【ミステリー】信号待ち
出題者:ggg◆[ea85157]
前方の信号が黄色に変わるのが見えた。
俺はブレーキを踏みゆっくりと車を減速させる。深夜の田舎道はこれまでしばらく信号待ちは無かった。アクセルを踏み込めば信号の変わる間際に交差点を走り抜けることもできたかもしれないが「仕事中」の今は余計なリスクを負いたくは無かった。
車が停まると助手席の相棒が周囲を確認してから、
「ちょいと一服させてもらうか」
といって、窓を少し開けると煙草に火を着けた。「仕事」の緊張が続いたので一息つきたくなるのも無理もない。
俺たちの「仕事」というのは…まあ、世間一般と同じく「商品」を手に入れてお得意様に売りさばく、という意味ではありふれたものだが、職業別電話帳を繰っても俺たちの「仕事」が紹介されているわけではないし「商品」が目抜き通りの店先に並べてあるわけでもない。簡単に手に入りにくいが故に「商品」はとてつもなく高価で…そして危険でもあった。どれくらい危険かというと「商売敵」の襲撃にあって俺たちの仲間の一人が殺された、といった程度だと言えばわかってもらえるだろうか。詳しくは言えないがどういう商売か想像がつくと思う。
その仕事ももうすぐたどり着く日本海側の小さな港町でトランクの中の「商品」を引き渡せば終了だ。税務署とは無縁の現金と引き換えというわけだ。
数時間前に後ろを走っていた車がライトをハイビームにして迫ってきたときは、「商売敵」の襲撃かと思って身構えたものだ。相棒は懐からハンドガンを取り出して、安全装置を解除した。だがクラクションを鳴らしながら追い抜いて行った車は車高を下げた派手な塗装に竹槍のようなマフラーの一目で「走り屋」とわかる改造車だった。警察に停められるリスクを嫌って法定速度で走っていた俺たちにイラついたのか嫌がらせの幅寄せをして走り去って行く。爆音とともに暴走車のテールランプが遠ざかり、緊張が解けると俺と相棒は顔を見合わせて思わず苦笑いした。
その後はここまで何事もなく走ってきた。国道を外れ港町に続く一本道に入ってからは信号待ちもなかった。港町が近くなるにつれてぼちぼちと民家や商店が現れてきた。もうすぐのところまで来たのだ。
交差点は丁字路で俺たちの左側に横道があった。車も人も出てこない。根元が少し折れ曲がった進入禁止の標識があるから、狭い一方通行の出口だろう。角にある看板に遮られて道の先は見えない。
街路灯が壊れているのか周囲は暗かった。
道の入り口にある「○○まで何キロ」という大きな古びた看板が夜風でガタガタいっていたが、○○の部分はどうしても読み取れなかった。古くさいファッションの若い女性が笑顔で指さす絵が描かれているがその先にいったい何があるのだろう。
パンクしたのだろうか、自転車が1台道端に投げ捨てられていた。
やがて交差する側の信号が黄色に変わるのがわかった。
「畜生」
相棒が火を着けたばかりの煙草をトレーでもみ消し、窓を閉めた。上着のボタンをはずしホルスターに手をかける。
俺もハンドルを握る両手にじっとりと汗をかいていた。
男たちの間に突然緊張が走りました。彼らは何らかの危険を感知したのでしょうか?
彼らにそう思わせた原因となったキーワードをお答えください。
「◎◎×○○」というのが答です。漢字5文字です。◎と○の部分は問題文から抜き書きできます。「」はいりません。
※ 問題中に使用されている人名、地域名、会社名、組織名、製品名、イベントなどは架空のものであり、実際に存在するものを示すものではありません。
解答する:
問題作成日:2009-04-19
解答公開予定日:2009-10-19
最終更新日:2009-04-20 20:10:48(更新回数:3)
更新内容:
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2009/04/20 (Mon) 20:05 問題文を一部訂正。入力方法の表示を変更。
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2009/04/19 (Sun) 13:47 問題文を一部訂正しました。
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2009/04/19 (Sun) 12:48 誤字脱字を訂正。
正解率:7%
正解回数:94
解答回数:1316
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