在沖縄米海兵隊のグアム移転に関する協定が13日、国会で承認されたが、政府内では米国が負担増を求めてくることを懸念する声が出始めている。米国防総省が、移転費用が当初想定の2~3倍に膨らむ見通しを示しているためで、今後対応に苦慮することも予想される。
協定では、移転費用は102.7億ドル(約1兆270億円)で、このうち日本の負担は28億ドル(約2800億円)を上限とすると定められている。米国防総省は10会計年度(09年10月~10年9月)の国防予算に、移転関連経費として3億7800万ドル(約374億円)を計上し、米側の移転作業が本格化する。
一方、国防予算の資料は、移転費用が200億~300億ドル(約2兆~3兆円)に膨らむとの見積もりを出している。外務・防衛両省は「米国から正式に説明を受けていないが、日本側の負担が増えることはない」と説明するが、「協定とは別に負担増を求めてくるかもしれず、米国の出方次第だ」(防衛省幹部)と懸念は根強い。
民主党など野党も負担増を危惧(きぐ)しており、「そもそも(日本の負担上限の)28億ドルの積算根拠も不明確だ」との批判もくすぶっている。【仙石恭】
毎日新聞 2009年5月13日 19時50分