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【三重】実践形式で技術アップ 三重大病院に研修医・学生用研究施設2009年5月14日
三重大医学部付属病院は、学生や研修医が実践的な医療技術を学ぶ研究室「スキルズラボ」を開設した。学生の授業だけでなく、従来、経験の少ないまま診察や処置に臨んできた研修医に、安全で十分な経験を積んでもらう狙いがある。 「息が苦しい…」。横たえられた人体模型は本物の患者のように声を上げる。「大丈夫ですか」。研修医2年目の中尾俊一郎さんがテキパキと立ち回る。 患者は50代の男性で、車を運転中に電柱に衝突し、救急搬送されてきたという想定。研修医は数分以内に呼吸や意識状態などを調べて診断する。 その診断や過程は指導医がチェックシートに従って評価。必要な処置が抜けていれば、患者の生命の危機につながるため、指導医は研修医が自発的に気付くよう助言する。胃カメラの挿入や撮影、超音波診断の練習などもできる。中尾さんは「指導医の先生の質問に答えられないと、できていない部分を自覚できる。こういう場はありがたい」と話す。 知識偏重を見直し、臨床での技術を身に付けさせる実践的な教育は、診療科別の体験型教室がある名古屋大など、全国で広がっている。将来的には医師国家試験への導入も検討されている。 三重大では、ラボにさまざまな診療科の医師が指導医として参加。授業で活用したり、電子メールで予約できるようにしたりと使いやすくした。利用の予約はほぼ満杯だ。 卒後臨床研修部の桜井洋至副部長は「医師の試験に合格すると、いきなり生命にかかわる処置をすることもある。これまでは一人前になるのに半年から1年かかったが、ラボの活用で短縮できる」と話している。今後は病院外の人の見学も検討している。 (吉田優美恵)
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