2009年5月13日20時31分
内閣府は13日、商店主らに景気の現状を聞いた4月の景気ウオッチャー調査を発表した。高速道路料金の値下げなどに加え、企業の生産調整が一段落し、3カ月前と比較した景気の現状判断を示す指数は4カ月連続で上昇した。
調査は4月下旬に行われ、全国の小売店主や企業経営者、タクシー運転手ら約1800人から回答を得た。
景気の判断を示す指数は34.2で、前月より5.8ポイント上昇。家計、企業、雇用のいずれの側面でも指数はプラスとなった。景気が「やや悪い」「悪い」とマイナス方向で回答した比率は51%とまだ過半を占めるが、前月の63.2%からは大きく減った。
寄せられたコメントをみると、定額給付金や高速道路料金値下げなど、政策効果に言及したものが目立つ。また、輸出急減による製造業の生産減もほぼ底を打ち、4月以降は受注が増え始めたとの声もあった。
ただ、景気認識の改善にも地域差がある。特に沖縄は景気の現状認識を示す指数が唯一、前月比マイナスとなった。観光客の予約が減っているなどのコメントもあり、内閣府は「円高もあって旅行客が海外へ流れているほか、高速道路料金値下げで沖縄へ行く人が減っているようだ」とみている。
2〜3カ月先の景気に関する判断を示す指数は39.7と前月を3.9ポイント上回り、4カ月連続の上昇。景気の方向は「底打ち」に向かっているが、現状の景気水準を示す指数は21.6で、04〜05年の景気回復時の40〜50には遠く及ばない。
野村証券金融経済研究所の阪上亮太氏は「景気が持ち直してきていることは鮮明だが、今後は企業の雇用調整が本格化するとみられる。経済対策の効果が切れれば景気が下ぶれする可能性もある」と指摘している。(橋本幸雄)