追い風に乗る、とはこういうことか。二月に発売されたばかりのホンダのハイブリッド車「インサイト」が、四月の新車販売ランキング(軽自動車を除く)で首位に立った。ハイブリッド車として初の“快挙”だ。
 ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターの二つの動力源を使っており、ガソリン車に比べて燃費に勝る。半面、高い価格が普及のネックだった。
 インサイトは二百万円を切る低価格が売り物だ。これだけでも大きな注目を集めたところへ、四月からスタートした低公害車を対象にした優遇税制が拍車を掛けた。
 燃費性能などによって自動車取得税と重量税が減免され、ハイブリッド車は全額免除される。現在、国会で審議中の追加経済対策には、低公害車へ買い替える場合の補助が盛り込まれており、一段の後押しとなりそうだ。
 ホンダとしのぎを削るトヨタは十八日、主力のハイブリッド車「プリウス」の新型を発売する。こちらも価格面が売りらしい。市場をリードする二社の争奪戦が激しさを増すだろう。
 低燃費は環境負荷が少ない。経済状況の厳しさもニーズを掘り起こしそうだ。国内市場の低迷に加え、世界的な金融危機による輸出減で苦境に陥っている自動車業界。今のハイブリッド車への追い風を、どこまで生かせるか。