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【社説】

北方領土 ロシアは解決策を示せ

2009年5月14日

 肝心の北方領土問題では、不満の残る結果だった。十二日の麻生太郎首相とプーチン・ロシア首相の会談だ。交渉の土台となるような解決策を早く提案するよう、ロシアに求めたい。

 プーチン首相は会談で「領土問題を解決しないまま進もうという考えもあるが、私はそうは思わない。過去の負の遺産は取り除かねばならない」と述べた。

 これまでにない強い意欲であり、評価はできるが、それを具体的な形に示す必要がある。

 日ロ首脳が顔を合わせるたびに、「領土交渉加速で一致」するのが慣例のようになっている。その実、足踏み状態が続いているのは、意欲が形に表れないからだ。

 領土交渉は、七月の主要国首脳会議の際に行われる麻生首相とメドベージェフ大統領の首脳会談に持ち越された。

 プーチン首相は十二日の共同会見で、その七月の会談に言及し、北方四島を面積で等分する「三・五島返還論」を含め「あらゆる選択肢が議論される」と述べた。領土問題の前進を期待したい。

 四島返還を求める日本と、歯舞、色丹の二島返還を明記した一九五六年の日ソ共同宣言を基本線に決着させたいロシアとの隔たりは大きい。それでも、大統領が具体策を提案しないことには、実のある交渉には入れない。

 大統領は二月のサハリン会談で、「型にはまらない独創的な新たなアプローチ」で領土問題に取り組む、と麻生首相に語った。問題はその中身だ。

 歴史的に欧州志向のロシアだが、ここ数年は東方重視の姿勢が目立つ。石油・天然ガスの開発拠点が西シベリアから東シベリアや極東に移り、エネルギーの供給先もアジア・太平洋地域の比重が高まっていることが大きい。

 この流れの中で、対日接近にも熱心だ。日本の資金を極東・シベリア開発に活用したい思惑が働いている。

 日ロ経済は拡大し、二〇〇八年の貿易総額は約三百億ドルで、〇三年の五倍になった。今回、日ロ政府は原子力協定に署名し、東シベリアの油田共同探鉱調査の拡大でも合意した。

 アジア・太平洋地域の将来像の中で、隣国同士である両国の関係をどう位置付けていくのか−。日ロ首脳はこの議論も深めてほしい。そうすれば「過去の負の遺産」の清算にも、道が開けていくだろう。

 

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