雑誌「広告批評」が休刊した理由について聞いた。決して、部数が落ち込んだから休刊するわけではないという。あくまで、対象としてきた広告が変化したことが理由だ、と語る。その上で、Web上のインタラクティブな広告を評価するジャーナリズムの確立は難しいとも。これまでの広告とネット上の広告の違いをレビュー・ジャーナリズムの視点で比較してもらった。

 これは個人的な意見ですが、広告批評はこれまでマス広告と共に並走し、そこに映し出されている時代の空気を読み解いてきたジャーナリズムですから、30周年のこのタイミングで区切りをつけるのは自然なことのようにも思います。しかし、これは僕が決定したことではなく、社主であり、創刊者でもある天野祐吉の判断ですから、4月20日に出た最終号をお読みいただければ、よりご理解いただけるのではないでしょうか。

 休刊を発表したのは2008年4月で、まだ世の中はこのような未曾有の不況に見舞われていませんでしたから、「唐突だ…」という印象をお持ちになった方もいらっしゃるようですが、期せずして時代を言い当てることになったのかな、と思います。1年前の“休刊告知”に踏み切ったのは、1年間の期間限定とは言え、編集長を任されることになった自分にプレッシャーをかけつつ過去にとらわれず挑戦するためと、広告やメディアの現状を気づいてもらいたいという両方の思いがあったことは事実です。

 だからこそ“広告批評”という“雑誌”でやれることは全部やってやろうくらいの意気込みでのぞみました。去年から今年にかけて企画したのは、新世代のクリエイターの特集から、日本映画、中国のクリエイティブ、沖縄、ファッション、マンガ、メディア(テレビ)、政治コミュニケーション(オバマ)、写真(篠山紀信)などなど。幅広いテーマを扱っていると思われるかもしれませんが、すべてクリエイティブとコミュニケーション、つまり“広告”に落ちるように企画しました。この雑誌の編集長としては、やり残したこともなく清々しい気持ちです。毎月完全燃焼でしたからね(笑)。この1年の僕の仕事については、みなさんに批評していただけるとうれしいです。