《検証・民主党》農業――1兆円掲げ与野党が激突、政局に翻弄されるコメ農家(1) - 09/05/15 | 09:00

 2007年7月の参議院選挙を皮切りに、自民党と民主党が農政で死闘を繰り広げている。戦端を切ったのは民主党だ。参院選で「すべての販売農家に対する総額1兆円の戸別所得補償」を公約に掲げ、自民党から農民票をさらったのだ。

 民主党は参院選時のマニフェスト(政権公約)で、「食料の完全自給への取り組み」をうたい、選挙のチラシでは「コメの生産調整廃止」をアピールした。また、農産物の市場価格が大暴落しても、すべての販売農家を守ると断言した。

 民主党の公約は、米価の下落に苦しむ農家から歓迎された。「にわかには信じがたいが、自民党の農政よりは夢がある」(岩手県の兼業農家)と受け止められ、農村部でも地滑り的な大勝利を収めた。

参議院選挙が終わると民主党の公約は変質

 選挙で惨敗した自民党は危機感を強めた。そして07年秋口から反撃に転じた。民主党の「農業者戸別所得補償法案」の国会提出を待ち受け、参院選での公約と同法案の矛盾点を洗い出して質問攻めにしたのだ。

 自民・民主両党の対決の舞台は参議院農林水産委員会だった。07年10月30日、民主党が法案を提出したのを受けて、自民党の議員が矛盾点を執拗に攻撃した。

 「選挙中に配られたチラシに、白菜の絵が描かれている。今回の法案では野菜農家も対象になるのか。そうでないとすると、選挙がフェアじゃなかったのではないか」(自民党の野村哲郎参議院議員)。

 法案の趣旨説明を担当した民主党の平野達男参議院議員は、たじたじとなった。そして、「現在、野菜は市場価格と販売価格の逆転が起きていないと思っている。この法案では対象としていない」と公約を否定するかのような答弁を余儀なくされた。

 自民党の追及の矛先は「コメの生産調整廃止」にも向けられた。

 「民主党のチラシでは、生産調整はしないと書いてある。本当に廃止するのか」と野村議員は迫った。

 ここで、民主党の高橋千秋参議院議員が驚くべき発言をする。
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