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[ボクシング]史上初、日本ミニマム級王者・金光が競艇選手目指す

競艇選手を目指すことを明かした日本ミニマム級王者の金光佑治

 プロボクシング日本ミニマム級王者で、硬膜下血腫が認められたため引退する金光佑治(24)=六島=が12日、ボクシング日本王者では初の競艇選手を目指すことを明らかにした。3月21日の王座決定戦で、KOで下した相手の辻昌建さん(享年30歳)が急性硬膜下血腫で死去。新王者となりながら自らもグラブをおくことになったが、水上の格闘技でチャンピオンになることを誓った。

 失意の王者が異例の転身を目指す。手放すことになるベルトを肩にかけた金光は「競艇選手への道が見つかって光が見えました」と言葉をかみしめた。硬膜下血腫が認められたのは4月7日。1日に日本ボクシングコミッション(JBC)に引退勧告を受けたが、藤原トレーナーに提案された夢が背中を押した。

 これも運命かもしれない。競艇界は昨年から、実績のあるプロスポーツ選手を優遇して募集する特別試験枠を設定。ボクシングでは日本ランク5位以上が条件で、47・6キロリミットのミニマム級で戦ってきた金光は55キロ以下の体重資格も問題なし。昨年14人中4人が合格した制度は年齢制限もないため「可能性のある限り挑戦したい」と話した。現在は一般教養試験に向け、約2時間机に向かって勉強している。

 水上でも頂点に立ってみせる。悲願の王座を手にした3日後、相手の悲報が届いた。自身も約2週間も吐き気に襲われたが、検査で次の事故の可能性を回避できた。「告別式で遺族の方に励ましてもらった。ジャンルは違うけど、胸を張って頑張っていきたい」亡きライバルに合格を誓った。

 8月公募の試験を受け、合格すれば10年4月に競艇学校に入学。11年4月のデビューを目指す。「勝負根性を生かしたい。母(晃子さん)と2人暮らしなので、稼いで親孝行します」相手のパンチを恐れずに立ち向かっていったファイターが、第2の人生でも花を咲かせる。

 【競艇の特別試験枠】スキー、スノーボード、体操からの転向者は日本代表など競技ごとに受験条件が設定されている。初年度の昨年はモーターサイクル界から葛原大陽ら4人が合格。ボクシング界から受験した元日本ミニマム級5位の松本博志は不合格だった。体力試験の免除など試験内容も優遇される。

 ◆金光佑治(かねみつ・ゆうじ)1984年5月14日、大阪府堺市生まれ。24歳。16歳から六島ジムでボクシングを始め、03年4月にプロデビュー。08年3月にWBAミニマム級元1位のエリベルト・ゲホン(フィリピン)に判定勝ちして世界ランカー入り。09年3月にミニマム級王座決定戦で辻昌建(帝拳)に10回KO勝ちし、同級王座獲得。プロ戦績は12勝(7KO)2敗。163センチの右ファイター。

 競輪に比べ他競技からの転向は少ない

 他競技からの転身選手が多い競輪に比べ、競艇の元プロ選手は極めて少ない。07年まで受験資格が21歳未満だったためで、日本モーターボート競走会によると「ボクシングのライセンスB級(6回戦)を取得している選手は何人かいるが、A級(8回戦以上)はいないのでは」。

(2009年5月13日11時08分  スポーツ報知)

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