2009年5月14日 15時0分 更新:5月14日 15時58分
カルト集団の勧誘から学生を守ろうと、各地の大学が積極策に乗り出している。かつては「信教の自由」からカルト問題に及び腰だったが、新入生らがカルトに取り込まれる事例が後を絶たないため。今春からは、全国の45大学で学生相談を担当する教職員らが、カルト対策情報を交換するメーリングリストも始めた。
大阪大では06年、3団体に学生78人が関与していることが分かり、新入生を対象にした専用の必修講義を新設。今月9日の講義では、同好会、セミナー、アンケートなどを装って接触し、参加後は自由な友人付き合いなどを禁じる集団への注意を呼びかけた。
岡山大では今春の入試で、受験生に入学後の履修方法を教えるとの勧誘ビラを配る怪しい団体が現れた。このため、正規サークルには腕章1000枚を配り、新入生が見分けやすくした。千葉大ではカルト問題相談の専用窓口を設けるなど、カルトへの対応を組織化。カルトにかかわる学生は保護者に通知したり、カルト系サークルの承認取り消しに乗り出す大学もある。
メーリングリストはカルト問題に詳しい滝本太郎弁護士(横浜弁護士会)や恵泉女学園大(東京都多摩市)の川島堅二教授、大和谷(やまとだに)厚・大阪大大学院教授らが呼びかけた。日本脱カルト協会、全国霊感商法対策弁護士連絡会とも連携し、脱会者から得た情報や、学生への対応の仕方などの情報を共有している。
大和谷教授は「カルト問題を放置すれば、社会に迷惑をかける。大学には最新の具体的な情報を提供し、学生自身が判断できるようにする責任がある」と話している。