1、年休を取得する時季については、原則として、労働者が具体的な時季を指定した場合には、使用者は、その指定された時季に年休を付与しなければなりませんが(労基法第39条第4項)、労使協定により年休を与える時季に関する定めをしたときは、労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権(注2)はともに行使できないとされています(昭和63.3.14労働省労働基準局長が発する通達第150号)。
(注2)時季変更権とは
労働者が指定した時季に年休を与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者はその時季を変更できるとされています。
2、年休のすべてが、計画年休付与の対象となるわけではなく、対象となるのは、年休日数のうち「5日を超える部分」に限られます。たとえば、年休日数が10日である労働者については5日まで、20日である労働者については15日までが計画年休付与の対象となります。したがって、労働者は、少なくとも5日については、自由に年休を取得することができます。
このため、入社初年度の労働者など年休日数が5日に満たない労働者や、5日を超える年休日数が計画年休付与の日数に満たない労働者(例えば、計画年休付与の日数を3日とする場合、年休日数が7日しかない者)を計画年休付与の対象とするには、年休日数自体を増やしたり、特別に計画年休の日数分を付与するなどの措置が必要となってきます。
3、年休の計画的付与の方式としては、労使協定において各事業場の実情に応じて定めればよいことになっていますが、次のような方式が考えられます。
(1)事業場全体の休業による一斉付与方式
(2)班別の交替制付与方式
(3)年休計画表による個人的付与方式
4、なお、計画年休に関する労使協定を締結する際に、特別の事情により年休日を特定することが適当でない労働者については、年休の計画的付与の対象から除外することも含め、当事者は十分配慮しなければならないとの通達(昭和63.1.1労働省労働基準局長が発する通達第1号)があります。
5、年休はその趣旨からできるだけ連続取得されることが望ましく、計画年休制度の導入にあたっては、労使協定の当事者は、労働者の個人的な事情にも十分配慮する必要があります。
会社の計画年休制度を導入しようとする意図を十分に理解し、計画年休付与の日数や方式、あるいは対象者の範囲などについて、労働者と使用者の間で、事前に十分な話し合いをされていくのが望ましいでしょう。
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