」 A Good Man Is Hard to Find
- 「河」 The River
- 「生きのこるために」 The Life You Save May Be Your Own
- 「不意打ちの幸運」 A Stroke of Good Fortune
- 「聖霊のやどる宮」 A Temple of the Holy Ghost
- 「人造黒人」 The Artificial Nigger
- 「火の中の輪」 A Circle in the Fire
- 「旧敵との出逢い」 A Late Encounter with the Enemy
- 「田舎の善人」 Good Country People
- 「強制追放者」 The Displaced Person
- 「ゼラニウム」 The Geranium
- 「床屋」 The Barber
- 「オオヤマネコ」 Wildcat
- 「収穫」 The Crop
- 「七面鳥」 The Turkey
- 「列車」The Train
絶対の正義、善の物語。
悪意がなく、「善意」だけの世界。
ただし、そこはあまりにも狭量で、想像力がない。
故に、本人以外には残酷に映る。
その行動原理は狂信者のようでありながら、しかし、彼らはごく普通の人であり、読者が彼らと入れ替わったとしても同じような行動を取ってしまうかもしれない(例えば、怪我人に同情しながら、自分は無事でよかったと考えるようなエゴ)。
だから、登場人物を理解、感情移入しにくい(したくない)。
ここで、最も理解しやすいのが、聖職者やアウトサイダーたち。彼らの行動原理はけっしてぶれず、そして自由。それを前にして、上から目線の「善意」を振るう人々は折れてしまうことになる。この辺から、作者のキリスト教的精神が読めそうなんだけど、一読だけだと難しい。
なかなか感想が言いにくいんだけど、小説的に気に入ったのは、「河」「不意打ちの幸運」「田舎の善人」「強制追放者」「床屋」「収穫」あたりかな。
ハッキリ言って、読後はまるで爽やかじゃありません(笑)