東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 5月13日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

主従関係認め量刑差 あきる野 姉弟強殺判決 沖倉被告『不服』控訴へ

2009年5月13日

 あきる野市の資産家姉弟殺害事件で、東京地裁立川支部の十二日の判決は、強盗殺人などの罪に問われた元同市職員沖倉和雄(61)と土木業伊丸岡頼明(65)の両被告の間に主従関係を認め、量刑に差をつけた。死刑を言い渡された沖倉被告側は判決を不服として控訴。今後は東京高裁に舞台を移す。 (北川成史)

 これまでの公判で、沖倉被告の弁護側は「沖倉被告の犯行計画は不十分で、伊丸岡被告が犯行を促した」と主張し、「無期懲役が相当」としていた。

 一方、伊丸岡被告の弁護側は「伊丸岡被告は沖倉被告の指示で行動した」と従属的な立場を強調していた。

 判決で、山崎和信裁判長は「(両被告に)死刑を選択することも考慮する必要がある」とした上で、それぞれが果たした役割や逮捕後の態度を検討。

 沖倉被告が殺害方法や死体遺棄の場所などを事前に決めていたことに触れ「高度の計画性がある」と、主導的立場を認定し、死刑を選択した。

 一方、従属的立場を認めた伊丸岡被告については、死体の遺棄場所を捜査機関に自供したことや法廷での反省の態度から「沖倉被告と同じ刑を科すのは均衡を欠く」と述べた。

 この日の公判中、沖倉被告は被告人席で終始うつむき、肩をすぼめて判決文の朗読を聞いた。一方の伊丸岡被告は、ややほおがこけ、やつれた様子だったが、被告人席では正面を見据え続けた。

 公判後、沖倉被告の弁護人は「死刑判決は残念。こちらの主張を理解した上で判断したのかと思う」と不満を表した。

 伊丸岡被告の弁護人は「事実は動かしようがない。被告は控訴しない意向」と判決を受け入れる考えを明らかにした。

『死刑やむを得ない』 

 沖倉被告がかつて勤務していたあきる野市役所では、市役所を訪れた市民から、あらためて市職員への不信感が漏れた。事件では、市用地課の元職員がマージャン仲間だった沖倉被告から資産家の心当たりを聞かれ、大福さん姉弟について沖倉被告に教えていたことが公判で明らかになっていた。

 自営業男性(65)は「罪もない二人を殺した上に埋めており、死刑はやむを得ない」と判決を支持。市役所に対しては「全職員に襟を正してもらいたい」と注文を付けた。

 無職女性(69)は「死刑は仕方がない。どんな組織もいろんな人がいる。市役所も同じ」と話した。

 臼井孝市長は、沖倉被告の死刑判決についてコメントしなかった。同市は元職員の問題について「弁護士と相談しながら対応を図っている」としている。

 

この記事を印刷する