| 
 | 
		
きょうの社説 2009年5月15日
◎ジャズの祭典 秋の「熱狂」も定着させたい
 
 九月の五連休に金沢の中心部で初開催されるジャズの祭典「金沢JAZZSTREET
」の実行委員会がきょう発足し、いよいよ準備作業が本格化する。にぎわうまちのあちこちでジャズの音色が響く光景を想像して、期待を膨らませている愛好家らも多いのではないか。秋の大型連休は毎年めぐってくるわけではないが、イベントは今年だけで終わらせず、クラシックをテーマとする春の「ラ・フォル・ジュルネ」と並ぶ秋の、しかも都心の「熱狂の日」として定着させていきたいものだ。春の大型連休に開かれた二度目の「ラ・フォル・ジュルネ」は、昨年を上回る九万二千 人もの人出を集めた。本物の文化は不況にも負けないことを数字で証明した格好である。その一方では本公演がJR金沢駅周辺に片寄り、「中小規模都市では都心のにぎわいこそが、まちの活性化につながる」との観点から、もの足りなさを指摘する意見も多かった。 その点、「金沢JAZZ STREET」は都心での展開を計画しており、内容次第で は「ラ・フォル・ジュルネ」に匹敵する成功を収めることも不可能ではあるまい。仏・ナント市発祥の「ラ・フォル・ジュルネ」とは違ってお手本はないものの、その分、独自の工夫を凝らす余地も大きいはずである。 夏の七尾の「モントレージャズフェスティバル・イン能登」をはじめ、ジャズをテーマ としたイベントは既に各地で催されている。「新規参入」で愛好家らの関心を集めるには、それらとの差別化を図ることが大切だろう。北陸新幹線金沢開業を見据え、県外からも人が呼べるイベントに育てていくためにも、まずは初回が肝心だ。 たとえば、金沢が誇る和の要素とジャズのコラボレーションはどうか。先月、高岡で開 かれた高岡園遊会では、三茶屋街の芸妓衆と世界的なジャズ演奏家の共演が実現し、大盛況となった。金沢でも試してみる価値はあろう。「金沢JAZZ STREET」が、ほかにまねできない個性的なイベントになるよう、関係者は知恵を絞ってもらいたい。 
 
 
 
◎エコポイント 消費喚起へ制度設計急務
 
 省エネ家電などの購入促進策として、追加経済対策に盛り込まれたエコポイント制度が
、財源の裏付けとなる補正予算案の成立を待たずに十五日から始まることになった。ボーナス商戦前の買い控えを防ぐため前倒しするのは理解できるとしても、製品購入でもらえるポイントの使途など肝心の部分が定まらないまま動き出したのが気がかりである。政府による家電製品の買い替え支援は極めて異例である。個人消費の刺激や家庭部門の 温暖化対策の推進、家電業界の省エネ技術向上など、さまざまな目的があろうが、政策効果を最大限に引き出すには綿密な制度設計がいる。消費喚起を促すためにも、使い勝手のよい仕組みを早急に構築し、制度の周知を徹底してほしい。 エコポイント制度は省エネ基準を満たした冷蔵庫やエアコン、地デジ対応テレビを購入 すると、販売価格の5−10%が還元される仕組みで、政府は製品ごとのポイント数を発表した。一方で、交換商品は電球型蛍光灯などのエコ製品のほか、全国で使える商品券、公共交通機関のプリペイドカード、地域の特産品などを例示したが、詳細は先送りされ、実際に商品と交換できるのは夏以降となる。 エコポイント自体は決して目新しいものではなく、環境省がすでに制度化し、民間でも 導入する動きがある。その趣旨は消費者に温暖化対策型の商品やサービスの購入、省エネ行動を促すことである。政府の大々的な取り組みは、それまで省エネや環境対策に関心の薄かった人たちにも理解を促す意義が見いだせる。 獲得ポイントの交換対象は当初、同様の省エネ製品が想定されていた。品目を拡大する ことは温暖化対策への関心を広く促し、景気対策という性格も考えれば一つの考え方ではある。 省エネ家電はエコカーと同様、日本の得意分野である。政府の制度を、家電メーカーの 技術力強化や新製品開発にもつなげたい。消費者意識の転換も含め、一過性にとどまらない波及効果を見通してこそ「ばらまき」批判を抑え、後々に評価される政策となろう。 
 
 
  |