
さて、前回からかなり間が開いてまいましたけど、片付けてしまいたいと思います。
最終話のこの最後の20分こそが、この作品を名作と呼べる作品に仕上げたちゅうても過言やありまへん。
なんちゅうてもラストが最高なんは言うまでもあらへんのでっけど、小生的にはこの後半冒頭の戦闘準備のシーンがめっちゃ好きやったりします。
更衣室の主人公三人の下着シーンの如き視聴者サービスシーンでさえタシロ提督のバックの演説と各人の表情から非常に緊張感のある秀逸なシーンになってますし、その緊張感もガチガチの緊張感やなく、程よいちゅうか、爽快感すら漂う雰囲気が出てますわ。
お姉さまにガンバスターのキーを譲るユングのカッコよさちゅうたらもう最高ですし、ノリコが父君の写真を見ながら語りかけるシーン、そこへ現れるお姉さまと出撃直前の会話、完璧に王道パターンを押さえた演出は見事ですわ。
ハッチが開いてシズラーが出撃していくシーンも圧倒的です。
戦闘の準備が終わって、彼我の距離と速度から勝利を確信したところをイキナリ予想外の襲撃を受けて窮地に追い込まれるちゅうのもお約束でっけど、呆然としたのも束の間、即座に迎撃の指令を発する提督の描き方も見事ですし、何よりも、このシーンの最後に、タシロ提督の「…後22分だ!」で最高の戦闘シーンへ突入する演出は見事としか言いようがありまへん。
佳境に入ってのこの戦闘シーンは小生が今まで見た多くの作品の戦闘シーンの中でも最も秀逸な戦闘シーンのひとつですわ。
初めて見たときは一瞬それこそ見てるコッチが呆然としましたけど、鉛筆画を思わせるタッチの静止画を加工して動画以上の演出効果を成し遂げたのは見事としか言いようがありまへんし、こういうシーンはバックの音楽がメッチャ重要なんでっけど、これも一点非の打ち所ありまへん。
いたずらに迫力を煽るわけやなく、かといって陰気にもならず、もはやため息つくしかないレベルに仕上がってます。
数秒ずつ出てきたノリコ、お姉さま、ユングの三人の凛々しい表情はゾクッとくるくらいすばらしいです。
そして払った犠牲の数をテロップすることによって戦闘の激しさの描写に止めを刺す演出も見事の一言ですわ。
で、バスターマシン三機の健在がテロップされ、戦闘は小休止、生き残った味方を提督が労い、甚大な損害にもかかわらず稼動するBHBに奇跡と胸をなでおろすとき、全てをかけた作戦の発動が不発に終わりもう一山あるのも王道ですわ。
質量不足で爆縮できないBHB、肩を落とす提督、そこへ奇跡を起こして見せると特攻を仕掛けようとするノリコ、止めようとする提督、縮退炉を二つにすれば帰れると合体して付き合おうとするお姉さま…。
突っ込む二人を見送りながら苦しい表情で「頼む…。」という提督…。
それこそ、同じ時を過ごせないからと本気の特攻を仕掛けようとするユング…。
これで最後にしたいと語りかけるノリコ…。
最後には見送ることにしたユングと二人のやり取りを見ながら「すまん…。」との一言しかない提督…。
小生的には、ココでのお姉さまの「行ってきます!」の台詞とその表情が最高です。
最深部に到達した二人、ガンバスターから縮退炉をひとつ取り出し、見事に起爆させる二人、苦悶の表情で最後の命令を下すタシロ提督、一人帰ってきてと泣き崩れるユング…。
泣きながら親友へ「もう会えない!」悲痛な叫びを上げるノリコ、タカミの七夕の祈り、叶わず…。
地球で待ってた親友のシーンを入れたのは完璧の演出ちゅうて過言やないでしょう。
陳腐と言うてエエ位の黄金パターンでっけど、それゆえに絶対に外したらあかん場面です。
崩壊する銀河、12000年の時を隔て帰還する二人、灯りの見えない地球に二人が絶望しかけたとき、鮮やかに地球上に浮かび上がる「オカエリナサイ」の文字、共に戦って来た愛機に、感謝と別れの言葉を残して降りてゆく二人、その瞬間に美しい弦楽器の旋律が彩を添えてカラー化される映像…。
そのまま美しい音楽をバックにテロップが流れエンディングを迎えます。
この瞬間の爽快な感動はもはや筆舌に尽くしがたいモンがありますわ。
そらね、このテのモンにお約束の突っ込みいれるんやったらありますよ、銀河系の中心部からたった12000年で太陽系まで吹っ飛ばされて帰ってきた二人が観測できてるんやったら、んな演出する前に回収に出ろやとか…。w
でもね、そんなチンケな突っ込みは時間たってからの空想科学読本的お遊びでやればエエんです。
この演出は、物語全体を見渡したら、ユングが見送ったときに「帰ってきたらオカエリナサイといってあげる」ちゅう台詞が複線なんですわな。
この物語の中で、自らが浦島太郎になってまうのを省みず地球を救った救世主に対し、人類が捧げた最高の感謝の表現やないでしょうか?
こういう演出をした庵野氏はじめ製作に関わった方々に感謝したいと思います。
小生は子を持つ親として思います。
我が息子には、こういうモノに素直に感動できる感受性を持って欲しい、そして、恩義のある人に対し、力の及ぶ限りこういう感謝の表現ができる人になって欲しいと…。
小生自身も、まだまだその辺に転がってるゴミですけど、そうできる人間になれるように努力して行こうと…。