派遣切りや正社員のリストラなどが社会問題となるなか、最後の頼みの綱がパート・アルバイト。求人広告誌大手「アイデム」が先ごろ発表した「平成21年度版 パートタイマー白書」によると、未曾有の不況にもかかわらず、アルバイトの時給は若干ながら上昇傾向にあるという。もしもの時、どの仕事がどれだけ稼げるのか、最新の東西アルバイト時給ランキングを紹介しよう。
総務省統計局の調査では、2008年の正規職員・従業員は3399万人で前年比42万人も減った。それに対し、パートタイマー(アルバイト)の数は821万人で前年比1万人の減少に留まっている。
「正社員や契約社員は不況の影響で厳しい雇用環境にありますが、アルバイトへの影響はそれほど大きくない。むしろ、需要はますます高まっています」
こう語るのはパートタイマー白書を発行した「アイデム 人と仕事研究所」の担当者。
同白書によると、アルバイトの平均時給は、関西・東海エリアで前年同期比2円減の882円だったものの、関東エリアでは同16円増の948円。全国的にも同8円増の921円と、わずかながら上昇している。
東西で1位にランクされたのは、国家資格が必要で高度な専門性が求められる「薬剤師」「看護師、准看護師」。時給は他を大きく引き離している。「介護ヘルパー」も求人数が急増中。それにつれて時給も高くなっており、「常に人手不足」といわれる医療業界の現状が浮き彫りになった。
医療関係以外では「娯楽場等の接客員」が上位に入った。ただ、娯楽施設はパチンコ店からテーマパーク・遊園地まで幅広い。業務内容によって時給も変わりやすい。同じく上位の「物品配送ドライバー」の時給も、運転技能や経験に左右される。
【場所や環境選びが大切】
一方、東西ともに断トツのワーストとなった「コンビニエンスストア販売員」は勤務場所や時間帯で時給が左右される傾向が強く、金額も600円台から1100円台まで幅が極端に広い。この種の接客業はそれほど高度な技能やコミュニケーション能力を要求されないため、アルバイトの入り口としては入りやすい。会社に隠れて働くにも都合がいいが、勤務先選びは慎重に行いたい。
アルバイトの平均時給は地域によってもかなり違う。東京23区内だと葛飾区の平均時給は1043円だが、練馬区は988円。大阪市内でも旭区は1013円だが此花区は854円−と地域で格差がみられる。「高齢者世帯が多い地域は医療機関が集中し、医療関係の求人も多い。それが平均時給を押し上げているのではないか」と前出の担当者は言う。
副業支援サイト「副業シーキング」を運営する遠藤周太氏は「生活防衛の手段としてアルバイトをするのは悪くない」と前置きしたうえで、「ただ、副業は本業に影響が出ない範囲でやるべき。知人からの紹介など、融通が利く状況を作ってから始めるのが賢いやり方です」と話す。時給だけでなく、場所や環境も大切な条件というわけだ。