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【群馬】八ッ場ダム訴訟 住民敗訴 地元、さまざまな思いが交錯2009年5月12日
「今後も住民の生活再建に全力で取り組みたい」。八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設事業をめぐり、一都五県に負担金支出差し止めを求めた六つの住民訴訟。初の司法判断となった東京地裁の判決で住民側の訴えが退けられた十一日、同町の高山欣也町長はほっとした様子で語った。一方、前橋地裁でも六月二十六日に同様の訴訟の判決を控えているだけに、原告の市民グループは判決内容に納得せず、地元の本県では建設推進を望む住民と反対派それぞれの思いが交錯した。 (山岸隆、中根政人) 激しい反対闘争を経て、ダム湖畔に集落ごと移転する案を受け入れた地元住民の苦渋の選択で建設が決まった八ッ場ダム。水没五地区の代替地分譲は本年度末に完了する見通しで、国土交通省も今年十月にダム本体の工事に着手する。 ダム建設に伴い、水没する川原湯温泉街も周辺の代替地に移転する。川原湯温泉旅館組合の豊田明美組合長は「原告は判決を真摯(しんし)に受け止め、これ以上、住民の不安をあおることは止めてほしい」と強調。八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長も「地元で協力して再建に取り組んでいるのに、地元と関係ない外部の人による裁判は心外。早く終わらせたい」と訴えた。 一方、ダム反対派からは落胆の声が上がった。市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「八ッ場ダムが不要なダムとの認識は変わらない。今後も、本体工事凍結と水没予定地住民の生活再建の実現に向けて最大限努力したい」と述べた。 市民団体「八ッ場ダムをストップさせる群馬の会」の浦野稔代表は「ダムの必要性を表面的な事実で正当化する判決内容であり、納得できない」と強く批判。前橋地裁の訴訟については、原告側として「ダム問題の本質に踏み込んだ良識ある判断に期待したい」と語った。
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