大牟田市立総合病院は14日、地方独立行政法人となる来年度から、看護師の初任給を最大約2万9000円(16.8%)引き上げる方針を示した。待遇を改善することで慢性的な欠員状態を解消する狙いだが、併せて既に働いている看護師の給与水準も引き上げる予定で、人件費の増加は経営に影響を及ぼしそうだ。
同病院の看護師の初任給は現在、15万5700‐17万2200円。周辺病院並みに18万500‐20万1100(助産師)円に引き上げて人材確保を図り、診療報酬がアップする「七対一看護」への移行を目指す。来年度は30人を募集する。
同病院は市職員と同じ行政職給料表を採用しているため、看護師の給与は若いときに低く、高年齢になると周辺病院の平均より高くなる。独法化を答申した第三者委員会も賃金体系を見直す必要性を示していた。
昨年度に独法化した那覇市民病院は年功序列賃金を抜本的に見直し、必要のない役職を割り当てて給与等級を上げる「わたり」を撤廃し、40歳以上の昇給を止めた。この結果、人件費が抑制され、黒字化を達成できる見込みだという。
大牟田市立総合病院の場合、独法化の条件として「給与水準の維持」「身分の保障」を労使合意している。しかし、病院関係者は「年功序列賃金を是正しなければ、人件費の膨張を招く」と懸念している。
=2009/05/15付 西日本新聞朝刊=