2009年5月14日22時57分
金子国土交通相は14日、地方の高速道路の「一律1千円」への値下げについて、8月のお盆や年末年始の平日にも適用を検討する考えを示した。これまでは土日・祝日だけだった。値下げで利用者が増え経済効果も出ていると説明。利用者が集中する時期にも広げたほうがいいという。
金子国交相は、東京都内で記者団に対し「お盆休みは休日扱いで。年末年始も考えなくては」と述べた。「(値下げの)効果はあった」とした上で「青森まで帰るとJRよりもはるかに車が安い。地域経済のためにもいい」と適用拡大に積極姿勢を示した。
3月に始まった現行の値下げでは、今年のお盆で対象になるのは15日(土)と16日(日)。春田謙・国交事務次官も14日、「2日間に帰省客が集中すれば大渋滞」と指摘。5月の大型連休の状況などを分析し、具体策を詰める。次の年末年始は1〜3日が現在の値下げ対象で、その前後への拡大を検討する。
高速道路各社によると、値下げ後、地方部の交通量は前年比で2〜3割増え、来客増に沸く観光地も多い。ただ、制度のそもそもの狙いである景気刺激効果は、まだ具体的には検証されていない。
一方、値下げした大型連休中には、10キロ以上の渋滞が前年の倍の414回も起きた。お盆は1年で最も渋滞が多い。平日値下げで利用日が分散する可能性もあるが、さらに利用が増えて激しい渋滞を起こすかもしれない。渋滞が増えれば、二酸化炭素(CO2)排出の増加が懸念される。国交省の研究では、走行時速が20キロに落ちると80キロの時の1.5倍CO2が出る。
他の交通機関の客も奪う。大型連休中のJRの利用客数は前年比7%減だった。2年間で5千億円とされる国民の負担の追加が必要になる可能性もある。国交省内にも、値下げ拡大は「総選挙を意識している」との見方がある。