シリーズのファンではないエイブラムだからこそ作れた、誰でも楽しめる娯楽大作!!

 本作に登場する新たなヒーローの名はジェームズ・T・カーク。シリーズのファンには、後にスペースシップ、USSエンタープライズのキャプテンとなる男として知られているキャラクター。だがここで“新たなヒーロー”と呼んだのは、テレビシリーズとはまったく別の世界が描かれているからだ。

 カークは未来に目標を持てず、苛立ちだけを募らせながら毎日を持て余す、どこにでもいそうな若者。そんな彼が亡き父を慕っていたスペースシップの艦長に誘われ、自らも航海士となるべく冒険の世界に飛び込む。処女航海に出るUSSエンタープライズ号に乗り、サブリーダーのスポックと対立しながらも友情を育みながら、次々と襲いかかる危機を乗り越えてゆくストーリーだ。

2月に『スター・トレック』のプレゼンで来日したときの写真。(左から)J.J.エイブラムス、クリス・パイン、ゾーイ・サルダナ(画像クリックで拡大)

 監督のエイブラムスは「(スタートレック)シリーズを知らないと楽しめない映画にはしたくなかった。シリーズのファンではない僕が見ても楽しめる映画を目指した」と語る。「若々しくて素晴らしい脚本ができた。だから俳優たちには、以前のキャラクターの真似をせず、自分たちの役を作るよう言った」。この言葉だけでも、『スター・トレック』が過去のテレビシリーズと決別した新たなドラマになることが分かるだろう。

 実際、出演した若い俳優たちは、伸び伸びと演技をこなしたようで、主任パイロット、スールー役のジェイ・チョウは「子供のころにやったチャンバラ遊びを、今回はギャラをもらってやったような感じ」と、剣の闘いを熱演したことを語った。

クリス・パイン演じるジェームズ・T・カークと、カール・アーバン演じるの軍医のマッコイ
(C)2008 Paramount Pictures. Star Trek and Related Marks and Logos are Trademarks of CBS Studio Inc. All Rights Reserved.(画像クリックで拡大)

 またカークを演じた注目のニュースター、クリス・パインは「バーでケンカするシーンの撮影で、僕は誤ってスタントマンの鼻に一撃を食らわせて骨折させてしまった。逆に次の日には僕が腹に食らったけどね。とにかく楽しい撮影だった」と語った。

 タイトルどおり、『スター・トレック』は宇宙の冒険を描くものだが、ただスペースシップ内に座って宇宙空間を移動しているだけではない。今回はアクションもまた魅力的なのだ。