大毅、痛恨の判定…天国の小松さんへ鎮魂Ｖも

３回、ブンブン東栄に左フックを決める亀田大毅（左）

　◆プロボクシング１０回戦　○亀田大毅（判定　３―０）ブンブン東栄●（１３日、東京・後楽園ホール）　プロボクシングＷＢＣ世界フライ級１４位・亀田大毅（２０）＝亀田＝が“戦友”にささぐ勝利を挙げた。ノンタイトル戦でフィリピン人のＷＢＡ世界ミニマム級１３位ブンブン東栄（２３）＝一力＝に思わぬ苦戦を強いられたものの、判定で撃破した。本来、対戦する予定で４月１３日に不慮の事故で亡くなった元東洋太平洋フライ級王者・小松則幸さん（享年２９歳）をしのんだ。

　納得できる内容ではなかった。リングサイドで小松さんの家族らが見守る中、思わぬ苦戦を強いられた。大毅は「いい試合を見せたかったけどな。申し訳ない。（小松さんが）おれには力を貸してくれなかったのかな。でも、どんな展開でも勝たなアカンから」と神妙な表情。勝利を天国へ届けたことがせめてもの供養となった。

　決定打を与えられなかった。序盤から体格差とパワーを生かし、ブンブンにジリジリと迫りボディーをたたく。再三、コーナーへと追いつめ右ストレート、左フックを浴びせるが、いずれも単発に終わった。右構えの小松さんとは逆のサウスポーは距離感が狂うこともあり「苦手」で時折カウンターを被弾した。対戦相手の突然の変更で対策時間も限られてはいたが「ボディーを効かせて後半、上を攻めたかったけど倒れんかった」と悔しそうに反省の弁を並べた。

追悼セレモニーを行ったグリーンツダ・本石マネジャーと故・小松さんの母・マツエさん（左）

　課題を残したが、年内に世界ランク入りしているフライ級（５０・８キロ以下）、そしてスーパーフライ級（５２・１キロ）のいずれかでタイトル獲得を目指す方針に変わりはない。「自分のボクシングができなかった。これがキャリア。でも、たまにはこういう試合を見せとかないと。人間、完ぺきやないし。勉強になったよ。課題を克服して次の試合で生かすわ」ショックを乗り越え、試練を糧に大毅は前へと進んでいく。