ここから本文エリア 助産師足りない 医師会「県立校定員増を」2009年05月15日 助産師不足で県内の産科医療機関の半数近くが危機的状況にあるとして、県医師会産婦人科医部会の部会長らが14日、県立総合看護学院(佐賀市)の助産学科の定員増を求める要望書を県健康福祉本部の佐藤敏行本部長に提出した。地域の医院や大規模病院では産科の休診や縮小が相次いでいるといい、内野稔・部会長は「このままでは医院の閉院が相次ぎ、お産の場が失われていく」と訴えた。(吉村治彦) 同部会は今春、県内にある26の産科医療機関を対象にアンケートを実施。助産師が「不足」と回答したのは15医療機関で、「充足」は1医療機関のみ。「いない」は10医療機関に上った。助産師の必要人数として、18医療機関が1年以内に計39人を希望していることが分かったという。 助産師は、陣痛が始まった女性の子宮口の開き具合を観察する「内診」や、分娩(ぶん・べん)を取り扱うことができる。横浜市と愛知県の産婦人科医が、看護師に内診をさせていたとして、相次いで保健師助産師看護師法違反容疑で取り調べを受けるなど、助産師不足は社会的な問題になっている。 県西部にある産科医院には現在、助産師がいない。開業医1人ですべてのお産を取り扱っており、正月休みもないほどの忙しさという。この医師は「助産師がいないので、妊婦さんから目が離せない。このままでは体が持たず、いつまで産科を続けることができるか分からない」と話す。 要望書では、「県内の妊産婦さんが安心して出産できるように、早急に助産師を充足させる必要がある」として、県立総合看護学院助産学科の定員を現在の10人から15人程度まで増やすように訴えている。 県医務課によると、定員は06年度まで15人だったが、お産の実習を受け入れる医療機関での分娩件数が減るなどして10人に減員した。国の決まりで10例以上の分娩を経験することになっているためで、山口和夫医務課長は「医療機関の協力を得ながら定員増に努めたい」と説明している。
マイタウン佐賀
|