2008-04-26 滋賀の事件の本丸
4/23付産経ニュースより、
名ばかり管理職と是正勧告 滋賀県立病院に労基署
労働基準法に基づく是正勧告を受けた滋賀県立成人病センター=滋賀県守山市 滋賀県守山市の県立成人病センター(河野幸裕病院長)で、管理職の医師が、権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」の状態に置かれているとして、大津労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告をしていたことが23日、分かった。
大津労基署は内部告発を受け、今月11日、センターに立ち入り調査。同事業庁から事情を聴き、勤務日誌など関係書類を調べた。
この結果、部長以上の管理職の医師で、勤務終了後5−6時間の残業が常態化。月数回の夜間当直では、夜間診療や急患対応に追われ、当直が明けても深夜まで連続勤務する場合も多かったが残業代は支払われていなかった。
さらに一般の医師も同様の勤務状態にあったが、一日8時間の法定労働時間を超える残業をさせる場合、労使協定を結んで労基署に届け出なければならないとの労働基準法の規定も守られていなかった。
この件については内部情報を幾つか入手しており、ここに書いて良い部分とそうでない部分の区別が非常に難しく、確認を取るのに時間がかかったので今日になったことをお詫びしておきます。
記事全体の大筋は間違っていません。基本的にベタ記事で妙な感情移入がないので好感が持てるところですが、こんなベタ記事にも新聞社の脳内妄想作文が入っています。
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勤務終了後5−6時間の残業が常態化
記事全体のストーリーとして激務病院からの医師の悲鳴に仕立てたいのでしょうが、事件の舞台となっている滋賀県立成人病センターはそんな激務病院ではありません。病院としての待遇は悲惨レベルではなく、ごく普通であり、医師としては「ヒマ」レベルの病院で、記事にあるほど時間外勤務が「常態化」する実態はどこにもありません。時にそうなる事はもちろんありますが、「常態化」の言葉が指す「ほぼ連日」とは程遠い状態の病院である事をまず指摘しておきたいと思います。
もちろんこの情報は内部情報筋なんですが、傍証として2007.10.30付京都新聞に、
患者2万7000人減る
滋賀県立成人病センター、06年度
滋賀県立成人病センター(守山市)の2006年度の外来と入院の延べ患者数が、前年度と比べて約2万7000人も減少したことが分かった。患者の入院日数の減少や軽症の患者が診療所に行く傾向が高まっていることが一因とみられる。県病院事業庁は「患者の病院離れは良い傾向だが、収益が減るのは厳しい」と複雑だ。
06年度の延べ入院患者数は13万8375人で、前年度比1万279人の減。延べ外来患者は22万8352人で、前年度と比べて1万6453人減った。いずれもここ数年は減少傾向が続いているという。
患者数の減少の理由として、県病院事業庁は、入院については患者1人当たりの平均在院日数が05年度に17・1日だったのが06年度には16・2日に減少したことや、医師や看護師の不足で今年1月に1病棟(52床)を閉鎖したことを挙げている。
外来については、診療所と病院の役割を分担する「病診連携」が進み、軽症の患者が診療所に行く傾向が強まった、としている。
患者数の減少に伴い、入院収益は前年度比約2億6700万円減、外来収益は同約2億600万円減少し、病院経営を圧迫している。
同庁経営管理課は「経営努力を進めるしかない。医師や看護師の発掘はもちろん、診療所と連携して新たな患者の確保にも努めたい」としている。
あくまでも傍証ですが、
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入院患者数は13万8375人で、前年度比1万279人の減。延べ外来患者は22万8352人で、前年度と比べて1万6453人減
さらにこれは単年度だけではなく、
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いずれもここ数年は減少傾向が続いているという
もちろんこれだけで時間外勤務の長時間化が無い証拠とは言えませんが、内部情報の「ヒマ」であるの一つの裏付けぐらいになると思われます。
少し寄り道しましたが、産経記事が伝える問題点は、
- 権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」
- 雇用者に時間外労働をさせるための三六協定が無い事
この二つに対して労働基準局が是正勧告が行なわれているのですが、労働基準局への実際の相談内容は、
- 病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
- 「当直」ではなく、夜間勤務なのに時間外割増賃金を払ってないので違法
- タイムレコーダー、ICカード等で労務管理をしていないので違法
- 「名ばかり管理職」で時間外割増賃金を払っていないので違法
この4点について行われています。2.〜3.は言うまでも無く違法です。そのため労働基準監督局も、
- 労働基準法36条違反
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時間外勤務を命じるには、労使協定(36協定)を結ぶべし
- 労働基準法37条違反
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部長とされる「管理職」にも時間外給与を支払うべし(平成18年4月1日に遡って支払うべし)
- 労働時間管理指導
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労働時間管理をすべし
この辺は記事にある通りとしても良いと思います。問題は
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1.病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
これについては却下された事です。労働基準局が是正勧告した他の3項目は今回の事件の言わば出丸です。勤務医にとって労働環境の改善の本丸は当直業務なのです。その本丸について却下された事はマスコミは触れもしてません。
ここで三六協定無しに当直命令が下せるかどうかを検証してみます。まず埼玉県の労働相談ホームページ にこうあります。
宿日直勤務とは、使用者の命令によって一定の場所に拘束され、緊急電話の受理、外来者の対応、盗難の予防などの特殊業務に従事するもので、夜間にわたり宿泊を要するものを宿直といい、勤務内容は宿直と同一ですが、その時間帯が主として昼間であるものを日直といいます。
なお、使用者が宿日直勤務について労働基準監督署長の適法な許可を受けた場合は、週40時間、1日8時間という法定労働時間について定めた労働基準法第32条の規定にかかわらず、労働者を使用することができます(労働基準法施行規則第23条)。
また、宿日直勤務に該当する労働者について、労働基準法第41条第3号は、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は、適用しない。」としています。
これは、宿日直勤務については、労働の密度や態様が普通の労働と著しく異なり、普通の労働と一律に規制することが適当でないため、労働時間、休日の規制の枠外に置いているものです。
まず労働法施行規則23条ですが、
第二十三条
使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第三十二条の規定にかかわらず、使用することができる
条文は回りくどいから嫌いですが、法32条とは、
第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
つまり三六協定無しでも許可を受ければ宿日直(当直)業務を行なわせることは可能と解釈できます。さらに当直業務は労働基準法41条3号にあたる業務としていますが、その41条とは、
第41条
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
- 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
- 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
- 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
41条3号の「行政官庁の許可」が宿日直の許可に該当するで良いでしょう。つまりと言うかなんと言うか、当直業務は正規の労働時間の枠外に置かれる存在という事になります。正規の労働時間の枠外であるから労働基準法32条にも違反せず、正規の労働時間外の労働であるにもかかわらず三六協定は必ずしも不要との解釈は成立します。よってかどうかは分かりませんが、当直命令自体が違法とは言えないの判断を労働基準局は下しています。
それでは問題無しかと言われればそうとは思えません。労働基準法の宿日直規定はさらに通達によって医師による宿日直規定として具体的に示されています。もう何回も何回も引用しているので簡単に示しておきますが、
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特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限ること。
それ以上の業務に従事したときには、当直業務でなく時間外勤務になります。これも明記されており、
その時間について法第33条又は36条第一項による時間外労働の手続きをとらしめ、法第37条の割増賃金を支払わしめる取扱いをすること。
33条は突発事態の発生に関するもので、
第33条
災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
「災害その他避けることのできない事由」に該当するかどうか甚だ疑問ですが、当直業務中に救急患者の受診もしくは入院中の患者の状態が急変するたびに「事後に遅滞なく届け出」して時間外手当を払う手続きが生じるわけです。三六協定があれば該当時間の時間外手当を払うだけですが、無ければ毎回「事後に遅滞なく届け出」が必須になります。
この「災害その他避けることのできない事由」は読んでの如く、予期できない突発自体を想定している事は明らかで、入院患者の急変は病院において予期できないものでは決してありません。予期できるものであるにもかかわらず三六協定を結ばず、さらに時間外手当を払わずに当直業務を命令させる事は命令としてやはり違法ではないかと言うことです。
少し話が複雑になりましたのでまとめると、
- 三六協定無しでも解釈上は当直業務が可能である
- 三六協定無しでも可能であるが、当直業務中に発生した時間外業務については、
- 「災害その他避けることのできない事由」であれば33条に基づき「事後に遅滞なく届け出」すればよい
- 予期可能であれば三六協定が必要
病院は時間外患者の診察や入院患者の急変など、予期できる時間外業務が発生することが予め分かっているにも関らず、三六協定無しで当直業務に従事させることは「不作為の違法行為」に当るのではないかと考えられます。にも関らず労働基準局の回答は、
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41条3項(宿直許可)の取り消しにはならない
こうなっています。もちろんここで当直勤務実態が情報としてあればその面からの論評ができるのですが、それが無いので具体的に検証し難いのですが、平成15年12月26日付基監発第1226002号「医療機関の休日及び夜間勤務等の適正化に係る当面の監督指導の進め方について」では当直業務で許されない時間外勤務の範囲は次のようになっています。
1ヶ月の救急患者診療日数 | 当直者一人当たりの 時間外診療時間 |
8〜10日 | 3時間以上 |
11〜15日 | 2時間以上 |
16日以上 | 1時間以上 |
これは滋賀県立成人病センターが医師にとって「ヒマ」な部類に入る病院でもクリアするのは容易でない数字です。容易でないとの実感は勤務医の経験がないと分かり難いのですが、通達の条件は非常に高いハードルになっています。そもそも、この程度の基準がクリアするかどうかのレベルで医師が当直業務に悲鳴を上げているのではないからです。
もっともと言うか、そんなに物分りが良くなる必要も無いのですが、労働基準局が勧告を出したココロは分からないでもありません。三六協定無しで時間外勤務が行なわれている事をまともに聞いて動かないわけにはいきません。労務管理が杜撰であればこれも動かないわけにもいきません。「見なし管理職」は裁判では相当厳格なので聞いたからには放置できません。つまり是正勧告が出された範囲は余りにも当たり前の事で、聞いたからには労働基準局の業務として絶対に動かなければならない事柄だとまず考えます。
またなんですが、動いた事による影響が少ない範囲の事柄だとも考えられます。実際に合意を得る困難さは別にして、時間外勤務が絶対に必要になる職場に三六協定を結ばせても影響はさして大きくありません。「見なし管理職」に時間外手当を支給することは人件費を増やしますが、これは完全に違法労働なので影響があろうとも是正しなければなりません。ところが当直許可を取り消せば、病院が動かなくなります。
おそらくですが、是正勧告で三六協定を結べば同時に当直業務の違法性も解消するので、病院業務への影響を小さく止めるために当直業務の件は却下したのではないかと考えます。労働基準法の運用にはそういう面がしばしば見られます。
ほいじゃ、三六協定を結べば当直問題がすべて解決かと言えばそうとは思えません。当直業務の実態が当直規定に合致しているかどうかです。これについては実態の情報が無いとしましたが、その点についての対応も行われ始めているとの情報もあります。今後の動向に注目したいところです。
三六協定に超過労働義務の定めを置いた場合、労働者に対する超過労働命令を発する使用者の権限の根拠とみなせるかと解釈できるのか。この論点については昭和20年代には根拠となるとする学説などもありましたが、現在では学説・判例・行政解釈ともにこうした権限根拠としては認めておりません。その理由は、一遍の協定で超過勤務労働を義務化すると、労働者の自由意志を奪い憲法ならびに労基法5条の強制労働の禁止に抵触すると解釈されるためです。
使用者が時間外労働を命じるには、「就業規則や個別の労働契約のなど、別途に超過労働を根拠付ける規定が必要」とするのが現在の法解釈であり、三六協定の存在そのものは、使用者が三六協定の範囲内で超過労働させても、使用者が労基法32条(労働時間)違反や同35条(休日)の規定違反に問われず、それらの規定違反での罰則(労基法119条により6月以下のの懲役または30万円以下の罰金)から免れる、いわゆる「免罰的効力」があるに過ぎないとされています。
ちなみに三六協定の締結を定めた労基法36条1項本文については罰則規定はありませんので、三六協定の不締結だけを理由に使用者に罰則を科すことは出来ません。また、時間外労働の上限時間を定めた「時間外労働時間基準」についても、これを越える協定や指示が出されていたとしても、所轄労基署長は遵守するように「指導」「助言」は出来ますが、基準を超える内容を無効として基準時間を上限として強行適用することはできません。(36条1項但書の有害業務における労働緒時間延長の違反は罰則の対象です)
よって、
>1.病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
との申告が却下され、労基署が是正勧告に盛り込まなかったのは適法であり、何らその措置を非難する法的根拠は見い出せません。その点では新聞報道は労働諸法令に基づく行政官庁の措置(是正勧告)について、非常に正しい報道をしていると言えます。
三六協定を根拠に、使用者が一方的に超過勤務労働を命じた場合に労働者が無条件で労働の義務を負うという考え方は、日本国憲法第18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)の規定に照らして全くの無理スジと言えます。一般論として超過勤務労働については使用者と労働者の双方の合意に基づいて行なわれるのが原則であり、使用者からの労働義務を是認することは憲法の主旨からして認めがたい法解釈です。
前記コメントの投稿者は「法務業の末席」であります。ハンドルネームの後がチョン切れてしまいました。
この国では医療行為そのものは刑法第35条により免責されています。
近年になって、注意義務違反、説明義務違反を理由として「正当な業務」ではなかったとして損害賠償請求がなされるケースが増え、故意や常識はずれの過失どころか、専門家の間でも意見が分かれ正当と考えられる範囲の医療行為にまで机上の空論を根拠に過失と断定して刑事処分を科そうとするケースが目立ってきたため異論が出てきているわけです。
今の机上の空論を根拠に刑事訴追される風潮のまま事故調の考えをそのまま導入すれば、臨床病理カンファレンス(CPC)において本来は医療の向上に役立てるはずの情報収集が、刑事訴追の証拠集めになる可能性があるため、医療の問題点を検討するどころか誰も表に出さなくなり、また問題のおこりうる症例には手をつけなくなることが危惧されます。机上の空論を根拠に後付の理由で注意義務違反や説明義務違反などを科して刑事責任を問う形が続けば医療が萎縮し衰退します。日本の医療崩壊は現場の医師の問題ではなく医療システムの構築を誤った厚生労働省の失政です。
>医師強制配置案に対して「職業選択の自由」を盾に反対するなら、医師以外の職業選択も自由なのですから、その権利を行使すべきです。
医師以外の人は専門に関係なく医師免許さえもっていれば「医師」とひとくくりにします。しかし医師とくに勤務医にとっては自分の専門分野での仕事が本来職業であり、その点からみれば医師の職業放棄はすでに起こっているといえます。現実に、産科、小児科、僻地の医療機関、公立の救急取り扱い病院などでは専門医療の放棄が起こっています。公務員のような身分保障が何もないまま、医師免許をもっているという理由で強制配置などという人権侵害行為がなされるのであれば、当然職業選択の自由を行使して医師免許を返上した上で臨床の現場を離れたり、海外へ職を求めて出て行く臨床医が増えるものと思われます。また将来的にも有能な人材は医療以外の他分野か海外の医療現場へ流出するものと思われます。
法務業の末席さん
>1.病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
上記については、Yosyan先生の言われる根拠を使った3段論法が見えます。
労働基準法41条3項の”宿直(=届け出だけで労使協定不要)”には当たらない
↓
通常の勤務に続いての当直は時間外労働の命令
↓
病院は三六協定を結んでおらず、時間外労働である当直命令自体が違法
ということです。
労基法41条3項の適用があれば、
(賃金) 宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金。
(労働時間) 実労分が労働時間に算入
労基法41条3項の適用がなければ、
(賃金) 拘束時間全体が時間外賃金の対象
(労働時間) 拘束時間が労働時間にすべて算入
という実務上の大きな大きな違いがあります。
特に労働時間で言えば、当直を一人でこなすのは、看護師が準夜+深夜業務をするのと同じ扱いになるので当直させるには、当直日には日中業務からの解放、当直明けには朝から業務からの解放が約束されてなければなりません。
もちろん、休まずに病院勤務した医師が法律違反に問われる訳ではなく、そうして働いた医師には、その分の”時間外(!!!)”割増を加えた賃金を支払いなさい、ということです
連続36時間勤務であれば、36時間分+時間外割増
連続40時間勤務であれば、40時間分+時間外割増
を労働者を使用するものが支払いなさい。という当たり前の常識の当然の帰結になるはずなのです。
36協定で働くことについては、医師の多くは賛成することでしょう。
しかし、”医師不足”と”賃金不払い”は関係ありません。
”賃金不払い”と関係するのは、国による”医療費不払い”です。
労基署に駆け込んだツワモノが、41条3項を持ち出さないようなヘマをするとは思えませんので、労基署に意図的な手抜きがあったと、私もYosyan先生のように考えます
>当直業務で許される時間外勤務の範囲は次のようになっています。
この次に取り上げられている表は、
1ヶ月の救急患者診療日数 当直者一人当たりの時間外診療時間
8〜10日 3時間以上 → 3時間【未満】
11〜15日 2時間以上 → 2時間 【未満】
16日以上 1時間以上 → 1時間 【未満】
です。
先の”以上”の基準は、最長で3時間以上、最長で2時間以上、最長で1時間以上ということであれば、行政指導の対象とするとされています。
ヒマといわれる病院であっても、日常勤務を当直医に押しつけていたり、救急外来を開いて当直医に押しつけている病院には到底達成できない数字ということです。
訂正・補足いたしました。
× >当直業務で【許される】時間外勤務の範囲は次のようになっています。
○ >当直業務で【許されるない】時間外勤務の範囲は次のようになっています。
が正しいです。
御指摘ありがとうございます。謹んで訂正させて頂きました。
>病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
>41条3項(宿直許可)の取り消しにはならない
三六協定と41条3項の関係が良くわかりません。
このケースでは三六協定を結んでいたとしても「監視又は断続的労働(41条3項)と偽って労基督の許可を得ていたのだから、許可を取り消せ」で終了じゃないですか。三六協定関係ありますか?
>労基法41条3項の適用があれば、
>(賃金) 宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金。
>by Med_lawさま
これも良くわかりません。
41条3項の適用は「監視又は断続的労働に従事する者」という個人単位なので、実労働があれば、もはや「監視又は断続的労働に従事する者」ではなくなりますから、41条3項も適用されなくなり、実際には「宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金(41条3項を考慮した賃金算定)」というのはあり得ないと思います。だから「連続36時間勤務であれば、36時間分+時間外割増(当直じゃないんだからね)」というのが後段の説明でしょうか?
情報提供者も告発者が実際にどういうやり取りを当直問題に交わしたかは十分把握できておらず、その断片的な情報から36条と41条3項の関係を妙に膨らませたので、かえって分かりにくくなっていると思います。その点は申し訳なく思います。
告発者も当直実態が通達に反するものである事は主張したらしいとは聞いています。それであれば元ライダー様が御指摘の通り
>監視又は断続的労働(41条3項)と偽って労基督の許可を得ていたのだから、許可を取り消せ
これだけで十分そうに思うのですが、相談内容についてはやはり36条絡みでの主張をしたらしいのです。おおよそはエントリーに書いたつもりですが、私も告発者からの直接の情報でなく、実際とはピントハズレの内容の可能性は十分あります。もう少し確認したいのですが、第二弾の準備に関る事らしく、現段階ではこの点についての詳細は情報提供者にもはっきりとは伝えていない様子です。
付け加えて言うならば、三六協定は雇用者が義務として結ばなければならない協定ではありません。結ばない自由もあるのです。結ばない状態であれば、当直時間帯に当直規定以上の労働が発生しただけで違法になります。つまり32条違反です。
ここで医師として医療の必要があれば労働基準法の規定を越えて当然働きます。三六協定が無ければ32条に自然と違反になるので、ひょっとするとその辺りを踏まえているのかもしれません。
>労基法41条3項の適用があれば、
>(賃金) 宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金。
ここは文章の受け取り方の問題で、41条3項を適用されるような当直実態なのか、それとも満たしていないのかの問題かと考えます。今回の事件では41条3項は「満たしている」との判断を労働基準局が下したので、三六協定さえ結べば当直規定は問題ないとしていると私は考えています。
本丸は元ライダー様が御指摘の通り本当に41条3項が適用可能な当直実態かどうかになります。つまり今回の相談では労働基準局に41条3項を満たしていない当直である事を認めてもらえなかったのが真の問題だと考えています。満たしていなければ、
>「監視又は断続的労働に従事する者」ではなくなりますから、41条3項も適用されなくなり・・・
そうなるはずです。ところがその点の調査を行なわずに却下されています。だから実態と乖離した
>宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金
これが厚生労働省通達の基準内であくまでも守られているとして扱われていると考えて良いかと思います。だから第二弾が準備されていると考えています。
あきませんね、どうもすっきり説明できません。
素朴な疑問
宿日直命令ならわかるのですが、当直(病院、医師が勝手に言ってるだけ)をせよとの業務命令書ってもってる人います?
私は見た事がない。
「宿日直時間帯に外来入院診療業務をやれ」
と書面で正式辞令が出たなら、それは違法労働命令の動かぬ証拠になるのでは?
>第二弾が準備されていると考えています
なるほど第2弾があるのですね。
今回は労基署(前コメ誤字でしたm(_ _)m)の出方を伺ったということで理解します。
懐かしい話題ですね。御指摘の点は774様健在ならすぐに解説してくれたのにと思うと残念です。最近御無沙汰ですからね。
役不足ですが代わりにやると、病院には医療法により当直を置く事が義務付けられています。よって管理者は業務命令により当直命令を出す事ができます。細かい解釈はいろいろあるでしょうがこれは基本的に可能です。ところが殆んどの病院で業務命令としての当直命令は正式には出ていません。実際でも形式でも医局長なりが原案を作り、後は都合に合わせて医局員同士が自主的に当直表を割り振ります。
そうする事により病院当直は業務命令により行なわれているものではなく、医局員が自主的に勝手にやっている事と解釈することが可能になるそうです。また「外来を断るな」の類の命令も正式の業務命令として残される事はまずなく、あくまでも院長の叱咤激励に過ぎないの遁辞も可能になると聞いています。
つまり病院当直は病院のために医局員が業務命令に依らず自主的に行われ、院長の叱咤を前向きに受け止めて自主的に外来を診ているだけの強弁が成立すると言われています。強弁なので実態が表沙汰になれば病院側は勝てませんが、腰の重い労働基準局への弁明ぐらいなら十分通用するとも伝えられています。
>付け加えて言うならば、三六協定は雇用者が義務として結ばなければならない協定ではありません。
揚げ足取りのようですみません。。。。
× 雇用者(=病院管理者、経営者、使用者) → ○ 被雇用者(=勤務医、労働者)
です。
厳密に言えば、雇用者も三六協定を結ぶ義務はありません。
法定時間である一日8時間、週40時間以内(労基法32条)の枠内以上に労働者を使わなければ、結ぶ理由がありません。
労働時間が延びる職場にあたって、三六協定をとことん結ばなければ、経営者が刑事罰を受けます。ついには、法人としての取り消し事由にもなることでしょう。
現実的には、三六協定は、雇用者(=病院管理者、経営者、使用者)が被雇用者(=勤務医、労働者)にお願いして結んでもらうという性質のものです。
過半数組合や過半数代表がない中で、一番困るのは、役所に顔向けできないのです。
元ライダーさん
>実労働があれば、もはや「監視又は断続的労働に従事する者」ではなくなりますから、41条3項も適用されなくなり、実際には「宿直料(日当の1/3を下らない金額)+実労分の時間外賃金(41条3項を考慮した賃金算定)」というのはあり得ないと思います。
労働実態の認定について杓子定規に行うと、労使とも共倒れになります。
なので、折衷案として、『41条とみなしてあげるから、最低でも37条に基づく時間外割増賃金を支払いなさい』ということです。
この最低限の基準を守っていれば、少なくとも経営者を労基法で刑事罰にすることはしないよ。という基準です。
だから、民事訴訟を起こして『連続勤務分、すべて時間外労働賃金を支払え』が認められる可能性は高いと思います。(判例: 大星ビル訴訟事件 最一小判平14.2.28)
滋賀県立成人病センターの事例は、最低でも時間外賃金を支払って、勤務医の怒りを鎮めるべきだったのです。
小銭をケチって、大金を失ってしまう愚か者が事務管理していたのでしょう。
正論を言っていた人の力を見くびっていたのかもしれません。
蜂の一撃の痛みは、アナフィラキシーのように息の根を止めるかもしれません。
今頃は、羽音がするだけで、関係者は縮みあがっているかもしれませんね
>三六協定が無ければ32条に自然と違反になるので、ひょっとするとその辺りを踏まえているのかもしれません。
(Yosyan 2008/04/26 13:22 より引用)
これは労基法36条の正しい解釈です。
先に書きましたとおり労基法36条には罰則が無く、三六協定の締結をしなかった事実だけでは、労基署は使用者に是正(協定の締結)を命ずることはできず、助言・勧告しかできません。
ところが三六協定の締結無しに、労基法32条に規定された法定労働時間を超えて労働が行なわれた場合(注意:行なわれた場合です、労働を命じた場合ではありません)に、初めて労基法32条違反で使用者に罰則を科すことができます。
三六協定の締結は、労基法32条の法定労働時間の規定適用を免除する効果を持っており、その結果として労基法32条の法定労働時間を超えて労働が発生した場合(※)において、使用者に科せられる労基法119条1項での罰則が免責されます。これが三六協定の持つ「免罰的効果」というヤツです。
(※:命じた場合ではないことに注意。労働者が使用者の命令無しに自発的に超過勤務しても、法理論上は労基法32条違反で使用者に罰則です)
ですので、本エントリで紹介されている事例において、労基署が三六協定の締結が無いことについて強制権限を発揮していないのは、決して法令を恣意的に運用したのではなく、三六協定の締結がない場合に労基法32条(又は労基法35条)違反について強制権限を発揮できるに過ぎません。三六協定のみを取り上げて労基法36条違反を申立てても、36条には罰則規定が無く三六協定単独では労基署は強制権限を発揮できません。あくまでも指導・助言の範囲でしか労基署は対処できません。
労基法36条違反での申告を却下したのは違法ではなく、36条違反と32条違反(又は35条違反)がセットになって初めて労基署は是正を命じることができます。
1:病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法
2:「当直」ではなく、夜間勤務なのに時間外割増賃金を払ってないので違法
3:タイムレコーダー、ICカード等で労務管理をしていないので違法
4:「名ばかり管理職」で時間外割増賃金を払っていないので違法
この4点の申告内容のうち1については、労基署が対処しなかったのではなく、労基署が対処する法的根拠がない、と表現する方が正しいかと思います。
法定労働時間超過の勤務は、あくまでも使用者と労働者が締結した労働契約(私法)での合意が前提であって、三六協定を締結すれば使用者は超過勤務を強制できて労働者はその命令に従う義務がある、と巷間で言われているのは誤った法解釈です。この点で時間外労働について労働紛争となったとき、使用者側にも労働者側にも間違った法解釈による主張がなされることが多く、行政官庁やADR機関などではその裁きの根拠を当事者に納得させることに苦労することが多々あります。
次に、労基法41条3項(監視又は断続的労働の例外)ですが、この規定は使用者が行政官庁(所轄労基署長)の許可を受けた場合にのみ効力を持ち、三六協定の締結の有無とは直接の関係がありません。労基法41条3項が適用された場合、宿日直の手当として賃金日額の1/3以上の宿日直手当を支給することが、労働基準法施行規則等で定められております。また宿日直の時間中に実際に労働に従事した場合は、前記の日額賃金の1/3以上の宿日直手当に加えて実際に労働した時間数に応じた労基法37条の規定による割増賃金を支払う義務があります。
なおこうした法廷時間外の労働の事実認定については、法令では使用者が文書による命じることは要件とされておらず、使用者の口頭での指示や、労働者の時間外労働の事実を使用者が事後に承認することも、全てが「時間外労働が行なわれた場合」として扱われます。
労基法違反で指導ということであれば、
これを契機に今後どう病院側は改善するのでしょうか?
また、これを契機に全国の各病院も改善しないとまずいという
流れが起こるでしょうか?
担当責任者として、病院と医師との板ばさみで悩みます。
なるほど。
これは推測ですが告発者は「三六協定の無い当直は32条違反を起す事になるから違法」と労働基準局に相談に行ったのかもしれません。しかし情報提供者は三六協定はともかく、32条といわれてもピンとこなかったので「病院は三六協定を結んでおらず、当直命令自体が違法」と理解して私に伝えた可能性はあります。伝言ゲームの過程で情報が変質する事は良く起こります。情報提供者の労働基準法の理解がその程度であっても全く不思議ありません。
後は第2弾がどういう展開を見せるかが本当に楽しみです。36条に絡めなくとも当直問題は出るところに出れば当直規定や各種通達に大きく違反しているのは明白です。今までは奈良の時間外訴訟ぐらいしか医師側が問題として表面化させませんでしたが、奈良なり滋賀なりで明らかな結果が出れば、それこそ一罰百戒の効果は十二分に現れると思います。
>病院事務様
この問題がどういう結果となり、どういう影響を及ぼすかは事務サイドの方がよく分かると思います。どうすれば良いかの回答は私如きで即答できませんが、Med_Law様の言葉は参考になるかと思います。
>労働実態の認定について杓子定規に行うと、労使とも共倒れになります。
>なので、折衷案として、『41条とみなしてあげるから、
>最低でも37条に基づく時間外割増賃金を支払いなさい』ということです。
>この最低限の基準を守っていれば、
>少なくとも経営者を労基法で刑事罰にすることはしないよ。という基準です。
労働基準法の運用については良く御存知のとおり、結構「なあなあ」の部分が大きいものです。厳格にやれば非常に厳しい法ですが、雇用者さえうまく宥めれば融通無碍のところがあります。だからこれまでこの問題はさほど大きくなった事が無かったのです。
ただ流れが変わっています。言い方は悪いですが、経営者サイドが「なあなあ」に寄りかかりすぎ、いつしか「なあなあ」を当たり前の基準として運用しすぎた反動が出ているように思います。さらに経営者サイドに拙い事に医師が「なあなあ」の運用が余りに酷い事を気がつき始めている事です。
病院の状態は千差万別で、病院事務様の病院の医師がこの問題に鋭敏なのかそうでないのかは分かりません。忠告すれば、あくまでも一般論ですが、こういう事は火の手が上る前に先に手を打つことが重要で、先送りして医師側が極度に尖鋭化してからの対処では大火傷を負う危険性が高くなります。そういう意識を経営陣が持ってられる事を祈ります。
なんでアメリカでもそうなのかというと、たぶん、駆け出し・若いうち苦労しても、いずれは、高所得で社会的地位も安定した暮らしに行きつける、という具体的目標があるからだと思うんですよ。
日本もこれまではそうでした。
対して、中国やロシアではどうかというと、ロシアの医師なら何人か知り合いがいて、彼らを観察する限りでは、そんなに頑張ってはいなさそう。医学部の偏差値は日本同様高くて、高校生の人気はありますが。
中国・ロシアで医師の所得が低いのは有名です。そのかわり彼ら、たぶん、あんまり若い時から頑張らない。無理しない。
日本で、労働条件が言われ始めてるのは、経済的な意味での医者の将来の夢がしぼみつつあるからだと思います。
たぶん、混合診療とか自由診療化がはっきりして、高所得の医者が増えれば、また若い医者は頑張り始めるんでしょう。ただし、視線はこれまでとは違うところを向いて。
それが遅れれば、旧共産圏みたいなもので、労働条件の問題がさらに浮き上がってきて、確立されていくんでしょうね。
翌日は通常業務で当たり前だと思っていました。2日連続徹夜近くなると流石に20代でも眠くてICUのモニターにもたれかかって寝ていた事もあります。(^^;) 最近同様な過重労働が問題視されるのは将来の良い地位も収入もあまり見込めないため、若い医師や中堅指導医の士気が著しく低下しているのが主因だと思われます。良い結果は主任教授の業績で悪い結果は現場の医師の責任、となれば誰もまじめにやるわけはありません。まして最近ではこのブログでもあったように刑事立件され逮捕起訴される時代です。頑張らないのは当然でしょうね。給与や労働時間、残業代など下世話な話が問題視されるわけです。
お答えいただきありがとうございます。
以前より貴ブログにて多くを学ばせていただきましたので、774氏のご発言も良く記憶しております。774氏が言っておられた事も大体Yosyan先生がお述べになった事と同じだったと思います。
少し確認させていただいていいですか。
>病院には医療法により当直を置く事が義務付けられています
医療法第16条第一項ですね。
第十六条 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。但し、病院に勤務する医師が、その病院に隣接した場所に居住する場合において、病院所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
気になる点ですが、ここには宿直としか書いてありません。日直の事はスルーのようです。まあそれはいいとして、ちょっと調べてみたところ、労働基準法、医療法のいずれにも
`当直`
なる言葉が見当たりません。
医療法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO205.html
労働基準法
http://www.houko.com/00/01/S22/049.HTM#s4
我々医師は当たり前のように `当直` なる言葉を恐れや不安、鬱陶しさを交えて使用してきたわけでありますが、関連するであろう法律にその用語すらないというのも変な話です。今日のエントリーをはじめとする労働関係の話が出るたびに、私は違和感を感じておりました。
医療の現場ではまだまだ労働に関する法律的認識が低く、宿日直の何たるかを理解していない方が多いように見受けます。その方たちが一様に `当直` なる言葉を、宿日直とは違う概念として誤解しているように感じます。つまり
`当直とはもともと時間外救急外来及び入院患者への医療行為を行って当然`
と言う理解です。
このような間違った理解を防ぐ、あるいは訂正する意味からも、`当直`という言葉はもう少し慎重に使ったほうがいいかもしれません。個人的にはもう`当直`という言葉を用いずに、本来の`宿直`、`日直`を用いる事が望ましいと考えております。
さて、
`宿日直業務の際に救急時間外外来業務及び入院診療を命ず`
なる辞令書が発行されたとして、それに病院管理者の署名とハンコが押してあった場合(公立病院なら市長印かもしれませんね)、これを受け取ってすぐに労基署に相談あるいは告発したら一体どういう事になるんでしょうか?
座位先生のブログに順法闘争のやり方が詳しく書いてあるのですが
http://zainomusou.blogspot.com/2007/11/blog-post.html
`宿日直業務の際に救急時間外外来業務及び入院診療を命ず`
という辞令書を病院管理者が発行してくれない場合、つまり正式な業務命令が発令されなかった場合
「当直と言う名の元、宿日直時に通常業務をやれという辞令書を書かない限り、救急時間外外来及び入院診療は一切やらぬ」
と、言い放って宿日直業務だけ(通達通りの)をやることは理論上できるのではないですか?
実際そのようにしておられる先生がいらっしゃいますでしょうか?
最近あちこちの自治体病院に税務署が突撃して宿日直免税分を過去数年に遡って巻き上げて、病院がおとなしく払っている実態があります。税務署が宿日直でなく通常業務と認め、病院がそれを追認しているわけですから、病院には長年に渡り
「宿直医がいなかった」
ことになりませんか?
これは医療法第16条第一項に違反してませんか?
ならば病院は宿直許可を返上せねばならず、結果診療所にならねばならないのでは?
私の認識が間違っているのなら、訂正していただけると大変助かります。
おっしゃるとおり、医療法では病院に「宿直医」を置くよう求めていますが、これは診療時間外における必要最小限の医療確保を目的にしたものです。ですから、昼間でも日曜日のように「通常勤務を行う医師」がいない時間帯には「宿直医」が必要ですし、逆に夜間であっても「通常業務を行う医師」がいる場合には宿直医は不要ということになります。
なお、医療法の宿直医と税法上の「宿直」とは何の関係もありませんので、どのような名目で手当が出ようが出まいが、医療法は関知しません。
ご指摘いただきありがとうございます。
>医療法の宿直医と税法上の「宿直」とは何の関係もありません
と、いうことであれば現在巷で起こっている現象のメカニズムは理解できます。
いわゆる省庁の縦割り行政というやつですな。
これですっきりしましたと言いたいとこですが、コテコテの理系人間なのでその一言が言えません(笑)
bamboo先生のブログで昨年の9月にYosyan先生が既にコメントつけておられるのですね。不勉強でした。
以下引用
http://blog.m3.com/kiru/20070929/2
税法上の当直は労働基準法より適用が辛くなっています。つまり労働基準法に適合していて労働基準法の勤務時間でなくとも、税法上は勤務と見なされる事は医師以外でもしばしばあるそうです。
そしてこの三法は独立して存在し、互いには関係しないそうです。例えが悪いかもしれませんが、刑法と民法は独立して存在し、刑法では無罪でも民法では賠償責任が生じるみたいな感じだそうです。
私も分かったような、分からないような話ですが参考までに。
>素朴な疑問
>宿日直命令ならわかるのですが、当直(病院、医師が勝手に言ってるだけ)をせよとの業務命令書ってもってる人います?
「業務命令書」ではないにしても、(文字で記録残すために)できる範囲で院内電子掲示板でやり取りしましたので、夜間救急外来業務をやれとの書き込みは私持ってましたよ。事務方は記録に残されるのを嫌がって私の書き込みに返事をすること少なかったですけどね。病院幹部医師の方々にはあまりそういうガードがないように見られましたが、たぶん意識が低かったのでしょう。御多分に漏れず医師は労基法の適応除外だという発言も当初見られたくらいですから。
>病院事務 殿
>労基法違反で指導ということであれば、これを契機に今後どう病院側は改善するのでしょうか?
>また、これを契機に全国の各病院も改善しないとまずいという流れが起こるでしょうか?
そういう流れになると良いですね。またそれで医療がどうなるかが表面化すれば、国民が実際に困って初めて最近話題になってきた”医師不足問題”と同様、国への圧力になると思いますよ。Yosyan 先生がとても丁寧な言葉でまとめられてます。
>Med_Law 殿
>労働実態の認定について杓子定規に行うと、労使とも共倒れになります。
どの業種に限らず労基署が動く契機はほぼ内部告発だとは聞いたことがあります。一般企業では、労働環境に不満はあるが自分の雇用の場を守りたい場合には労使交渉や労基署の指導を使い、雇用の場を守る必要がない時は退職(あまりに酷い時には民事裁判)というコースでしょうか。
声をあげずに黙って逃散する静かなデモをとる事の多い医師が、なぜこういう声をあげたか。私はそちらに興味がありますね。自分を振り返れば「そこまでコケにするか」という復讐心とも言えましたがねぇ。(時代的なこともあり)以後東海全地区で医師として働けなくなるなという覚悟くらいはもって動きましたよ。あくまで私個人の経験ですけどね。
内部告発するというのは若い人の発想でしょう(笑)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080427-00000002-jct-soci
「休みたいならば辞めればいい」――。そう会見で述べたとされる日本電産の永守重信社長の発言への反響が広がっている。連合会長がメーデーで非難したのに続き、ネットでも永守発言に対して多くの「意見表明」がされた。批判が多いが、なかには「正論を言ってくれた」と支持する声もある。
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医者の話と対比して読むと考えさせられます。
>「この発言の何がいけないんでしょう?実際中小企業はこういう気持ちで一致団結してやってなければつぶれますよ。」
ここまでの危機感は、医療機関には無いですよね?・・つぶれるところも現にあるんでしょうけど、勤務医にとっては他に勤め先変えるだけの話しだし。
>「休み休みって、ただ単にラクしたいだけだろ! 俺は将来、独立する為に今は頑張って働いてるよ。」
これも医者の世界では聞かない発想。なんか夢に向かってる感じでいい。読んではっとさせられた。独立って医者だと開業ってことなんだろうけど、開業が夢なんて医者わたしは聞いたことない。
>バブル経済末期の約20年前、「24時間、戦えますか?」とビジネスマンを鼓舞するCMが流行した。
ああ、あったなあ、これ。時代のパラダイムが変わったってのも大きいんだろうなあ。
そういえば、5年前、国立病院辞めて開業することにしたあとで、アメリカやらロシアやらふらふら見学に行きましたが、その話をすると、どこでも「おめでとう!」と言われたなあ。・・
私にとっては、鬱でへろへろになっての退職で、医者人生を引退する気持ちの開業だったんで、皮肉に聞こえて仕方なかったですが。
世界標準としては、医者の開業はおめでたい話なんだろうなあ。
国立病院という肩書が消えることは、自分にとっては、医者としての存在の8割くらいが消えるような気分でした。
たしかに、やってる医療行為の幅は、そのくらい減ったかも。そのかわり、自由度の高さが、比較にならないくらい(青天井)増えました。
医者にとっては、開業ってのは、違う人生を歩みだす、って感じですね、日本では。
やっぱり、みんな、開業すればいいんじゃないかな?
で、うまくいかなかったら、早めに損切りして、撤退。勤務医にもどって、また何千万か貯金して、戦略立て直して、もう一度開業。
最初の開業で、借金しすぎて動き取れなくなっちゃったら、まずいですけどさ。
そうすれば(勤務条件=高給志向になれば)、労働条件悪くてもがまんもできるんじゃないでしょうか?
要するに、勤務医がもっと、流動的になって、より条件のよい病院へと、ドライに割り切って移るようになればいいんだよね。
そうさせないのは、ほかならぬ、医師たち自身が作り上げてきた医局システムとか、人間関係重視の価値観。
医療崩壊は医局崩壊がきっかけでしたが、医局崩壊がさらに進むと、案外と医療は安定するのかも。
ドロッポ先生とかが、よく「逃散!逃散!」って呼びかけ書かれるけど、要するに、医者自身がしがらみを捨てて流動的になったほうが、勤務条件闘争のうえでも有利だ、って意味合いもあるんじゃないかな?
医局とかしがらみとか人間関係が、将来の安定を保障してくれなくなったら、さっさと、そういうのは脱ぎ棄てましょう。そのほうが解りやすい人生が送れるし、医療秩序の再構築のためにもなる、ってことかも。
労働基準法違反が、改善されず取り締まられない最大の悪因は、そこに勤める医師が、辞めないということかもしれません。
他の職種とちがって、医師は辞めたって、雇用不安にはまず陥らないですからね。それを医師たちが辞めない、ってことは、納得してるんだ、って判断されてるのでは?
医局制度が幻想であったことが判明したため一気に条件の悪い病院の状況がネットなどで
晒され破綻したんでしょう。その時期に医師の労働市場の流動性がなければ開業しか
選択肢がなかったはずなので医局制度破壊は厚生労働省の功労ですね。
当直や超過勤務について
→現在の状況は労働時間・訴訟リスクなど不利益なものが過重な割にはそのことに
関する決まりごとがあまりになっていない,という一言につきるのではないで
しょうか?権利ばかり主張する輩もいるでしょうが医師の殆どはきちんと業務を
こなしている,あるいはこなそうとしていると思われます.その医師が労働条件に
関しては権利の行使というものができないという状況におかれているものと考えます.
現在の米国の大統領であるブッシュ氏が大統領選挙を戦っていたときに,氏を
支持していた医師たちが言っていたそうです「我々には診療を拒否する権利が
ある」と(あいまいな記憶なので事実と違っていたらすみません).ここまでは
いかなでしょうが,このような権利が行使できない状況なら決まりごと(つまりは
法)をこのような状況のために整備する必要があるのではないでしょうか?
労働基準法ではなくて医療従事者労働基準法とか.....そして当直・宿直・夜勤
などの定義を明確にしたり,罰則規定を明確にしたり.....訴訟リスクに関しては
国が今の医療制度にした以上一部は責任を持つべきではないでしょうか?あまりに
現場に責任を押し付けるのは厚生労働省に責任感がなさすぎます.
開業がよろこばしいか?
→小生いわゆる二代目です.そのために苦い思いもしました.医師になること自体は
よかったのですが,まず志望科が限定されました.もともと放射線科が第一希望
でしたが内科を選択せざるを得ませんでした.そのなかで希望を見出してある
専門医もとりましたが,開業すると内科・小児科・皮膚科.....昔はそれでよかった
のでしょう.しかし,周囲の目が専門性に特化した方向となり(患者さま側の視点も
含めて),最近取り上げられるようになった総合診療とかプライマリ・ケアとか
いったことはまだまだ一般化していません.標榜→専門というのが今の大方の
患者さま側の見方です.そうするとヤブとなってしまうのですが,経営のことを
考えると標榜科の削除はリスクとなります.考えすぎでしょうか?最近診療の合間に
悶々とした気分となります.本当にこの標榜科で自分が役立っているのか,自問
自答の日々です.
本日の趣旨からはそれてしまっていますが,お許しください.
>労働基準法違反が、改善されず取り締まられない最大の悪因は、そこに勤める医師が、辞めないということかもしれません。
こういう側面はあると思いますよ。
私のところに相談に来る労働者の言い分に「労働条件は良くして貰いたいけど、今の職場での仕事が続けられなくなるのは困るし…」という思いが透けて見えることは良くあります。
また、労基署側の対処のしかたに「あんまり頭から使用者に厳しいことを言うと、かえって労働者にトバッチリが行ったり、事業所閉鎖で全員解雇なんてことになると元も子も無いし、かといって法令違反を見逃すわけにもいかないし、困った…」こうしたニュアンスを感じ取れることが時折あります。
いずれにせよ、最初から退職覚悟で労働者が相談してきたり、或いは改善されたとしてもこの会社ではもう働きたくないイヤだという意志を感じ取れる相談事例の方が、労基署の方でも最初から強面で使用者に対処できますから、やり易いことは確かでしょう。
話題の青学准教授のまとめサイトです。
これの中の暴言一覧をご覧になって↓
http://www.wikihouse.com/seo/index.php?%C2%BE%A4%CE%CB%BD%B8%C0
いかがお考えですか?
医療の現場にいらっしゃる皆様のご意見を是非伺いたいです。
医療とは関係ないのですが、これはどの事件よりもスルーできません。
医学部希望受験生くん
医療と関係ないことを医療関係者に意見を聞いてどうしようというのでしょうか?
もし、本当に医師を目指すなら合理的思考回路を育ててください
大学というところは世間の常識というものが通じないところが多くあります。
医者の世界はもっとです。…上記の議論を読んでみてください。
よく考えれば、およそ組織と名の付くところで、世間の常識と異なる独特の「常識」のないところはないようです。
ただ、それを外に出してしまうことを健全と考えるか否かは、場合によりけりというところがあるでしょう。
言われてみれば、医師が職場を辞めない理由が医師以外にはそのように受け取られてしまう可能性を念頭においている医師は少ないでしょうね。あと労基署も色々忙しいようですので、ある意味お仕事を減らしたいでしょうから。私の一例では”私による内部告発の存在公開して指導を”という当方のお願いも結局内部告発の存在は隠されて指導されてました。そういうリクエストが少なくそのような指導の進め方より一般的な指導の進め方のほうが経験値としてやりやすいというだけかもしれません。
ついで。少し遅れましたが2008/3/8の記事にコメントしました。
>法務業の末席様
>お弟子様
>労働基準法違反が、改善されず取り締まられない最大の悪因は、そこに勤める医師が、辞めないということかもしれません。
このニュースみているとまさにその通りだと思います。
あの多治見、しかも自分で運転して現場へ?
どうしてここまでやる必要があるのか、私には全く理解できません。
こういう行為が基準になると同業者に多大な迷惑がかかる事になぜ気付かないのでしょう?
“新”ドクターカー導入 岐阜県立多治見病院
2008年4月27日 07時18分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008042790063540.html
ここは、有名なユニークな先生いるところですからねー。
http://www5.ocn.ne.jp/~tajimi/index.htm
医療が崩壊しようが、どこ吹く風でマイペースで、ドクターカー運転しまくるんだろうな。
解決するかどうかはともかく、そういうのを前提としたシステムに改変せざるを得なくなるのは確かですね。フリー麻酔科医には年5000万払わざるを得ないとかなんとか。永続可能なシステムに改変するいい機会かと。これまでの日本の医療は患者にとっては確かに天国でしたが借金で贅沢三昧してるようなもの。永続は不可能ですから。
>労働基準法違反が、改善されず取り締まられない最大の悪因は、そこに勤める医師が、辞めないということかもしれません。
私なんか20年前に既に「サービス残業がなくならんのは、サービス残業する莫迦が絶えないからだ!」喝破していましたよw。先見の明ありすぎwww
>私のところに相談に来る労働者の言い分に「労働条件は良くして貰いたいけど、今の職場での仕事が続けられなくなるのは困るし…」という思いが透けて見えることは良くあります。
「次」がない一般労働者はある意味やむを得ませんが(その分雇用側の悪質度はうぷですが)医師のクセにそんなヘタレは全人民の敵です。
>こういう行為が基準になると同業者に多大な迷惑がかかる事になぜ気付かないのでしょう?
奴隷だからさっ。
…謝れ!奴隷に謝(AAry