元駐レバノン大使、天木直人氏の26日のブログに、リニア中央新幹線(中央リニア新幹線)に関することが書かれていました。
『国の在り方が変わる兆しを感じる』
「リニア中央新幹線が民間の手によって実現する見通しになったというニュースである。」
「日本の将来は国民が決める。そういう時代の始まりを予感させる。国が全てを決めてきた時代の終わりを予感させる。そういう二つのニュースである。」
http://www.amakiblog.com/archives/2007/12/26/#000641
通常のリニアモーターカーではなく、超電導リニア新幹線の日本の技術は卓越しています。
超電導リニアは有人走行による世界最高速度時速581kmを達成するなど技術的に完成の域にあり、日本だけが開発している先進的・先端的技術です。(愛地球博 JR東海 超電導リニア館のホームページより)
http://www.expo2005.or.jp/jp/C0/C3/C3.7/C3.7.3/index.html#section2-03
この件で私の意見を書かせていただきます。
結論から書きますと、リニア新幹線構想は国策として推進すべきであるということです。そして将来、中国を初め全世界にリニア新幹線網を日本の技術で創り出すのです。発想を少し変えればこの構想は十分実現可能です。
私は、ディズニー・テーマパークの運営責任者を長く務めたことにより、「乗り物」の運行システムは熟知しています。20秒おきに発車するスペース・マウンテンなどのジェットコースタータイプのアトラクションの制御システムを活用すれば、リニア新幹線計画は必ず成功します。
この計画が成功するためにはいくつかの発想の転換が必要です。
第一にリニア新幹線は地下鉄のように地下化すべきであるということです。全区間を地下化することにより安全性は格段に高まります。台風などの自然災害による運行停止もありませんし、24時間の運行も可能になります。
また、ジェットコースターや「ゆりかもめ」のように運転手が不要になり、原子力発電所同様、中央制御室ですべての運転をコンピュータ制御することも可能になります。用地買収も不要であり、建設コストも削減されることでしょう。
第二に、現状のサイズにこだわらないということです。発想を変え、思い切った小型化と軽量化に取り組むべきです。
「大きな輸送力を得る」というテーマについてほとんどの人が考えることは「大型化」ですが、これは理論的に必ずしも正しいとは言えません。大型化は駅の大型化などを招きかえって不効率です。
ディズニーはTHRCという理論を有しています。
理論的に 1時間あたり 乗り物が どれだけ運べるか ということです。
1時間あたりの輸送数を求める公式です。
1時間あたりの輸送数 = 収容人数 × 1時間あたりのディスパッチ(発進)回数
列車をどんなに大型にしても、ディスパッチインターバル(発進間隔)が長く、ディスパッチ回数が少なければ決して高い輸送力は得られないのです。
このことを具体的に説明します。
東京・新大阪間の東海道新幹線の収容人数(座席数)を1,300とし、ディスパッチ回数を10回とすると、THRCは13,000人になります。
他方、小型リニア新幹線の収容人数を、既存の新幹線の10分の1の130人とし、スペース・マウンテンと同じ制御(ディスパッチインターバルを20秒、1時間のディスパッチ回数は180回)で運行すると、THRCは23,400人となります。
既存の新幹線の2分の1の収容人数にすると、117,000人となります。
さらに、です。小型化により走行速度がアップすることも可能になります。現在の超電導リニアのスピードは500キロ(最高時速は580キロ)ですが、車体に強化プラスチックなどを使用して軽量化を図れば、さらなるスピードアップは比較的容易であると考えます。
小型化することにより駅などの関連施設も小さくすることができます。トンネル工事も容易になります。車両の小型化は一石何鳥もの効果があります。
第三に既存の路線とのバッティングは愚であるということです。
既存の路線ではなく、地方と大都市を結ぶ地下路線網を考えるべきです。たとえば、東京新宿(都庁)から飛騨高山までは約250キロです。時速500キロならば30分で到着します。飛騨高山から大阪も同じでしょう。
飛騨高山から都庁まで30分、まさに「通勤圏内」になります。
このように、これからのリニア新幹線構想は大都市間をつなぐという発想からではなく、地方と大都市、地方と地方をつなぐという発想からの整備計画に転換すべきであると私は考えます。
最後に、将来への展望です。日本で成功すればこのシステム全体を世界中に輸出することが可能です。きっと上海・北京間も「通勤圏内」になることでしょう。
それだけではありません。この技術は地球環境の改善にもつなげることが可能です。
なぜならば、リニア新幹線で運ぶものは「人」だけではないからです。「物資」も大量に運ぶことが可能です。日本では「森林開発から得た森の恵み」を都会へ大量に運搬することができるようになります。
海外においては、黄河のような大河から砂漠地帯までこの超電導リニア新幹線という「大動脈」を建設し、「水」や「用土」などの物資を大量に運搬すれば、リニア新幹線網の周辺は、人の手による肥沃な農地へと甦っていくことでしょう。(ナイル河のグリーンベルトのように)
将来、この超電導リニア新幹線システムは、間違いなく日本の輸出産業の「トップ」に成長していくことでしょう。
※余談ですが、東京ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテンの運行システムにはリニアの技術が使用されています。
発進時の推進用のブースターと、ステーションに到着する前の減速用リターダーです。ご存知でしたか。
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